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紹介欲、の話(「WE MUST GO ON2」企画日誌1)

テープ起こしというものが本当に嫌いで、なんで嫌いかというと、自分の下手なインタビューをどうしても追体験しなくてはならないからです(だから会見のテープ起こしとかは平気)。
毎度毎度、起こしながら「なんでそこ、もっと突っこんできかなかったんだ数日前の私!」「なんて気の利かない返しをしているんだ」「あっいま何か言いかけたの殺した」とのたうち回る。ああ。

原稿書くのも別に好きじゃない。
インタビュイーが語った言葉の数々を、パズルみたいに構成し直して読みやすくしたり、起承転結つけたり、文章に緩急つけたりするのは好きだけれど。


なのになんで取材して原稿を書くという、こんなことを仕事にしているかというと、
「紹介欲」だなと常々思っています。


この作品、ものすごく面白い! 本当に素晴らしい! とか、
この人こんなことまで考えていたんだ……すごいわ、とか、
こんな思いであの場面を演じていたんだ……、とか。

うわー、みんなこれすごいよ、知って!って思う欲が強いんだと思います。

なんならリリースを読んだだけのまだ見ぬ作品でも、「すごい、そうなんだ、それは観たい!」と、すーぐ素直に思ってます(ただ、ちゃんと思いが伝わる丁寧なリリースの場合、ですけど。だからリリースって大事だと思いますよ、宣伝担当の方々…)。
んで、「まだ観てもいない(出来上がっていない)作品の紹介で、よくここまで期待感出せるね」と言われます。まあチケット販売促進媒体の担当だったというのも大きいと思うけれど。


ちなみに紹介欲という言葉は、KERAさんがチェーホフとか別役実とかご自身の作品でない戯曲を立て続けに上演していた時に、そんなような言葉を使っていたような覚えがあります。もしかしたらそんな内容の話を私が自分の中で「紹介欲」という言葉に勝手に変換したのかもしれないけれど。詳細は忘れてしまいましたが、その時からこの言葉、自分にとってものすごくしっくりくるものになっています。

とにかく、私が編集だのライターだのやってるのは「紹介欲」です。
私の好きなこの作品/この人の素敵な考え方、発言を、皆さんに知ってほしい。


ということで『WE MUST GO ON 2』を作っています。
エンタメ界がもうズタボロにやられてしまった2020年、それでも演劇を創り続けている皆さんは、何を考え、どうこのコロナ禍の中戦っているのか。

今回は俳優さんだけでなく、色々なセクションのスタッフさんにもお話を伺っています。それがまあ、本当に、すごく興味深い。というか皆さんの思いを聞いて、しょっちゅう泣きそうになっています(笑)。尊い……尊いよ……!

もうすでに、「早く皆さんにこの人のこと言葉を伝えたい!」という気持ちが私の中で溢れています。私の好きな演劇に携わる人、みんな、本当に素敵な人ばかりだなあと思う。取材が本当に面白い。

よろしければ、出来上がったあかつきには手に取っていただけますと嬉しいです。もう少ししたら、掲載する方のお名前も発表できるかと思います。

よろしくお願いいたします。


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