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ピアノ伴奏者とは?

ピアノ伴奏者とは?
私はアンサンブルピアニストとして、誰かと組んで演奏会をする機会が多くあります。先日、大人の音大出の生徒さんがヴァイオリンの伴奏をする機会があり、ヴァイオリンさんと共にレッスンに来ました。その時、彼女の伴奏と、私の伴奏をよく観察してみたら、たくさんの気づきがありました。音の事を言葉で表現するのってすごく難しいんですが…。でも、大切なこともありそうなので、ピアノ伴奏のことについて気づいたことをシェアしたいと思います。

ソリストさんとタイミングを合わせるには?

弾く瞬間の息遣いや弓使いなども注意を払います。でも、1番大切なのは、そこへ持ってくための音楽をソリストさんと共に同じイメージを描き、同じような音楽を感じてることが大切だと思いました。逆を言えばソリストさんが感じてる音楽を察知し伴奏でもって作り上げること。
察知することってゴドバであーだこーだ話しながらイメージを擦り合わせることも大事だし、あとは音を隅々まで本当によく聴くこと。そうするとこの人こんな感じの音楽したいのねって言わなくても音で伝わる。
そして、相手が次こう入ってきたいってことが察知できたら、そう入れるようにちゃんとお膳立てしてあげる。柔らかい音で行きたいならその前の拍の和音の響きは少しためて、柔らかくとか、
鋭く入りたいなら、少し前からテンポを詰めてクレッシェンド、とか
楽譜に書いてはないけど、自然な流れで持っていき、どうしたってそう入るしかないような状況をつくって上げる。そうすると奏者さんが気持ちよく伴奏者と一体となり演奏できるのてす。

伴奏🟰相手に合わせるでは全然なかった。
相当ピアニスト側で音楽の大部分をコントロールし、気持ちよくソリストさんが乗っかれるように作り込んでるんだって気付きました。

伴奏の時のピアノの音色は?

ソロで演奏する時は、すべて自分だけで作れますが、私はヴァイオリン、フルート、ソプラノさんとよく演奏してますから、高音域さんと共に一つの音楽を作ります。
なので、ピアノは和音の内声部を常に取ってる感じ。当然、和音でどこを強く響かせるか?というバランスもソロとは違う。また、各楽器と分離しないで一体化して聞こえるような音色や音量。特に高音同士ばちばちに喧嘩したようにならないように弾くとか、ソリストさんの楽器によって聞こえにくい音域の時の音の出し方にはかなり気をつけて演奏しています。フルートさんの低音は、高音と比べボワっとして通る音では無いけれど、渋くていいところ。
そんな聴き取りにくい音域でも細部の表現までちゃんと聞こえるようなバランスを気をつけています。

3人(トリオ)になった時の難しさ

2人の時はまだいいです。意思疎通が優しい。これがもう1人増えて3人になると、一気にアンサンブルは難しくなるのです。これ、不思議だなとよく思うけど、一気にコミュニケーションが複雑になる感じ。でも、それが面白いところなんだけど。
ピアノトリオとか、ピアノカルテットとか、頭にピアノの入ったアンサンブルにはピアノって何故つくのか?きっとピアノが仕切らないといけないからだと思う。
3人での会話で、1人の人は今日の晩御飯何にするかについて話出し、もう1人は子どもが肉を食べないとか子供の話をし出し、散々音楽と関係なくなって最後に、今の三楽章はさあと音楽の話に戻るみたいなことが合わせの時によくあります。その元に戻す役をピアニストはになってるとおもう😆音楽的にも。
だからピアノさんがアンサンブルの要って言われてるけど、次あなたこうはいってきてね、とか、次はこんな感じでどうぞとか人に割り振りをして、全体の音作りを取り仕切る感じ。みんなのまとめ役だなと思う。決してソリストに合わせることでは全然ない。

本番では?ソロと違うところは?

ソロの時は暗譜で弾く事が多いし、自分が練習でやってきたことをなるべくそのまま再現することに集中する感じがあります。それを通して、自分の奥深くに入り込み、その場の集中力とともに自分の中にあるものを引っ張り出す作業、みたいな。

アンサンブルの場合はまたちょっとちがう。。自分の中に入り込むというよりは、お互いの状態をより繊細に感じ合う。本番はお互い気分が良くなったり興奮したり、練習とは微妙にテンションが変わる。そこをどう楽しめるか?
普段とのちがいにギクシャクし、体が力んでしまうという経験もあります。逆にこっちも気分よくなりお互いが今までの練習では出来なかったような素晴らしい演奏につながったこともあります。
どんな変化球がきても、すぐ反応し、切り返せるような柔軟さが必要です。
 
私のたくさんしてきたライブ経験では、音楽的なトラブルや事故ももちろんありますが、そればかりではなく、というか、それ以前の、忘れもの、ドジ、思いもよらないハプニング😂(いっぱいある笑えるエピソードをそのうち書きますね😆)など、いっぱいいっぱい経験してきました。自分がやったこと、相手がやったこと、それぞれありますが、人が増えればそんなトラブルもしょっちゅうおこる。そんな中でもその場で出来る限りを尽くして、お客様に最終的に喜んでもらう。こんな経験は毎回ヒヤヒヤしますが、すごく貴重で、こんなことこそがしっかり記憶に残り、後からめっちゃ笑えます😆

まとめ
伴奏ってちょっと目立たない立ち位置かと思いますが、実は音楽の大部分を担い、支えている。色々な楽器の奏者さんとの毎回の演奏で、相手が何を表現したいのか?を察知し、たくさんの引き出しの中から、そこに適したアイテムをさっと提示できる。そして、時には仕切り役となり全体を見渡して、まとめていく。
必ず誰かと一緒に作り上げることや、人とかかわること事が多くなるので、色々なハプニングをも嫌がらずに柔軟に捉えて、楽しめる人が向いてると思います。

必ずしも常に弾きたい曲を弾きたいように弾けるわけではないけど、自分の中にはない音楽性をも自分のもののように感じ、共鳴させられることは、得してる気がします。
伴奏者ってこんなお仕事かな‼️

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