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歌い続けるよ -徒然日記(2024.07.16)

例えば、BUMP OF CHICKENの「天体観測」という曲を知り、TSUTAYAで『jupiter』を借りてきて、1曲目の「Stage of the ground」に衝撃を受けた時。もはやいい意味で「天体観測」はどうでもよくて、ひたすらアルバムを聞き漁った。

一気にそのアーティストに対する景色が広がっていくあの感覚。このサウンドはどこから!?この歌詞の意味は!?誰の影響!?何を見ている?何を感じている!?「天体観測」というドアを開け、『jupiter』というドアを開けた先にあった世界は、放り出されたように深く、広いものだった。

話は変わって、かれこれ10年近く答えが出ず、未だに友人とよく話題に上がるのがサカナクションの「ミュージック」についてだ。初のドラマ主題歌になった「僕と花」でグッと知名度を上げた(と、当時の私は感じていた)サカナクションが、「夜の踊り子」でそのらしさを確立させ、その5か月後、2013年1月に8枚のSgとしてリリースしたのが「ミュージック」である。

この曲を聞いたとき、当時中学生だった私が抱いた感情は「怖い」であった。それは、良い!とかを超えたもはや恐怖に近いような興奮。こんな曲を世に放り出して、彼らはこの先どうなっちゃうの?って本気で思った。MVを凝視しながらこの感情は何?って。こんなすごい曲を出してしまって、サカナクションはこれで終わっちゃうんじゃないかって本気で思っていた。

正直そんなわけはないし、現にサカナクションは今でも活動しているのですべては杞憂なのだが。

大きく括ってしまえば私は音楽が好きだ。特段技術があるわけでも知識があるわけでもないが、それでも音楽を聴いてガツンと来る衝撃を感知することはできる。それは興奮か?恐怖か?喜びか?その感情の発現は不確かだが、そのエネルギーは、私が関知せぬ心の底の感情に突き刺さる。その衝撃をうまく言語化できなくても、あの時の感情のふり幅は忘れることが出来ないものとして、DNAの奥底に刻まれていく。そしてその曲を聞くたびにあの衝動が全身を駆け巡る。

ナンバーガールの向井秀徳がギターの弦を2本切ってやってる「透明少女」を見たとき、TMGEのフジロックのステージを見たとき、Laura day romanceの「Sad number」のMVを見たとき、B'zのライブを見に行ったとき、oasisを知ったとき。上げていけば枚挙にいとまがない。

なんでこんなことを急に思ったかというと、先日地元のバンドのステージを久々に見に行ったとき、久々にその衝撃を感じたからだ。しかも生のライブで。彼らは最初の1音でライブハウスのハコを染めた。その音は同時に私のそれを振り切らせた。彼らには"地元を代表して…"とかいうしょうもない枕詞は送りたくないのだが、私が住む街であんな音が生れたことはシンプルにうれしかった。

そのふり幅を否応なく刻み込まれ、帰宅した夜。
うれしかったのは、まだ自分にそのふり幅を出せるほどの感情があったこと。さらにうれしかったのは、その衝撃を与えてくれたのが彼らだったこと。

そっとプレイリストを更新した。



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