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特別支援: 指示は伝わっていますか?

こんにちは。

アメリカで幼児特別支援教員として働いています。

もう年度末なのですが、最近私の元へ送られてくるケースが増えて、てんてこ舞いしております。多分ですが、『1年頑張ってみたけど、やはり支援が必要なんじゃないか?』と思われる先生たちや親御さんが、一気に年度内に駆け込んでくるケースや、今まで先生たちの助言に否定的だった親御さんの心がついに動いたか、既にアセスメントは済んでいるけど、アセスメントチームのオファーに納得行かず、話し合いを重ねた結果、もう年度末なのでなんとか合意に至ったか。そんな感じじゃないかなぁと思います。

そんな折、私が担当する子供が通っている、州のファンディングで我が学区が運営しているプリスクールで、去年グレーだった子の状態がどんどん黒になってるケースがあります。担任の先生は、幼児教育40年のベテランで、ご自身の息子さんも我が学区で支援を受けられた経験から、支援が必要な子供とそうでない子供の見分け方が結構的確な方です。

私が担当する子には、支援教員がほぼずっと教室にいるインクルージョンクラスは必要ないと判断され、私が週に60分教室に行く形で収まったのですが、そのグレーから黒になった子は、今現在明らかに支援クラスが必要な状態です。私も去年から外野の支援教員としてその子の発達を見てきましたが、今では明らかに24人のクラスに支援サポートなしでやっていくのは、2次障がいに繋がるのではないかと心配です。ずーっと注意されっぱなしなんで、最近では名前を呼ばれると両手で耳を塞ぐようになりました。

先生や他の子供たちに罪はないのですが、

「----(名前)!やめなさい!自分の体をコントロールしなさい!」

では通じないのです。支援が必要な子供には。そもそも、自分の体をコントロールするなんて、幼児には抽象的すぎて、理解に至っている子は少ないように感じます。そして子供に注意をする時は、やめさせたいことを並べ立てるのは逆効果です。支援児に限らず、幼児あるあるですが、やってはいけないことの動詞の部分が強調されて、やった方がいいんだと判断することがあるからです。例えば、『Don’t stand up(立たないで)』と言ったら、Stand upの部分しか聞こえてないかもしれない場合って多々あります。言っている人の表情や声のトーンで分からない?と思われるかもしれませんが、それが分からないから支援が必要なのです。私の肌感では、3歳ぐらいのしっかりした子なら理解し始めるかもー…って感じです。

ちなみに、私が持っている教員免許では、0歳から5歳までの特別支援ができますが、支援教員になる前は、アメリカの保育園で働いていましたので、一般的な発達も知っているつもりです。保育園では、4−5歳児クラスをやってた期間が一番長いのですが、3歳児クラスとトドラークラス(toddler)という18ヶ月〜30ヶ月(アメリカでは、5歳くらいまでよく月齢を使います)も受け持ってますので、まだ3歳になっていない子供の発達も、一応は身をもって経験しています。個人的には、まだしっかりお話ができないトドラークラスが私のお気に入りです。

では話を元に戻して、幼児に対してどう注意すればしっかり伝わるのでしょう?肯定文で、もしくはしてほしいことを代わりに言うのです。これは、私が支援教員になる前に保育士をしていた時に働いていたデイケア センターのディレクターも言っていました。上の例えで言うと、『Don't stand up! (立たないで)』の代わりに『Stay there(そこにいて)』とか 『Stay on your chair(椅子に座ってて)』とか言ったりします。更に、支援の一環として、絵カードをよく使いますが、肯定文と絵カードの両方で指示を出すと、より効果的だと思います。上の写真は、私が実際に使っている物の一部です。(年季が入ってて汚れてますね〜)

ただ、私は3回ぐらいは声かけをしますが、それ以上は何度も同じ声かけをするのは逆効果かな?と思っています。あと、複数名で同じ声かけを繰り返す。これをやると、正直うるさいです。指示を出している方もうるさいと感じるのですから、言われている方はもっとうるさいのではないでしょうか。そして、これも緊急性にもよりますが、指示を理解するのに時間がかかる子供もいますので、必ず一度指示を出してから数秒待ってあげる。この場合も、目の前に出された絵カードが役立ちます。言葉は耳から入って、理解するのに時間がかかる、もしくは脳内で消えてしまう場合がありますが、絵はずっと出されている限り目の前にありますから。(ただし、ちゃんと視界に入ってることを確認する必要があります)

これらのことを心がけるだけで、劇的に教室内のざわつきが静まります。すると指示も通りやすくなり、子供たちも落ち着いていられる。そう考えると、もしかして一番うるさいのは大人なのでは?と反省してしまいます!

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