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喪失の悲しみ

今日は運営に携わらせていただいている『グリーフケアCafe』の、月に一度の開催日だった。

グリーフ(喪失の悲嘆による心身の反応)を抱えている時、大切な存在、身近な存在、いて当たり前の存在をうしなったことによる悲しみ、痛み、恐れ、怒り、混乱…様々な感情とともに悩まされるのが、わかってもらえないもどかしさや苦しさだ。
何かの事象に対して人の感じ方は人それぞれなので、自分以外の人の感じていることを1ミリたがわずに理解することはほぼ不可能と言っていいくらい難しいことだ。だから、わかってもらえないのは当たり前なのだけれど、苦しい時に誰かに理解してほしい、共感してほしい、と思う人が多くいることも確かで、それはさらにグリーフを深めることになる。

分かってもらえないことが分かると、心の内を言葉にすることが怖くなる。全部を理解してくれなくてもいいから、ただ耳を傾けてくれるだけでいいのに、見当違いな慰めや励まし、果ては持論の演説まで聞かされる羽目になることもある。そうすると、さらに自分の感じていることを誰かに話すことが怖くなり、ますます周囲との断絶が深くなり、孤独も深まるのだ。

私たちが作っている場所は、その『ただ耳を傾けてもらえる』場所だ。
どんな感情も、思いも、否定しない。言葉にできてもできなくても、順序だてて話せても、話が迷走しても、泣いても、怒っても、それでいい。そうやって自分の感じていることや状況を言葉にして語っていくことで、その人なりの悲しみとの向き合い方がみつかるといいなと思う。

人は一生の間にたくさんの喪失を経験する。その悲しみの数々を大切に抱えて生きていく中で、人の心は深さや厚みを増していくのかもしれない。


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