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パン屋奮闘記②



ジョージア州では商業用のビジネスフードライセンスがあると、使える食材が増え、委託販売が出来るようになり、また州を跨いだ販売も可能になります。

この商業ライセンスを取ることが次の目標ですが、それには色々な条件を揃える必要があります。
家庭のキッチンとは別に商業スペースが必要で、その他にオーブン、冷蔵庫、冷凍庫、ミキサーなどの機材一式を商業用で揃えなければなりません

今はアパート暮らしのため、新たに建物を借りるか、商業スペースの付いた建物へ引っ越すことになります。
このパンデミックで、アメリカでは土地や建物の値段が急上昇。
買い手が多いので売家が多く出回り、レンタルスペースはごく僅か、またそのレンタル料金も上がっています。
その他に我家の経済事情もあって、この状況下で動くのはちょっとタイミングが良くないように思い、今は少しでも貯金を増やしながら状況が好転するのを待とうと思っていました。

だけれども、今回の騒動で「やっぱり商業ライセンスが欲しい、いや必要なんだ!」と強く感じていると、お客さんから
「隣町でベトナム人夫妻が営むケーキ屋が機材一式を8000ドル(約800万円)で売りに出していた」という話を聞きました。

パン屋開業の機材は、少なくとも10000ドル(約1000万円)が必要と言われるので、中古と言えども
「チャンスかもしれない」とマーケット終了後、急いでそのお店に行きました。
すると「機材は、大家が全て引き取った」とのこと

ガッカリしつつもここまで来たのだからと、名刺を渡しながら「私も日本からの移民ですが、パン屋を持ちたいんです。貴方はビジネスライセンスを取る為に何か融資を受けましたか?」
と尋ねてみました。
「今はパンデミックで、新しい事業には融資を受けられないんだ。以前の実績がある場合は別だけど」と教えてくれた後に
「僕から君にアドバイスをするとしたら、、、」
と言って、ある実名をあげて
「この男とは絶対に関わっちゃいけないよ、この辺りの土地を持っている元弁護士だけど、僕達も含めた多くの人たちが奴の被害にあっているんだ」
と言うのです。
奥さんも「もう誰にも、私達のような被害にあってほしくないわ」とケーキを作りながら語っています。
この夫婦の話が真実なのかは知る由もありませんが、たまたまフラッと現れた私達に実名まで出した作り話をしたところで、彼らに何の得があるでしょう?

早く商業ライセンスを!と、意気込んで来たものの、その店を出る時にはすっかり目が覚めた感覚でした。
どうやら今回は「焦りから、物事を決めては行けない」と言う教訓を貰いに、このベトナム人夫妻のところへやって来たようです

家に帰ると、州の機関から返信が届いていました。
「ベーカーサチ、あなたは室温で保管できる商品であれば、チーズを含む乳製品をその材料として使うことが出来ます」

これでまたチーズを使った惣菜パンを作ることが出来るとハッキリしました。

改めて、今出来ることを地道ににこなしながら、将来を見据えて確実に前へ進もうと決心しました。
周りには沢山のサポーターがいます、人に会いに行き、話し、聞いていると不思議と色々なチャンスがやって来ます。
それは、一見チャンスに見えない時もありますが、自分が準備しているとチャンスとして受け取ることがあるんです。
その時まで、辛抱強く周到に用意しておこうと思う2月でした

今日も最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。

今日一日、世界が平和でありますように


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