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2019に1000ドル以上寄付したひとの25%がコロナ禍をうけて増額の意向-海外記事PICK

「パンデミックの中で寄付者の行動はどのように変化しているか?」という記事がある。

Fidelity Charitableが行った調査結果をまとめたこちらの記事、"COVID-19 and philanthropy: How donor behaviors are shifting amid pandemic"(コロナと慈善活動:パンデミックの中で寄付者の行動はどのように変化しているか)をあらためて読んでみた。2020年4月ごろに出た記事で、わたしが読んだのは5月ごろだったと思う。

最近、この調査を根拠に「寄付者の25%がコロナ後も寄付を増やす予定である」と言っている記事をたまにみかけて、うーむむむ、となる。(※たとえばForbesのこの記事 )そのとおりなのだけど、文面だけ切り取るのはちょっと要注意かもしれないなあ、と思った。

1,000ドル以上寄付したひとが対象

この調査は、2019年に慈善団体に1,000ドル以上寄付した米国の成人1,842人を対象に、2020年3月に行われたもの。1,000ドルというといまのレートだと日本円で10万円くらいだから、もともとかなりの額を寄付されている方が対象となっている。

これをシェアしてくれたイギリスに住む知人は、この調査の対象者を"Strong Donar"と表現していたけど(金額で強さなんて測れないけれど…)、年1,000ドル以上寄付できるひとなんだな、というイメージは持ちながら以下の調査結果を読むとよいと思う。2020年3月時点ではまだおおきな経済的圧迫もなかっただろうから、経済的な打撃を受けた今だとまた回答も変わるかもしれない。

そんな留意をしながら調査結果を読みたいけれど、おもしろい内容であることにはまちがいない。

25%がコロナに対応して寄付を増やす予定

ほとんどの寄付者は、今年も慈善団体への寄付額を維持、あるいは増額することを計画しています。寄付者の25%がCOVID-19に対応して寄付額を増やす予定であり、54%が寄付額を維持する予定です。ミレニアル世代の46%が、パンデミックに対応して寄付を増やすと答えているのに対し、ベビーブーマー世代の14%、ジェネレーションX世代の25%となっています。

この寄付者の25%が増額予定で、54%が維持予定ということは、回答者の8割がこの状況下でも寄付をつづけていこうとしているということになる。増額すると答えた25%の増額理由は、「必要性が大きく増すから」63%、「力になりたいから」61%、「自分の暮らす地域コミュニティが苦しんでいるから」46%となっている。

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(画像引用元:COVID-19 and philanthropy /Full Report )

多くの寄付者は、パンデミックが流行している中でも、いつもの慈善団体への支援を継続する予定です。43%の人が、以前に支援していた非営利団体への寄付を継続すると答えていますが、これはおそらくCOVID-19の影響を何らかの形で受けるからです。

また、この調査で注目したいのは、以下の部分だ。

どのように効果的に対応できるか確信が持てない

多くの寄付者は、COVID-19の影響にどのように効果的に対応できるか確信が持てない:回答者の3分の1は、支援を効果的にどこに支援の矛先を向けるかを理解するために必要な情報を持っていないと答えています。団塊の世代の35%が「十分な情報を持っていない」と答えているのに対し、ミレニアル世代では27%にとどまっています。

1,000ドル以上寄付するような"Strong Donar"でも、3分の1はなにが効果的なアプローチなのかを考える情報を持っていないという。(逆に言えば 67%くらいは効果的にどこに支援の矛先を向けるかを考えるために必要な情報を持っている、とも言う。)これは「必要な情報をもらっていない😤」という意味なのか、「必要な情報を集めきれてない…😖」という意味なのかでもかなり変わるけれど、このデータの詳細は付属のPDFでも見ることができない。

いずれにせよ、この調査結果は、コロナ禍ではいたしかたないとも言える。3月といえば情報が錯綜していて、なにがよきアプローチなのかも見えずにいたはずだ。そんな状況ではあるものの、そもそも「なにが効果的なアプローチか確信もててる?」と寄付者に問いかけるこの質問そのものがいいな、と思う。

※以下からは、有料となりますが、調査を受けて感じたことや考えたことを書いています。ものすごく有益!という感じよりはかなり開発的/探究的な文章なので、ご了承ください。また、概要は目次欄からちょっと見れます。


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