荒野を歩け

スタジオへ向かうバスの中で、お気に入りのベースケースの肩掛け部分が破れていることに気づく。危ない。もし千切れて落ちでもしようものなら(ベース本体、周りの人ともに)とんでもねぇ被害になっちまう。仕方なく片側だけ肩にかけてバスを降りる。5kg手前あるベースの重みを片肩で受け、2〜3kgあるエフェクターボードを片手に、バス停からスタジオまでテクテク歩く。なんだか心が折れそうになる。でもまだバスに乗れただけマシだ。去年の夏はお金がなくてバスにすら乗れなかったから。悲し。

今日は新曲を作った。0から1を生み出すときのパワーは計り知れない。あーでもない、こーでもないとワチャワチャ繰り返す。3時間浪費してゼロに戻してしまうときとかもある。うーーん、と悩みイライラしている時、世の中のあらゆる作り手を尊敬の念を抱く。でもイライラしても良いもんは作れなくて、アハハそりゃいいや、と笑い合ってる時のモノの方が出来が良い。今日は割と上手く行ったのでは？2時間で1曲の半分の土台を作り上げた。

帰りはなんとなく最寄りの駅まで歩くことにした。歩くと、むしゃ～とした感情が一個ずつ、片結びを解くようにほどけていくような気がする。すっかり暗くなった空と街灯を眺めながら、ふと腕時計を見たら乗ろうと思っていたバスの出発時間であった。まぁたまにはいいだろう。帰宅時間、駅のバスターミナルには様々な人がいて面白いのでそれを観察しながら次のバスを待とう。この人の人生の土台はなんだろう、隣でバスを待つ人を見ながら考える。私は圧倒的に音楽である。絡み合った複雑な感情を解きほぐし、土台のそれをしっかり露出させ、本当に好きなこと、やりたいことってなんだっけ？と向き直す。う～～ん、答えはない。

そんな日であった。以上昨日の日記。