風船賛歌がグッときた話🎈
※ネタバレ含みます。
====
サニーデイ・サービスのワンマンを見に行った。この地では23年ぶりらしい。
曽我部さんが問う。
「23年前も来てくれた人いるのかな?」
何人か手を挙げる。
曽我部さんが答える。
「お互い歳をとったね。」
なんだかそのやりとりに、
ロックバンドの全てが詰まっている気がした。
時は流れて、考えも変わって、
守るものもきっと変わって、
もちろんアーティストも人間だから変わって、
でも我々にとっては、
おんなじ音楽が目の前で鳴るんだ。
楽曲にまつわるエピソードを曽我部さんが丁寧に説明してくれる。その話を微笑みながら聞くリズム隊のお二人も素敵だ。
「さっき海を見てきたの。」
その海がとても素敵で、なおかつその海端で親子が丁度やっていた航空ショーを見ていたらしい。
「それでこの曲やろうと思った」と、
“苺畑でつかまえて”。
「イギリスにいた時に東京の恋人を思い出し」て書いたという“NOW”。
愛犬との散歩中にふっと曲が降りてきたと、
“桜super love”。
からの、“春の風”“コンビニのコーヒー”“こわれそう”と怒涛の嵐。
ここでは書ききれない、丁寧なエピソードひとつひとつは、曽我部さんのもの他ならない。が、なぜだか私にも共有されてきて、でも私自身のその曲へのイメージも確固たるものがあって、
なんだか、双方の、否、あの会場にいた人のあらゆるその曲への想いが一つの風景となっているようだった。
ダブルアンコール、
ホワイトファルコンを片手にステージに駆け込み、ハウリング、そして、センターでセツナのイントロを奏でる曽我部さん。食いかかる田中さん大工原さんのリズム。ぎゅいぃーんと時空が、長年サニーデイを追いかけていた世代も、私のような再結成からしか知らない世代も、もう訳がわからないくらい一体感に溢れていた。汗も涙も関係なく、皆でピンクの呪文をかけていた。
帰りに物販でエッセイを買った。
サイン入りだからと唆されたのもあるが、
ライブを見て、改めて曽我部さんの生活のエッセンスを覗いてみたくなったというのが本音だ。SNSでは計り知れぬであろうエッセンスを。
翌日、読み進める。
その文章を読むにつれ、
自分の生活のカッコつけ具合が、
恥ずかしくなった。
カッコつけなんてものならまだ良いのかもしれない。ただ取り繕って、なんとなくその日が「良い日」だったと錯覚させている今の私の生活に。
私だって文章くらい素直になってたい。
いや、でもサニーデイ・サービスはいつだって素直な音を奏でていたはずだ。そして私はそれを聞いていたはずだ。
それを何かとかこつけて、わかってますよ風を起こしていたのは紛れもない私自身の問題。
曲解せず、ただ爆音で聞けばいいじゃない。
体の奥底にまで届ければいいじゃない。
風船讃歌のサビを全員で熱唱して、
青春狂奏曲のリフをラララと全員で熱唱して、
吹き飛ぶ3人の汗が照明に飛んでいるとき、
何を難しいことを考えている人が、
あのライブハウスに居ただろうか。
私含めあの瞬間、誰もが目の前の音楽に真摯に向き合っていた。ただ楽しんでいた。それで良いんだ。
それで良いんだ、と思わせてくれたサニーデイ・サービス。まだまだ私の心に春の風は吹いているし、その風に乗って赤い風船を飛ばし続ける🎈
もしよろしければサポートお願いします。 糖分補給の財源とします。