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パン屋のKentさん


皆さんこんにちは、今日はKentさんのお話です。
IT企業で働いていたKentさん、仕事の契約が切れて最近家に居ます

契約が切れる少し前から、収入源が減ることに2人して不安でいました。
再契約のための履歴書は送ったものの
「60歳のおじさんを雇ってくれる会社なんてないよ」と落ち込み気味のKentさん、ため息も多くなります

2年前のコロナ禍で失業した私は、彼の不安が痛いほど分かるんです。
何時くるか分からない連絡を待つ辛さは、見えないロープで縛られているようです。
身動きが取れずに、毎日何度もメールが届いていないかチェックしては、ため息する

けれど、経験は人を強くします。
「まだパン屋の仕事があるじゃん!」
今まで私1人でこなしていた仕事を、手伝ってもらうことになりました

と言うことでKentさん、先ずは苦手な袋詰めに挑戦。
単純に見えるパンの袋詰めですが、慣れないと意外に苦戦します
チョコパンのチョコレートが袋にくっ付いたり、トングで強く掴んでパンが凹んじゃったり…
ため息が多いので手伝うと、負けず嫌いが災いして、上手く出来ない自分に癇癪を起こしちゃった

「予約の対応なら、得意なんじゃない?」
次は、予約注文の対応をすることになりました。
名前と電話番号、受取時間の確認、マイバッグ持参のお願い、という一連の流れを説明してやってもらうと
製造数より多い数の予約が入っていたり、メニューに載っていないパンの予約を受けていたり…

「ここに製造表があるから、予約を受けて良い数を確認して。それから、Facebookで毎週パンのメニューを告知してるから、その表を見ながら前の週と同じようにやってみて。そうすれば、今週作るパンを把握しやすいと思うよ。」

パン屋は覚えることがわりと多いので、慣れるまでちょっと時間が掛かります。その間はこんな風に失敗をしたり問題が起こったりして、そうした経験を通して一つづつ出来ることが増えていきます。
けれど、私が忙しくしているのに出来ることがないと落ち込んだり、お互いに疲れてくるとイライラしたり、そんな2週間を過ごしました。

その間に私も「頼む」と「任せる」の違いを知ります。つい先回りしてマイクロマネージメントになりがちなので、信頼して任せることは私にとっても挑戦です。
簡単ではないけれど、少しずつ任せて手放していかないと、将来的に発展していかないでしょう

3週目に入るとパンの袋詰め、メニューの告知やお客さんとのやりとりに余裕が出てきて、手が空くと食器を洗ってくれたり、植木に水やりをしてくれるようになりました。
そんな時に、お隣さんと立ち話になったようです。
「最近、家に居るんだ」と話すと、
「僕ら暫く旅行をするから、良かったら留守の間に芝刈りをしてくれないか?」といってお金を渡されたそうです。
戻って来たKentさんの目には、うっすら涙が
あぁ、渡米したばかりの頃もパンデミックで失業した時も、こうして沢山の人たちに助けられたんだったなぁ…
思い返すと、私も込み上げてくるものがありました

改めて会社勤めで安定した収入が入ることの有難さを感じます。それがあったからパン屋への挑戦が出来たし、収入だけでなく保険等の手当も大きかった。
今はまだパン屋の収入だけでは暮らしていけないけれど、今まで何度となくピンチをのり超えてきたから今があるわけで
むしろ、そのピンチを逆手にとってチャンスにしてきたのが私だった
「そうだ、仕事がない今だから出来る事があるはず」と、会社勤めしていた時は参加できなかった、平日のファーマーズマーケットでもパン販売を試すことにしました。

先ずは2人で様子を見にいって、今週はその新しいマーケットへKentさん1人で販売に出る予定です。
私はその間、週末のマーケットの仕込みがあるので、積荷からテントの設置、接客、会計、片付けを1人ですることになります。

1人でハンドリング出来るだろうか?
慣れないマーケットで、癇癪を起こすんじゃないかな…
天気はどうなるのだろう?
暑い中、どれくらいお客さんは来てくれるのだろう?
パンが売れ残ったら?
心配は尽きません

それでも、二人三脚
挑戦は続きます

今日も最後までお付き合いありがとうございました。



#パン屋のKentさん #二人三脚

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