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期待値は資本

「エクスペステーション(期待値)を煽るビジネスはビジネスじゃない。何も売ってないから。」

とある方が言っていて、クラウドファンディングをやわらかに批判していた。コンサルタントを長年されていて、結構お世話になっている方だった。

それを聞いた当日は、慌てて「エクスペクテーション」を検索したくらいで、おっしゃっていることがよくわかっていなかったんだけど、要は「期待や共感でお金を得るというのは幻想を売っているようなもので、顧客に実利がなければビジネスじゃないんだよ」というようなことだった。そして「クラウドファンディングは、今はまだない価値を売るようなものだから、期待値を売るようなもので、みんな幻想にお金を出しているんだ」と。そんなのビジネスじゃないし廃れるにきまってる、という意味だった。

先日、その人とひさしぶりにオンラインで話す機会があった。開口一番その人は言った。「さっちんは寄付集めを仕事にしてるけど、エクスペクテーションを売ってるね」と。やばい、怒られるかなと思い身構えたら、「おれさ、あれ間違ってたわ」と返された。

期待値は、顧客にとっての価値なんだよ。今の時代、未来に対して夢見られるってものすごい価値なんだよ。そのサービスや商品の実利は大事だけど、それに対する純粋な期待値はものすごく大事なんだよ。さっちんがSNSでずっと発信し続けて寄付を集めてるのを見て、やっと気づいた。」

おれオッサンだったわ、ごめんな、と。
画面の向こうで彼は苦笑いする。

びっくりした。彼のなかでどんな変化があってそう感じるようになったのか、詳細はよくわからなかったけど、頭の中で彼の言葉を反芻した。わたしは、寄付を集めるのがシゴトだ。そして、寄付してくださる方から、わたしが働いている団体への「期待値」を感じることが多い。「なんかやってくれそうだから」「その世界観を実現してほしいから」「面白そうだから」「その価値観が好きだから」「伸びそうだから」「がんばってるから」…それぞれの期待値や共感値を感じる。

わたしはNPOではたらく人として、この期待値や共感値を安く見積もっていたかもしれない、と思った。期待値をもって寄付をしてもらったなら、その期待値に倍で答えていくのが、わたしのシゴトだなと感じる。期待値や共感値は、失ってはいけない資本だ。彼は、期待値を「売りさばくもの」というふうに捉えていたけど、私はそのようには見ていなくて、期待値は資本だな、と感じる。BSに溜まっていくもののようなイメージがある。

今日は、慎さんのこの記事を朝イチで読んで様々なことを考えた。(わたしは本当に慎さんの視点とスタンスが好きだなと改めて思った。)

全部の項目でいろんな組織内外でのことを思い浮かべたけど、なかでも「仲間がシラケることをしない」という言葉に、ものすごく難しさを感じた。

仲間がシラケるとはどういうことだろう。この記事には、「一部の人間だけで意思決定をしてしまう/間違いを認められない/自分に利益誘導してしまう」という3つのことが書いてあった。すべて本質的なことだと思ったし、特に一部の人間だけでの意思決定や、情報共有の不備は組織にとってクリティカルな課題になりやすい。

でもわたしは、「仲間がシラケる要素」は組織ごとにさまざまな項目があるような気がしている。上記はもうどの組織にも共通して起こり得るもので本質的だけど、他にも組織ごとにいろんな項目がありそうなのだ。

シラケるの意味は「 気分がこわれる/興がさめる」という意味だけど、例えば、その組織の価値観がすごくいいと思ってその組織に入ってきた人が、様々な場面で価値観をぶっこわすような場面に遭遇したら、間違いなくその人の気分はこわれて、いなくなる。

その組織のビジョンを実現してほしいと思ってその組織に寄付した人が、ぜんぜんビジョン達成にそぐわないような新規事業をその組織がバンバンやりだしたら、間違いなくその人の興が冷めて、寄付をやめてしまう。

その新規事業がたとえファイナンス的に潤うものであったとしても、ビジョン達成にそぐわないことはやってはいけないのだ。それは、倫理的におかしいからとかそういう意味じゃない(いやそれでもいいけど)。そうじゃなくて、「一番失ってはいけない資本=期待値/共感値」を失わないためだ。

今日、ソーシャルマネジメント合同会社の岡本拓也さんたちと話しているなかでやっと、先のコンサルタントの方の話と、慎さんのnoteとがつながって、言語化できそうだったので、言語化してみようと思い書きました。こんな時間になっちゃった。

長くなってしまってごめんなさい。おわり!


慎さんの記事は、項目ごとに長く語ってしまいそうになるくらいいい記事なので、ぜひ読んでみてください。しつこいけど、もういっかいURL貼る。笑



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