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パン職人

【パン職人】
こんにちは、パン屋のサッちゃんです。
すこし前にオーブンを買いました。
実は自分のオーブンを持ってなかったんです。
アパート住まいのため、アパートに備付けてあるオーブンを3年使っていました。
(渡米した頃はお金がなくて、このオーブンは本当に助かった!)

そのオーブン、酷使したせいか昨年から温度調節の機能がばかになり、焼き損じが多くなったんです。
勘を頼りに焼いていましたが、焼き菓子は少しの温度差が仕上がりに影響するので、焼く時はオーブンにへばりついて、焦げそうな匂いがしたら電源を切って手動で温度調整をしていました

そのうちオーブン上面のコンロの調子も悪くなり、家賃を払いながら相談すると
「直せないようなら、中古のオーブンと入れ替える」とのこと。

オーブンが変わると焼き時間や温度が微妙に変わるので、やっと慣れたと思った頃にまた壊れるようなことは避けたいと
「自分で買うから、新しいオーブンを入れされて欲しい」と、初めて自分のオーブンを持ちました。

大きめのオーブンを選んだので、家庭用ですが食パンが9斤焼けます。
また焼き菓子や菓子パンがきれいに焼けるようになり、パンのクオリティが一つ上がりました。
ところがカンパーニュやバゲットなど、ハード系のシンプルなパンが今までのように焼けません。
思うように膨らまず、クープと呼ばれるパンの切込みがきれいに開かない。
「困ったなぁ…」

パンを焼いたことのある方はご存知かも知れませんが、シンプルなパンほど綺麗に焼き上げるのが難しいんです。
今度お近くのパン屋さんにいったら是非、バゲットを見てみてください。
見た目の華やかなデニッシュや菓子パンなどと違い、奥や隅に置いてある何てことない素朴なパン。
そうです、あれこそパン職人の技量が試されるパンなんです。

多くのお店のパン職人が力を入れて焼くのは、バケットやカンパーニュ、食パンといった食事に使われるパン。
発酵の見極めや、焼くタイミング、切込みを入れる刃の角度や深さ、スチームの量など、かなり感覚的な経験を要する上に、材料がシンプルなので誤魔化しがきかなんです。

パン作りに慣れた人達は、こうしたパンを焼き始めると、その難しさゆえの面白さにハマっていきます。
私は拘りが強くない方ですが、お客さんが「美味しそう」「買って食べてみたい」と思う程度には焼きたい。
そのレベルまで達していないから、困りました

「家庭用オーブンだからしょうがない」と言ってしまえばそれまでですが、私達の理念はHealthy & Yummy ( 健康的に美味しく)です。この食事パンこそ、私たちのおススメしたい商品なので、是が非でも何とかしたい。
そのためのカスタマイズと、試作の繰り返しが始まりました。

石板加工してくれる企業にオーブンに合わせたベーキングストーンを作ってもらい、手動でスチームをたくためにオーブンの隙間に鋳物容器をはめ込みました。そして温度やスチームの量を少しずつ変えて試作をすること数十回、遂に「これなら!」というところまで来たのが先週のことです

やっとパン職人として恥ずかしくないところまで漕ぎつけたと思います。
それと同じくして最近は食事パンの人気が上がっています。

こうした技術の探究は、そのプロセスが面白いですね。
次回は「接客業」について、書いてみようと思います

今日も、最後までお付き合いありがとうございました

#パン職人



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