見出し画像

K'ingsmanのハンバーガーについて。

開業してから初めての投稿でございます。

自分に余裕がなくnoteに手が付きませんでした。
紆余曲折あり開業が遅れたのですが、ここで振り返るのも嫌なので前向きに、まずはうちのハンバーガーについてガッツリ説明を。
僕の思いが強い表現になるので、興味のある方のみお付き合いください。


まずは僕が思うハンバーガーとは?

もっともアメリカンな食べ物で肉を雑に挟んだサンドウィッチから派生したワンハンドで食べられる肉料理という認識。

そこで僕がどう思ってK'ingsmanでハンバーガーを作っているかというと、まず食べやすさです。
大口を開けれる自分でも、食べにくい物理的に無理な高さのあるハンバーガーって世の中にはあります。
ハッキリ言うと僕はハンバーガーとしては食べるのもビジュアル的にも色んな意味で好みません。
多種の具材を一度に口に入れて感じ取るには限界もあると思います。
口を開けて思いっきりかぶりつくのがサイコーな食べ物ではありますが、その一口でハンバーガーの上から下までが入らないのならハンバーガーの必要がないなと。

なのでK'ingsmanのハンバーガーはバンズをなるべく平たくするため間をカットし、具材との質量のバランスを取ることと、余計な具材は入れないなどシンプルに仕上げ高さの出ない努力をしていてます。
そのシンプルど直球が、出したい味の輪郭を最短で出るような構成です。
食べやすさというとこでバンズは歯切れのよいもの。水分の多い野菜は量を調節し最後に汁だくになり過ぎないようにする事。水分を吸ったバンズが、ふやけた鯉の餌みたいになるのを嫌っています(笑)

そしてその食べやすさ故の最後の一口までハンバーガーであること。

よくトマトだけ3口目ぐらいで持っていっちゃったり途中で具材がすべってパティがない、バンズのどちらかがないなどありますよね。
あれは「食べる人が下手くそだから」というのも少しはあるかもしれません。
ですが店を初めて3ヵ月。うちはなかなかのマダムや、普段はハンバーガーなんて食べないというダンディなお爺の方もいらっしゃいますが、最後の一口まで上手に食べていってくれる方ばかりです。

その光景を目の前で見て、自分自身でうちのハンバーガーの食べやすさを実感ができています。途中手を離そうとあまりにも雑に置かなければ最後までハンバーガーでいてくれるはずです。

食べやすさと言う点でもう一点。
食べ終わったあとも重くないハンバーガー。
重さの筆頭になる肉の脂。こいつを極限まで減らしています。ジューシーに仕上げる事が不可能になる一歩手前まで。
牛の脂は重いため牛の赤身に対し豚肉を少量入れ、豚で脂を入れてあげるイメージです。
ハンバーガー=牛100%パティの時代は終わったと思っています。美味けりゃそれでいい。

うちのハンバーガーはマヨネーズもたっぷり塗りますがこいつもほぼ毎日作る自家製のもので米油を使い味わいも軽やかに、酸や塩味と甘味の調和をとったうちのハンバーガー専用マヨネーズであります。


次にバランスです。
ハンバーガーとは一口噛むとバンズ、肉、野菜、ソースなど一度に複数の味が一気に入り込んできます。口の中でご飯に明太子とネギと胡麻油!みたいな事が起きているわけです。ここに卵入れて高菜入れて海苔を〜とやっても美味しいでしょう。だけど何がどうなって美味いのかよくわからないですよね。なのでK'ingsmanのハンバーガーたちは全て引き算してあり必要最低限なものしか入っていません。

ここが1番むずかしいとこでバンズも多少の個体差があり、具材となる野菜も絶対同じではないし好みもある話なので少々割愛しますが、最低限心掛けている事としては「どの味をメインにハンバーガーを食べさせたいか」の構成にはしてあります。なのでK'ingsmanのメニューにあるハンバーガーは緻密な計算というより、どこにキャラ立てをするかという感じです。


うちのハンバーガーの味の主軸はズバリ肉。
1口目をいった瞬間、肉うんま‼︎みたいのめざしてます。その為に肉の味の輪郭をハッキリさせる塩もしょっぱいの手前まで高めています。普段の食事で、ぜんぜん塩を取らない人には塩味が濃く感じる方もいるかもしれませんが、あくまで肉の味を前面に出すため、また野菜やバンズなどで相殺する設定です。
パティは丸めた肉を専用の器具で鉄板に押し付けて焼くスマッシュというスタイルをしておりますが、理由としてはパティ全面に焼き目を付けたいからです。

パティとして整形してから焼くと火が入った肉は縮んだりして凹凸ができ、平な鉄板との設置面が少なくなるわけです。
なので押しつけてあえてこびりつかせることによりメイラードをパティ全体に起こし、肉の旨みや香りを引き出す事を意識しています。
スマッシュするにもパティはある程度の厚みを残しジューシーさは欠けないようにもしております。スマッシュでパティを仕上げる店が増えてきて、色んな理由でやる方がいるとは思いますが僕がスマッシュをする理由は、肉の旨味を最大限に引き出す為です。

あともう一点かなり大事にしているのが温度です。
ありがたい事にK'ingsmanにも、たくさんテイクアウトで〜と入店される方がたくさんいます。
でも残念ですが、うちはハンバーガーのテイクアウトはやりません。
提供する温度にこだわっているからです。

僕が初めてハンバーガーという食べ物に感動したのはご近所のレジェンド店「FIRE HOUSE
一口目のハンバーガーの熱さ、その出来立ての味に感動したんです。
僕がいまハンバーガーをやっているのはFIRE HOUSEのおかげ。
K'ingsmanでハンバーガーを食べて、僕と同じような感想を持ってくれる人を生み出す為にハンバーガーを作っています。

出来立てに照準を合わせたハンバーガーですので、外に持ち出されいつ食べるかわからないハンバーガーは、それなりに美味しいかもしれませんが心から美味しいと思わせる自信がありません。
不便な人もいるだろうし店に来れない事情もある方もいるのは百も承知ですが、ご理解ください。
僕にとってはそれぐらい重要な事なんです。
なので本当なら一個ずつ作り提供したいぐらいの気持ちはあります。

他にも意識している事もありますが、あとはあまり重要ではなく伝えたいのは以上です。

ちなみにK'ingsmanは"ハンバーガー屋"という括りでやっているつもりはありません(笑)
業態としてはレストラン、自分の思い的には色々好き勝手やる肉屋(Butcher)って思ってます。
バッキバキの日本人ですが、イカつい髪型で髭がすごい、がたいも良くて極太の腕にタトゥーの入っている海外のブッチャーに憧れたりもします。

使い方はその人次第。
ハンバーガーを。
コーヒーを。
熟成肉を。

ハンバーガー屋ではありませんがハンバーガーに対する思いは生半可ではありません。
どこにも属さない、シンプルでありながら唯一無二です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?