中国の爆売れ書籍の分析レポート
2021年5月18日、中国の出版業界誌、「出版人雑誌」は、中国の出版ビッグデータを有する「中金易雲」のデータに基づいて、過去2年で最も売れている60冊の本をピックアップして、今時代で爆売れ書籍になる要素は何かについて分析しました。
この中に、日本の書籍の事例も挙げられたので、一緒に見ていきましょう。
1.まず、この60冊の中、特に今中国で話題になってい本をピックアップします。それから、爆売れ書籍になる要素の分析について共有していきます。
你当像鸟飞往你的山(新経典)
モルモン教サバイバリストの両親に育てられた娘の驚愕のベストセラー回想録で、偏った信念や宗教によるマインドコントロールから抜け出して、自分自身を信じるための教育の重要性を語っている。
こちらは調べてみたのですが、日本語版はまだないようです。
(日本語での紹介記事はこちら▼)
この本は、2019年11月出版して以来、中国で平均毎月の販売数は3.6万部でベストセラーになっている。
沈黙のパレード精装版(東野圭吾) 文藝春秋
2020年3月出版、平均毎月の販売数は1.13万部。
断捨離(新版)广西科学技术出版社 やましたひでこ
2019年1月出版、平均毎月の販売数は0.83万部。
水野雅登さんの「減糖生活」(北京快読文化)
(日本語版:糖質オフ大全科 by主婦の友社)
2020年10月出版、平均毎月販売数6300部。
数年前日本で糖質制限関連の本を読んでいた時に、わざわざ中国の検索サイト「百度」で糖質制限を検索してみたのです。関連記事ほとんどなく、概念はまだ浸透していないという感じでした。
正直、その時、健康本はほとんど売れていなかったのです。健康に関する知識は、Wechat公式アカウントの購読誌からとるか、動画サイトなどで見ればいいという考え方でした。
(Wechat公式アカウントについては、こちらの記事をご参照ください。)
しかし、コロナの後、中国の人は健康意識が高まって、健康に関する本も売れるように聞きました。
この糖質制限の本は、その中ヒットしたのですね。
半小時漫画中国史(上海読客)
半小時漫画シリーズは上海読客出版社が2017年度4月発行した「30分でマンガで歴史をわかる」シリーズです。このシリーズは、中国の出版業界で何度も取り上げられている話題のものです。
5000年以上の中国の歴史を勉強するには、中国人としても非常に苦労するのです。しかし、わかりやすく、マンガの形だと、記憶しやすくて、楽しくて勉強できるのです。
最初は中国史、その後、世界史、中国哲学史など様々なジャンルへ展開。
このシリーズは2017年4月に発行して、2020年6月まで920万部です。わずか3年で恐ろしいですね。
この本の元は、Wechat公式アカウントで400万人のフォロワーが集まった混子曰さん(著者)からです。もともとWechat公式アカウントで連載の形で大人気なって、図書にしてからも大ヒット。
昔はマンガ形式の本は、実はあんまり中国で受け入れられなかったのです。中国人の頭の中、「マンガ」というのは子供が読むものというイメージでした。
しかし、日本のアニメを見て育ってきた30代は今大人になって、「マンガ」に対する親和性があるのです。
そして、多忙の中、このような気楽に読める本がちょうどいいのです。
陪孩子终生成长(磨鉄ブランド)(仮訳:子供と一生成長していく)
4000万人のフォロワーを持っている中国の本を解説する先生「樊登」が中国の育児や海外の育児本を多数読破し、自分の育児経験を生かして書いた一冊。自分の影響力のおかげで、ベストセラーとなりました。
本の中で、子供に成長させるには、3つの柱:無条件の愛、価値観、一生成長の心構えについて詳しく述べている。
稲盛和夫 「心」サンマーク
稲盛さんの本はいつもベストセラーです。他の記事も触れているので、ここで多く述べません。
小狗銭銭(中信)
こちらの本は別の記事も詳しくふれたので、よかったら、ご参照ください。
2.次に、60冊の本について、出版人雑誌が売れる本の原因について分析した結果を共有します。
①共産党建党100周年関連の書籍
ちょうどトレンドに乗って売れた経緯となります。
②著名作家と流行作家の作品
中国では、いったんベストセラーになると、ずっと売れ続ける傾向があります。
ノーベル賞受賞者莫言の晩熟的人(遅咲きの人)や東野圭吾の沈黙のパレードはまさに今までのIPの効果です。
③作家自身たくさんのフォロワーやファンを持っていること。
先ほどご紹介した、「陪孩子终生成长」のように、著者自分自身が4000万のフォロワーを持っており、その影響力を生かしてベストセラーとなったのです。
これは、日本の編集者が一定のファンを持つ著者を探すのと同じ感じです。
④ホットワード、トレンドに乗ってベストセラーへ
例えば2020年米中関係はホットワードであり、それに関連する本は結構うれた。また、2020年が紫禁城創建600周年に当たることで、故宮関連の本も注目された。
▼「故宮600年」
⑤読者の悩みを狙ってた本
例えば、コロナで心理的な悩みを多く抱えている読者をターゲットにし、果麦が「蛤蟆先生去看心理医生」を出版し、ベストセラーとなった。
こちらの原書は1997年出版された「Counselling for Toads 」という本です。
後、コロナの下で、生きる意義を考え始めるのもあって、「君たちはどういきるか」もベストセラーとなった。
⑥時代のニーズに合わせた改訂版のヒット
2020年コロナの最中で、新経典が『コレラの時代の愛』(コレラのじだいのあい、西: El amor en los tiempos del cólera)の記念版を出したのです。コロナの背景に合わせてちょうど読者の心に刺さって2020年のベストセラーとなった。
中国のベストセラーの分析はなかなか面白いですね。全部じゃないかもしれませんが、日本と似ている部分もあって、日本の出版社もこれらの事例から何かヒントになるのではないかと思います。
これから、中国の出版市場の情報、日本の出版市場との比較、日本の本、中国の本などの情報を随時共有します。
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