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令和の時代もペンとノートをこよなく愛す。 そんな私は本の虫。 |読書|書評|読書感想|…

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令和の時代もペンとノートをこよなく愛す。 そんな私は本の虫。 |読書|書評|読書感想|読書エッセイ|読書ノート|

最近の記事

ご飯を作って食べること。

今夜はしらす丼と具だくさん坦々スープ。 恋人と同棲をして約4ヶ月。 今夜の夜ごはんは私が作る。 穏やかな暮らしに憧れる。 揺さぶられることが多かった人生だからこそ、何でもない暮らしというものに胸焦がれる。 今私は、ごく普通の生活をしている、と思う。 穏やかで何でもない二人暮らし。 どこにでもあるような普通の日常。 幸せを感じる。 切なさも少し。 この暮らしが続くと良い。 切に願う。 ご飯を作って食べて眠りにつく。 ご飯を作って食べて仕事に行く。 好きな人と

    • 乙一「箱庭図書館」より『青春絶縁体』読書エッセイ

      8年前の大晦日。 その日の日記の末尾にはこう記されてあった。 『いい物語だな。』 私は昔から自分の日記に読んだ本の感想を長々と書く癖がある。 そんな私がたった一言の感想しか書いていないのだから気にするな、というほうが無理な話だろう。 当時は特に悩みが多い時期だった。 その頃の私は小説の感想に対して辛口で「面白い」などという単調な表現を使うことを忌み嫌っていた。 そうやって肩肘張って生きていた過去の私が、たった一言『いい物語だな』と書き残してあったのだ。 本書の内容を

      • 【柚木麻子】「BUTTER」読書ノート

        「人生を味わう」 これはまた、面白い表現だ。 だが、意外と的を射ているのかもしれない。 人間の三大欲求の一つである「食欲」 人間が食事を取らずに生きていくことは難しい。 どうせ食べ物を摂取するのならば、味わって食べたいものだ。 人生も、また同じである。 人生を味わうために不可欠なことを、私は「BUTTTER」から教わった。 この物語は、二〇〇九年に発覚した首都圏連続不審死事件をヒントに作られたフィクションだ。 柚木麻子さんは木嶋佳苗容疑者の中に、どのような物

        • 【朝井リョウ】『正欲』読書ノート

          「常識とは18歳までに身に着けた偏見のコレクションのことをいう」 とは、かの有名なアインシュタインの言葉だ。 私が今日までせっせと収集してきた常識は「正欲」によって、根本から蹴り倒された。 何ならその後、地獄の業火で焼き払われたと言っても過言ではない。 13歳のときに近眼になった私は、生まれて初めて眼鏡をかけた。 その世界の変貌ぶりに、ひどく困惑したことを今もよく覚えている。 「正欲」を読んだとき、「あのとき」と同じ感覚がした。 ——見えすぎて、怖い。 怖いの

        ご飯を作って食べること。

          【吉本ばなな】『アムリタ』読書ノート

          空前の吉本ばななブームが、私に到来している。 吉本ばななさんの本を初めて手に取ったのは、高校1年生の時。 名作「キッチン」を読んだ。 当時の私の感想は 「大人っぽくてよくわかんない・・・」 というものだった。 時を経てアラサーになった私は「キッチン」を再読した。 感想は 「めっちゃ、わかる・・・!!」 見事、吉本ばなな作品にハマってしまった。 今回読んだのは「アムリタ」 「キッチン」にも通ずる、吉本ばななさんの世界観を紹介します。 あらすじ 感想生き

          【吉本ばなな】『アムリタ』読書ノート

          【凪良ゆう】『流浪の月』読書ノート

          図書館の1番端の席で、人目もはばからず泣きながら読んだ本。 「流浪の月」という世界観に、まんまと喰われてしまった。 2020年本屋大賞受賞 第41回吉川英治文学新人賞候補作 あらすじ・ストーリー夕食にアイスクリームを食べるような自由奔放な少女・更紗と、母の読んでいた育児書通りに品行方正に生きてきた文。 物語は、小学生の更紗と大学生の文が公園で出会う場面から進んでいく。 そのことが、後に世間を騒がす事件となる――。 15年後、2人は再会する。 今度は、「被害者」と

          【凪良ゆう】『流浪の月』読書ノート