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 豚に真珠
猫に小判
 裂けた口に水鏡
 
嘘という言葉をなぜ美しさに結びつけたくなるのか
私にとって美しさとは
本性
体温
言葉
優しさ
あの時私を励ましてくれた言葉の裏に
都合が隠れていた
私は励まされる人間で
頑張るべきだった
明日が晴れると予報が言うくらい
何気なく口からこぼれた
私は、不釣り合いなモノに囲まれている
私は、私の、
白い首にかけられたネックレス
彼女の、白く長い髭の先が、
世界に熔ける
 
猫の髭は異次元と繋がっていて
猫が時折平然と見せつける予知のような
なにか我々には到底理解できないような事を
あたかも当たり前のように知っているような
あのかわいらしい態度は
きっと僕の未来を知っていて、
この家のあしたの家を知っていて、
空は真っ青で、
真っ白な朝日を全身に浴びて、
 
今、窓辺で日向ぼっこをしている。
彼は大きなあくびをした
 
大きなあくびをした。
閉じた目の優しさに
今日も安堵する私がいる。

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