見出し画像

教えることは学ぶこと

セミナーや資格講座の講師をするたびに思うこと。

思えば学生時代に、同じことを先生に言われたことがあった。
「教えるためには、より深い理解が必要になる。お友達同士で教え合うことで、自分が深く理解できているところ、まだ浅いところ、理解していない所が洗い出されるだろう。」
だから、独りで集中して勉強する時間も大切だけれど、お友達同士で教え合う時間もとても大切だ、と。

まさに今、その事を改めて実感している。

まず、実際に開講する前に、その開講の狙いをしっかり確認する。そうすると、必ず伝えるべきこと、エピソードや関連知識として話したほうがより理解しやすくなること、時間があったら伝えたいことが整理できる。加えて、経験を積むうちに聞かれそうな質問なども予測できるようになるので想定しておき、資料を見れば答えられるような質問のために資料も準備しておく。
ここまでで、講座の内容よりも随分深い知識を準備しておくことになる。

しかし、それでも想定外の質問が出てくることもある。準備していなくても、自分がそれまで積み上げてきた知識や経験の中に答えがあることも多いが、その視点は新しい!と思うような質問だと、時間をもらって調べたり考えたりして、後日返答になる。そうすると、自分もまた一歩前進することになるのでとても大切な経験だ。

そういえば、会社勤めをしていると『バディー制度』や『教育係制度』を導入しているところも多いのではないだろうか。これは人事での集合研修の外に、各部署でOJTとして新人教育をする時に使われるシステムだが、これは新人を育てるだけでなく、教える側の成長も促すことができるため、とても効率がいいシステムだ。もちろん相性の問題だったり、教える側は業務を抱えながらになるので負担が大きいのだけれど、それまでの数年間の経験の集大成になると思えば積極的に取り組んだ方がお得だ。うまくできている。

ただ、自分の経験がすべてだというスタンスで教えるのは、少し思い上がりというか、問題だなと思う。その人その人によって経験する環境も違えば、本人の性格も違うから、丸ごと当てはめればうまくいくというものでもない。知識やルールのように不変のものはそのまま伝えていいけれど、実践の部分は本人が自分のものとするまでアレンジを重ねていく必要がある。そこを踏まえての教え方ができるのが、真に教えるのが上手い人、ということになるのだろう。そのことは肝に銘じておかねばと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?