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いつまでもこの目に


シャッター 優里
作詞・作曲 優里
アレンジ 内田美雪
ぷりんと楽譜 中級


シャッターを切る時間も
君に触れていればよかった
全ての時間を
君だけに使えばよかった


今日の曲は夕方のイメージ。
音の響きのせいかな。



今日、大人の読み聞かせを聴いてきた。
知っている人が
宮沢賢治の本を読むと教えてくれたから。


初めてボランティアをした
近所の親子の居場所で
読み聞かせをしていた人。

いつもKAWASAKIのバイクに乗ってくる。

あんなに小柄なのに。
大型バイクだ。すごい。


本当にバイクが好きみたいで
複数の大型バイクを所有していた。

そんな彼女とは
その広場や小学校の読み聞かせなどで
たびたび会った。

笑顔が素敵な人だった。


一昨年、突然お電話をもらった。

『広場が閉まってしまったの。
 ごめんなさい。』

その人が病に臥して
しばらく行けなかった間に
他のスタッフの方たちが
広場を止めてしまったそう。


わたしは毎年その広場で
親子に音楽を届けていた。

『その場がなくなってしまってごめんなさい。』
そう伝えるために電話をくれたのだった。



わたしも
うつ病から回復してきて
怪我も良くなってきていて

お互いに良くなってよかったねと
話して笑った。


病に臥した時
もう乗れないとバイクは手放したけど
回復したらやっぱり乗りたいと
またバイクを買ったそう。

体力が落ちたから250を買ったけど
やっぱり大型バイクに乗りたいから
今注文しているところ…と笑っていた。



去年の秋
彼女のうちに寄って色んな話をした。

病のこと
バイクのこと
読み聞かせのこと
死生観、ふだん思っていること

たくさんの話をしてくれた。
彼女の余命のことも聞いた。

「怪我の再手術が終わって
またバイクに乗れるようになったら
一緒にどこか走りに行きませんか。」

そう声をかけると
「そうね。」
と笑顔でうなずいた。



あれから4ヶ月。
彼女の余命の月を過ぎ
彼女に連絡を取ることを躊躇っていたけれど
思い切って連絡してみた。

すると
大人の読み聞かせで
宮沢賢治の本を読むと言う。


宮沢賢治の本を聴きたいのか
彼女の元気な様子を見たいのか
よくわからないまま出かけた。


彼女の姿を見てホッとした。
痩せたままだけど立ってられている。


読み聞かせが始まった。

彼女の声はお腹から出ていて
とても張りがあり、抑揚が素敵で
聞き惚れてしまった。

宮沢賢治《なめとこ山の熊》の紙芝居だった。


帰りに少し話をした。

『この話、全部読むと長すぎるから
 紙芝居にしたのよ。
 この前、小5のクラスで
 読み聞かせしてほしいと頼まれてね。』

そんなふうに教えてくれた。


『声、ちゃんと出てたかしら?』
と心配していたので
「いい声で聴こえてましたよ。」
と答えた。

『まだバイク乗っているのよ。』
と笑顔で彼女が言った。



その顔を見て、彼女が元気なうちに
「走りに行こう。」と誘おうと思った。


わたしもバイク復活させなくちゃ。
彼女とまた会う約束をしないと。



今日思い切って出かけてよかった。

彼女の姿が見られてよかった。
彼女の声が聴けてよかった。




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