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落椿☆

「落椿」おちつばき という季語がある。
正確には独立した季語ではなくて「椿」の子季語。

先日初めて落椿を見た。
ずいぶん昔からそこに椿があったような気がしたけれど、
ちゃんとこれが椿だと認識したのは先日が初めてのこと。

山茶花と違って、
椿は散る時「花ごと落ちる」と知ったから。

あ、これが椿かと。

季語にもなっているのだからさぞかし美しい姿なのかと思っていたけれど、
皆うつぶせに落ちていて戸惑った。
一つくらい上を向いていたっていいのに、と。

きっと落ちた時は「ごとり」と音がしたんじゃないかと思うほど
肉厚の花びらを抱えたまま、そのままの姿でうつぶせになっている。

花が散った姿を見て戸惑いを感じたのも椿が初めてで、
まだ木に残る椿も順番を待つかの如く皆どこかしら枯れていて
写真に収めようと構えていた手をおろした。

落椿みなうつぶせになりにけり  月石 幸

「落椿」「うつぶせ」はたくさん詠みこまれていて
もう類想どころでもないのだろうけど(笑)、
これで良いと思えた。

「うつぶせに椿ちるなり庭の隅 正岡子規」
子規の「椿」の句だけでも沢山ありました・・・。

とにかく、ここに一さじのオリジナリティを、なんて考えたら
景色が変わってしまうようで。
写真に収められなかった代わりに、俳句として残しておく。

どこで見たのかというと、たびたび私の記事に出てくる
祖父母の家。
姉、兄と手入れに行くたびに色んな再発見がある。
俳句を始める前は意識していなかった景色が
次々と目に飛び込んでくる。

庭で私が確認できたのは、
紫陽花
もみじ
紫木蓮

南天
スズラン
ムスカリ
椿
昔は芝桜もあった。

すべて華道の師範だったという祖父が植えたのだろう。
俳句が祖父に少し近づけてくれたような気がする。

そして私が確認できたのはこれだけだけど、
きっともっと沢山の種類があるし、
あったはず。

一度伐採した紫木蓮はまた大きな蕾をつけていた。

ピンボケ(笑)

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