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お別れに際し想う

恩師が彼方に旅立たれた。

小学校5、6年の担任で、地元イントネーションで大きな声で話す先生だった。おばちゃん先生だと思っていたけれど、考えてみたら今の私よりお若かったはず。
先生の家のピアノは、なぜかドを押すとミって鳴るんだよーと笑っていた先生。学生時代バレーボールをされていたそうで、いわゆる体育会系だったのだろう。いつもジャージ姿か白衣姿(ご専門が理科だった)のイメージだ。

「あなたはご両親からもらったものしか使ってない、頑張ればもっとできるはず」とハッパをかけられたことが、今でも忘れられない。自分ではそれなりに頑張っていたつもりだったが、今思えば楽しいこと、手軽なことだけ頑張るズルいところを見抜かれていたのかもしれない。

書を愛されていた先生は、退職された後、更に熱心に書と向き合われていたようだった。年賀状をお出しすると、いつも毛筆の美しい文字でお返事をくださったことを思い出す。
ご家族が告別式の式場に作品を飾って見せてくださっていて、その中に絵手紙の大きな作品があった。温かな、でも少し寂しいような言葉が綴られていて、先に彼方へ旅立たれていたご主人に向けられたものだったのかもしれない。きっと彼方で再会されて、仲良く過ごされるのだろうと思う。

これからの人生をどう生きていきたいのか。先生の枕元に座り、最後のごあいさつをさせて頂いた時、改めて先生に問われたような気がした。小さな節目が訪れているようにも思う。これまで散々立ち止まってきたのだけれど、もう少しだけ、ここで一瞬立ち止まろう。一瞬だけ。心の奥の奥の奥深くにある、開かずの扉が開くようだから。

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先生、長い間気にかけてくださりありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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