パン屋奮闘記①
お久しぶりの、パン屋奮闘記です。
前回の投稿から随分と間が空いたので、報告内容が盛りだくさんになってしまいました。今回は前編と後編に分けましたので、お時間ありましたらお付き合い下さい
1月からファーマーズマーケットが新しい場所へ移りました。それに伴いマーケットの運営が、カフェのオーナー個人から市の運営へ以降することになります。
1〜3月はその準備期間としてカフェのオーナーが新転地で運営しながら、市長や商工会の方などの関係者が視察をしにきたり、地元の新聞やテレビの取材が入ったりしています。
新転地はわりと立地がいいので、去年の冬と比べると新しい出店者も増え、それに伴いお客さんも増えています
ここまでは良いことづくめのようですが、市の運営となると出店者の規則もしっかりしています
などです。
こうして書いてみると、どれもごく当たり前の規則ですが、個人的なコミュニティとして小ぢんまりと運営していた頃と比べると、改めて規則が配られ指導が入るようになって「厳しくなった」と感じました。
私達はライセンスを取っていたものの保険加入をしていなかったので、直ぐに申し込みをしました。
アメリカは何かあると裁判なる事も考えられるので、今のうちに保険加入の機会を頂いて良かったと思います。
そして「自分のライセンスをもう一度確認して」と指導が入ったので、改めてライセンス規約を見てみると、『パンやクッキー、ケーキは販売出来る』とありながら、『肉魚、卵、乳製品は販売出来ない』と書いてあります。これに「え⁉︎」っとなったKentさん(夫)
何故かって、肉、卵、乳製品をつかったパンを販売していたからです。
私以上に真面目なKentさんは、買い物に行っても私がチーズや卵を買おうとすると「それはダメ、これもダメ」と目を光らせます
これに私がキレて「そんなこと言ったら、フランスパンしか作れないじゃんか‼︎パンにはミルクや卵が入るのが普通で、パンは売って良いって書いてあるんだから、大丈夫だよ!」
Kent「今のライセンスでは、肉、卵、乳製品等の悪くなる物は使えないと書いてあるんだよ」
私「そんなこと言ったら、フランスパンだっていつかはカビが生えて悪くなるじゃん。日本じゃチーズパンだって普通に室温で売ってる」
Kent「それは日本の場合だろ、ここは日本じゃないんだ。商業ライセンスがあれば別だけどね」
私「じゃ、クッキーはどうなの?卵をごっそり使うじゃん!」
Kent「ハニー、僕は君を守りたいんだ。訴えられたらもうパンの販売は出来なくなるんだよ、そんなリスクは取れないだろ?」
私「それじゃ、州の機関に直接問い合わせて白黒ハッキリさせようよ」
そんなやり取りをしているうちに、次のマーケットのメニューをお客さんに告知をする日になりました。
肉卵はともかく乳製品が使えないとなると、作れるパンは本当に少なくなります。
特にチーズを使った人気の惣菜パンが多かっただけに、お客さんがガッカリするだろうと思うとパンを作る気力も出ません。
「州の機関から返事があるまでは、マーケットを休もうか…」とも考えましたが、予約を受けていたのでそうも行かず、以前試作したレシピの中から使えそうなものを引っ張り出して、何とか11種類の品揃えでメニューを決めました。
マーケット日になると、やはりチーズを使った焼きたてパンを求めて来てくださるお客さんが多く「チーズパンは?」
「僕のお気に入りのパンは?」と聞かれます。
列にならんで待ってくれているお客さん一人一人に事情を説明して謝罪をしながら、何とも言い難い気持ちになりました。
こんなに沢山の方々が求めて下さっているのに、それに応えられない歯痒さ
「俺が訴えたりしないのは知っているだろ、何とかまた作ってくれないか?」
「マーケット以外なら、売ってくれる?」
そう言ってくださる方にも、ただ謝ることしか出来ない無力感
「早く、商業ライセンスを取らなきゃ」と言う焦り
そして、この商業ライセンスの取得こそが、アメリカで次のステップへ進む最大の難関なんです。
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