エンドロール
…
目を覚ませば、もう正午を回る頃だった。
…どれくらい眠っていたのだろう。
夏は、何故こんなにも心を支配するのだろう。
やけに目に灼きついているいつかの夏も
花火と共に消えた恋心も
家族と食べた西瓜の味も
すべて、夏が淡く、そしてくっきりと色付けていく。
夏が始まったあの日が、もうこんなにも遠くに感じる。
セミの声が遠のき始めた頃、また街には人の声が戻ってくる。
きっと、誰もが経験した事があると思う。
ー8月31日
夏が終わる日。
どんなに酷暑が続こうと、暦の上では秋でも。
きっと、夏が終わる日を、みんな知っているのだ。
戻って来ない日々と、同じ時間を過ごす事ができない事も、みんな、知っていた。
過ぎる時間は同じなのに、夏だけではないのに、より強く、そう思えてしまう。
…
不機嫌な始まりだった夏の日を背に、また夏に別れを告げる。
思い出すことすらできなかったあの夏の始まりの日を、次は思い出す事ができるだろうか。
今日がいつかになった時、私はあなたのことを思い出せるだろうか。
きっと、何年経ってもまたこの日を思い出すのだろう。 ー 夏が始まる日
…
いや、きっと、必ず。
あなたと過ごしたこの夏を忘れない。
過ぎていく季節と居なくなってしまった人たち
悲しみに止まってはいられないのだ。
夏は、過ぎていく。
あなたの夏に、私はいましたか?
夏が終わる日、8月31日。
誕生花はリンドウ。花言葉は-
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