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2020年中国人読書レポートFrom 「当当網」

中国最大手のオンライン書籍販売サイト「当当網」(ダンダン・コム)は、2021年1月に2020年度の読書データ報告書を発表しました。
会員の5000万人の読書傾向から、中国人のニーズと社会のトレンドが見えてきます。

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1.販売数伸び率が最も高いのは法律ジャンルとなります。

2020年5月28日、新型コロナ性肺炎感染症流行の影響もあり遅れて開催された中国の全国人民代表大会において、長年議論が積み重ねられてきた「民法典」[1]が承認・公布されました。2021年1月1日から正式に施行されます。

 「民法典」は、これまで制定されてきた民事法に関する民法通則、民法総則、物権法、担保法、契約法、権利侵害責任法、家族法、相続法等の内容が、一つの法典として統合され、更に内容の一部が改正されており、中国民事法の集大成ともいえます。

それに伴い、中国人が法律に対する意識が高まり、データによると、民法典の販売数は中華辞典の8倍にものぼる。

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2.販売数伸び率は2番目に高いのは、投資類です。

去年中国株式が大幅上昇しており、多くの人が投資に関心を持ち始めました。

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3.三線都市における児童書の販売数の伸び率が一線都市に越える。

一言に「中国」といっても、広大な中国本土では、内陸部と沿岸部で生活レベルが全く異なる。そのため中国では都市のレベルを区分する言葉(1〜5線)があります。その分け方は細かく、そして明確な基準があるのですが、ざっくり、都市の成長力などを評価する指標として一線都市、二線都市、三線都市・・・のようにランキングしています。

成長力や経済力は、一線都市>二線都市>三線都市>四線都市

一線都市や二線都市の市民は基本経済力があり、生活が豊かなので、海外の情報に対する感度も高くて、いいものといい情報を手に入れる。

一線都市や二線都市の人は海外の教育方法や成功例などを知り、子どもの教育に力を入れています。

三線都市や四線都市はまだ発展途中というのもあって、意識がそんなに高くなかったのですが、今回のデータから、それらの都市の人も、子どもの教育における児童書の購入が増えていることが分かりました。

年齢別を見ると、0-2歳の児童書の販売率の上昇が最も早く、次に3-6歳、11-14歳、7-10歳となります。


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4.2020年販売伸び率の4位は科学普及類の本。

米中貿易摩擦で、中国人が自国のコアとなる科学技術などへの関心が高まりました。

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5.伸び率以外のトピックについては、

①旅行や、グルメ、趣味などの本は結構売れました。

2020年のコロナで、中国の生活のリズムがゆっくりなりました。在宅の時間が増え、趣味ごとに目を向けました。旅行はすぐいけなかったのですが、情報収集したようですね。

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②小さい地方都市の若者が多くの心理学系の本を購入したのに対して、一線都市の人がもっとも買ったのは、ビジネススキル関連の本です。

コロナの影響で、企業の採用はもっと慎重となり、物価や生活プレシャーが多い一線都市で働いている人は、ビジネススキルを磨いたのです。

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③伸び率が最も低かったのは出産関連でした。

中国では、今まで一人子政策でしたが、2013年には夫婦のどちらかが一人っ子であれば第二子出産もOKと条件が緩和され、そして2015年に「来年からすべての夫婦に二人までの出産を認める」と公表された。

しかし、急速の経済発展に伴う物価の上昇で、生活のコストと育児のコストを考えると、二人目の子供を産まない人が増えています。

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以上は、「当当網」の2020年読書レポートでした。

読書のトレンドから社会のトレンドが見えるところが面白いですね。多くの日本の出版社が将来のことを考えて中国市場に目を向け始めています。

中国の読書市場、中国人のニーズを知っておくと、様々な場面で役立つのではないでしょうか。

これから、中国の出版市場の情報、日本の出版市場との比較、日本の本、中国の本などの情報を随時共有します。

時間をかけて翻訳、整理しているので、フォロー、いいね、シェア、一つでもいただければ~~^^

See you~~

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