「1日10分日本国憲法」というスペースをやっている
今年2月4日から、Twitterで #1日10分日本国憲法 というスペースをやっています。
文字通り1日10分だけですが、できるだけ毎日やることを目標に続けてきました。それが6月6日までで99回になり、今日6月8日で100回を迎えます。
この記事は、100回を記念してこれまでの内容をざっと振り返ろうというものです。
このスペースを始めようと思ったのは、2月あたまにこのことを知ったのがきっかけでした。
これを読んだ感想を一言で言うと、「これ、ヤバいじゃないか!!!」だったと思います。
去年の衆議院選挙は、私のような野党を応援している人間にはとても残念な結果に終わりましたが、その後、その前までと比べて国会に悪い意味で変化が起きているのを感じました。
スペースを始めた後、この国を取り巻く状況が一瞬にして変わってしまいました。その今現在の危機感と比べると、それでもまだ随分と落ち着いたものだったようにも思いますが、それでも、今後の日本国憲法の行方を占う上で、7月に控える参議院選挙が本当に大事なものになるという思いがあったのです。
本当はそのもっと前から、ひとりで街角でスタンディングをやったり、あるいはそれが紙芝居なのか、記事を読むのか、憲法の朗読なのか……色々できたらというアイデアはありました。でも、「憲法」はさすがにテーマとして余りにもセンシティブすぎて、そこまでの勇気はありませんでした。
その申し訳ということもあったのかもしれません。
同時に、臆せず、もっと他人と政治について話をしなければとずっと思っていました。
毎日憲法についての発信をすることで、自分にとっての学びになるのはもちろんのこと、誰かに向けて切実さを少しでも共有できることができるかもしれないという思いもありました。
……ということで、毎日やることにしたのはいいものの、日々のネタ探しは想像以上に大変で、憲法と絡められる時事ネタを紹介したり、ただ憲法条文を読むだけの日もあれば、憲法に関連する本を読んだり、時には歌を紹介したり(笑) 積読本も多いのですが、自分の問題意識を深めるために買う本はやたら憲法関連の本になっていきました。途中からは、国会でその週憲法審査会を全部流すというなかなか荒っぽいというか暴挙とも言える「拡大版」もスタートしました。
99回を振り返ってみる
ということで、100回記念ということで、記事やトピックスとして振り返りやすいものを中心に、一部ですが取り上げてきたトピックスを一気に紹介したいと思います。
■2月4日 全都道府県で対話集会を 自民 憲法改正実現本部
■2月5日 憲法前文より「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」
この下の投稿が伝える非人道的な現実に怒り、心底恥ずかしいと思いました。
■2月7日 自民党改憲4項目
4つの「変えたい」こと自民党の提案
■2月14日 日本国憲法における外国人の人権
マクリーン事件(1978年)紹介 マクリーン事件とは、日本国憲法が保障する人権が、外国人に対してどこまで保障されるのかという点でも指導的な判例とされているものです。
■2月20日 憲法12条「国民の不断の努力」
「選択的夫婦別姓の導入を」高校生が国への意見書求める請願提出 宇治市議会 https://www.kyoto-minpo.net/archives/2022/02/17/post-27677.php
■2月26日 番外編「ウクライナ憲法」を読んでみる
ウクライナ憲法は1996年6月に制定されたとても新しい憲法ですが、これを読むことで報道だけでは見えてこないウクライナという国の在り方が少しだけ垣間見えた気がします。(しかし、全部で161条あり、長い条文も多くあり半分ぐらいまでしか読めませんでした……)
合わせて、ざっとですがロシア憲法にも目を通しました。ざっと見る感じでは民主的な条文もありつつもどこか国粋主義的で、プーチン大統領は終身支配を可能にするようなとんでもない憲法改正を2020年に実現させています。ロシアによるウクライナ侵略や、それにともなうロシア国内の情勢などと合致し、背筋の凍るような思いがしました。
■2月28日 ベラルーシで憲法改正 ロシアの核配備可能に
■3月3日 憲法14条「平等原則」と、水平社宣言から100年
いまも差別や偏見 水平社宣言100年、人間の尊厳尊重する精神
https://www.asahi.com/articles/ASQ2V4RBWQ23PTIL003.html
■3月5日 憲法36条「拷問及び残虐な刑罰の禁止」を入管に照らして考えてみる
ウィシュマさん 入管施設で死亡から1年 遺族らが法要 愛知
■3月7日 憲法15条2項「全体の奉仕者」と、赤木俊夫さん4回忌
■3月11日 鈴木安蔵さん/日本国憲法の間接的起草者(生誕地:福島県南相馬市小高区)を紹介 https://www.tokyo-np.co.jp/article/111320
■3月12日 憲法13条「個人の尊重」、14条「平等原則」
旧優生保護法 不妊手術強制で国に1500万円の賠償命令 東京高裁
■3月15日 寓話「茶色の朝」を少し読む
突然「茶色のペット以外は飼ってはいけない」という法律ができたことで起こる変化を描いた、フランスでベストセラーになった反ファシズムの寓話です。
この本は、今日本を巡る状況を多くの人にソフトにしかし痛烈に共有できるという意味で、ものすごくおすすめです!
■3月16日 「檻を壊すライオン 時事問題で学ぶ憲法」を少し読む
日本国憲法の統治システムの解説とともに、憲法に違反している現政権の事例を約50を紹介した、大ヒット書籍「檻の中のライオン」の発展版です。
■3月25日 憲法21条「表現の自由」、19条「思想の自由」
北海道警のヤジ排除「表現の自由侵害」 道に賠償命令 札幌地裁
https://www.asahi.com/articles/ASQ3T3Q49Q3RIIPE012.html
■3月30日 またしても憲法21条「表現の自由」、19条「思想の自由」
反戦デモを「新たな戦い」に例示 防衛省、記者向けの資料で
■3月31日 きたがわてつ「日本国憲法 前文の歌」
突然の歌登場です(笑)
この曲ホントにいいんですよ! 歌詞は全て前文で、耳に馴染みのあるような歌謡曲風のメロディーでつい口ずさみたくなります……ということで、少し前まで、スペースのオープニングテーマとして流していました。
きたがわさんがこれを発表したのは1983年で、この曲について「憲法は意外と知られておらず、音楽で表現しようと思った」「前文は人間に対するラブソング。そこには情熱と愛がある」と語ったそうです。
■4月1日 憲法25条「健康で文化的な生活」
「健康で文化的」な水準下回る住居 切り詰める単身女性の生活実態
■4月2日 「憲法改正に賛成?反対?」その質問はおかしい 立憲・泉代表が演説 https://www.asahi.com/articles/ASQ426249Q42UTFK00L.html
私は泉代表のこの考えに全面的に賛成です。
このスペースでは、現行憲法と自民党改憲草案との比較などもしていますが、たった1文字、たった1つの単語がなくなるだけで全く意味合いが違ってくる…このスペースを通じてそんなことを手探りで体感してきました。
もし誰かに改正に賛成か反対かと聞かれたら、「まずは改正案を一言一句揃えて出してもらわないと賛成も反対もない」と私は答えたいですね。
■4月3日 安倍元首相による「3分の1をちょっと超える国会議員が反対しただけで、国民の望む改憲ができないのはおかしい」発言がおかしい
この発言は、憲法学者の木村草太さんが平成25年(2013年)にラジオ番組で安倍氏に行った質問に対して返ってきた答えだそうで、木村氏による書籍「テレビが伝えない憲法の話」の中に登場します。
これにひとことだけコメントすると、「憲法改正の前に憲法守ってください」(憲法99条)としか言いようがありません。
これで、50回までの一部をピックアップしたのですが、とんでもない長さになりそうなので一旦ここまでにして、後日後半を追加したいと思います。
日々、色々取り上げてみて、これまで何気なく触れていた色んな社会的事例は、その多くが憲法と紐づけて考えることができる……言い換えると、私達の生活やこれにまつわる出来事は、想像している以上に憲法に密接しているんだなぁという大きな気付きがありました。
つづく
■日本国憲法
■自民党改憲草案(平成24年/2012年)4月27日決定
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