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『古本食堂』読了(Audible)

自分が好きなものが登場する物語は読んでいて面白い。これまで自分が好んで読んできた物語を振り返ってみたら、それはもう偏っていて笑ってしまった。もちろん、それとは違った好きなポイントがある作品もたくさんあるのだけれど。

自分の好きなもの、例えば音楽とか、絵とか、そういうものが物語のテーマのひとつになっていると、単純に共感する場面が増えるのだと思う。この作品も『古本屋×食べ物』というテーマは、本好きで食いしん坊な私にはもう、面白くないわけがない。
厳密には、私はあまり古典文学の知識はないので、登場する古典作品たちの内容はちんぷんかんぷんなのだが、登場する作品たちのストーリーや背景から生きるヒントを得ていく登場人物の思考に共感するのだと思う。

私たちは(私だけかもしれないけれど)、どうしたって自分の思考のクセや物の見方のクセから逃れられなくて、生き方もその範疇にとらわれがちだ。だから実用書の類で知識を得たり、自己啓発書で自分と向き合ったりということをするのだが、物語から学ぶこともとても多い。
物語を読むとき、誰かの人生の様々な場面での心情や思考をなぞって進むので、別の人生を生きているような錯覚を起こす。その時間が、私の中に新たな物の見方という選択肢を増やしてくれるのだ。

勉強のための資料としての読書の量が多くて、ここ数年、あまり物語を読めていなかった。そんなタイミングでこの作品に出会えたことは、改めて物語(文学作品というより物語という方が私の中の感覚に近い)が自分の人生でどんな役割や位置を占めていたのかを思い出すきっかけになって、本当に運がよかったと思う。

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