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ピアサポートってなんだろう?Part2 技術・心得編 // キセキ33

こんにちは。
幸紗チサ(さちさちさ)です。ご訪問ありがとうございます!

この記事は、こちらのマガジンの記事です。

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今年の春は気候の変化が目まぐるしいですね。つい最近まで「やっと桜が咲いた~🌸」と思っていたのですが、気づけば初夏へまっしぐら!植物たちも元気に新芽を芽吹かせ、初夏の虫も鳴き始めています🌿

GWも始まり私も元気に……と言いたいところですが、気温の変化になかなかついていけないなぁ😅💦と思っている今日この頃です。皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

さて、前回の記事「ピアサポートってなんだろう?」では、ピアサポートについて基礎へ立ち返ってみました。今回は、もう一歩踏み込んだ内容でピアサポートについて語ってみたいと思います。

基礎編の記事は、こちらです😊


ピアサポートを行う上で必要な知識がたくさんあることは、前回の記事でもお話しさせていただきました。今回は、ピアサポートに必要な技術や心得について、なるべくかみ砕きつつ、紹介させていただきたいと思います😄

では、どうぞ!

傾聴

傾聴とは、相手の話に丁寧に耳や目や心を傾け、真摯な姿勢で相手の話を聴く会話の技術のことです。「どんな気持ちでこの話をするのか?」「なぜこの話をするのか」などということを考えながら、丁寧にお話を伺います。

こちらの記事でもお話させていただきました通り、その人の心の内を伺うには、自分の言葉で自分のことについて語ってもらうことがとても大切になります。何か言いたいことはあるけど、漠然としていて自分でもわからないことってありませんか?

でも、何か一言でも言葉に出してみることで、そこからするっと出てくることもあります。そして、「私は今こう思っていたんだ!」と自分の心の内に気づくことだってあるのです。

傾聴を行うには、相手の言葉を受け止める聴く力、そして言葉を引き出すための話す力が重要になります。これらは傾聴を行う上で必要な、相手との信頼関係を構築するための、大切な要素となります。

では、それはどのようなことなのでしょうか?


聴く力と話す力

安心して自分のことをお話いただくには、相手の発した言葉を丁寧に聴き、また言葉を引き出すための聴く力と話す力が重要です。

聴く力には、相手が安心して話せるような、表情、言葉遣い、声色、仕草(姿勢など)、そして服装なども重要な要素になってきます。たとえば、最初に挨拶をするときなど、話し始めは笑顔が良いでしょう。しかし、話の内容によっては、笑顔がそぐわないこともあります。その場に合わせて、表情や声色などを調整していくことも、聴く力には大切になります。

ただ話を聴くだけでなく、引き出した言葉から、今相手の心の内はどうなんだろう?と想像を膨らませることも重要です。そして「これって、こういうことですか?」とか「これについてもう少し聞かせて」などと相手に返し、会話を展開させる力が、話す力なのです。相手から言葉が出ないときは、適度に自分の話などをしてみて、少しずつ相手の気持ち寄り添ってみることもあります。

このように、傾聴とは会話のキャッチボールが土台になっていると思います。すなわち、聴く力と話す力がお互いが密接に関わり合ってはじめて成立するものなのです。



抑えていた感情を解放させる

これまで誰にも自分の思いを話せず、ずっと一人で抱え込んでこられた方もいらっしゃることでしょう。そのような方がピアサポートに来られた時、突然わっと泣きだしてしまうこともあります。これは、これまで誰にも見せられなかった感情を、今ここで初めて表に出すことができたからです。

今まで必死で抑えてきた感情を表に出せるようにするのは、とても大切なことだと思います。だって、今までずっと泣きたいのを我慢してきたのです。それは、長い間心身を削って自分を抑えてきたということですし、放置したら積もり積もってさらに心身を壊してしまうかもしれません。

涙を流して気持ちが少しずつ整理されることもあります。怒りの感情も同じで、一通り怒ったら徐々に気持ちがクールダウンしてくるものです。抑えていた感情を解放することで、次の一歩へ進むことができるようになるのです。

自分の感情を誰かに受け止めてもらえたことは、きっと嬉しいことだと思います。その人の感情を大切にし、そっと寄り添うことも、傾聴の大切な役割なのです。


受容と共感

人の価値観はそれぞれ違いますし、誰にも話せないことを心の内に秘めていることもあります。時には、自分の考えとは一致しないこともあるでしょう。そのような場合も、相手の考えを一旦受け止めることが重要です。

傾聴を行う上で、聴き手の価値観で物事を判断したり、相手を批判したり、相手が考える機会を奪うようなことはタブーです🚫 人には言えないことを話してくれるのは、あなたを信頼しているからなのです。それを頭ごなしに否定してしまっては、相手を失望させ深く傷つけてしまいます。でも、なんでもかんでも相手に同意しろというわけでもありません。では、どういうことなのでしょうか?

たとえば、相手が「死にたい」と言ったとします。そこで、いくらなんでも「それでいいと思います」と同意はしないですよね💦 しかし「そんなことを言うもんじゃない!」と全否定してしまうと、今度は「あなたに何がわかるのか💢」となってしまいます。

この場合はまず、「今、死にたいと思ってしまうお気持ちなのですね」と受け止めること、受容が大切なのです。そして、「では、なぜそう思うのですか?」とさらに会話を展開させることができたら、その背景にまで想像が膨らむと思います。

もし「死にたい」と思うようになった背景が見えてきたら「自分だって同じ状況に置かれたら、そう思うだろうな」と感じるかもしれません。そうすると「このような状況で、死にたいと思うようになったのですね。それはお辛いですね」と共感できるようにもなるのです。共感してもらったら、相手も気持ちを分かってくれたことに安心感を感じるのではないでしょうか。

その上で「自分も同じような経験があったけど、こういう風に対処しましたよ」とか、辛い気持ちを緩和できるヒントをお伝えできるかもしれません。

ここまでお話したことは、一見当たり前のことかもしれません。が、その日の体調や気分によって、無意識のうちに逸れてしまうこともあるかもしれません。なので、必要なことを日頃から意識することが大切になるのです。

では次に、ピアサポートを行う上で、もう一つ重要なことをお話したいと思います。


医療など専門領域に踏み込まない

ピアサポーターは、医療専門職ではありません。普段は医療関係の仕事をしている人もいますが、ここでの立場はあくまで患者なのです。

ご自身やお仲間の経験を共有するのは、ピアサポートの大切な役割だと思います。それが相手にとって今後の治療の見通しになったり、何かヒントを掴むきっかけになるかもしれません。

しかし、一般的に良いと言われている治療が、必ずしも相手にとっても良いとは限りません。ひと口にがんといっても、がん種、部位、ステージ、がん細胞の性質などがんに関連する要素だけでなく、年齢、性別、家族構成、生活スタイルなど、その人を取り巻く状況によってまったく異なるからです。

そういった多くの要素を含め、その人のことをいちばん良く知っているのは、主治医です。そのため、治療など具体的な医療行為に関することは主治医へ相談するようお伝えするのが、ピアサポートでは重要だと思います。「これは専門職の領域だ!」と思われることについては、かかりつけの病院へ相談することが大切なのです。万一何かあったとしても、ピアサポーターでは責任を負えないですよね。

では、ピアサポーターががんの勉強をするのはいけないのか?といったら、そうではありません。他のがん種や治療について学ぶことは、自分とは違う状況の相手に対し、イメージを膨らませるために有効だと思います。たとえば、自分は乳がんで相手は胃がんだったとしても、今相手は何が辛いのか?といった状況が想像しやすくなると思います。

質の良い傾聴のためにがんの知識は役に立ちますが、込み入った専門的なことは専門職へ!ということですね。餅は餅屋へ任せましょう!


あなたもピアサポーターへ!

いかがだったでしょうか?

今回はピアサポートを行う上で大切なことを、もう一歩踏み込んでお話させていただきました。傾聴はとても奥が深く、ここに書いたことを私がきちんと実践できているか?というと、正直まだまだかなぁ……😅 といったところです。でも、意識をすることで少しずつ進歩していくかも!と信じてこれからも活動を続けていきたいと思っています。

医療機関などのピアサポーターとして活躍するには、こうした専門的な知識が必要となるところが多いです。現在、養成講座も募集を行っていますので、ご興味のある方はぜひいかがでしょうか!

皆さまのご参加を、お待ちしています😄✨


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