2023/06/22(木)のゾンビ論文 ゾンビと化すビザンチン将軍?

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」(メイン)

  2. 「zombie」(取りこぼしがないか確認する目的)

メインの検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する

  • 「-DDoS」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する

  • 「-xylazine」:ゾンビドラッグことキシラジンに関する論文を排除する

  • 「-viability」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

また、「zombie」の内容も確認するのは、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる目的である。

それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」二件

  2. 「zombie」四件(差分一件)

「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」は情報科学と感想文が一件ずつ件だった。


検索キーワード「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」


ゾンビとゴースト:省略障害が存在する場合の最適なビザンチン協定

一件目。

原題:Zombies and Ghosts: Optimal Byzantine Agreement in the Presence of Omission Faults
掲載:(現時点ではアーカイブのみ)
著者:Julian LossとGilad Stern
ジャンル:情報科学

ビザンチン協定は、そういうアルゴリズムがあるらしい。ビザンチン将軍問題とも呼ぶ。ビザンチン将軍問題に関しては次のnoteの記事が詳しかったので載せておく。

一応、Wikipediaも貼っておこう。

しかし、本論文中のzombieは、もちろん比喩としてのゾンビであるが、ビザンチン協定とどう関連するのか分からない。とりあえず、専門家が読めば理解できそうな気配が漂う文章を引用して、この論文に触れるのはおしまいとする。

A self-detected party can then react by ceasing to propagate potentially incorrect information in the future. … Hence, i concludes that it is receive faulty and shuts itself off in the protocol so as to not cause further harm to the remaining honest parties. In line with existing works, we will refer to such parties as zombies.
(自己検出された当事者は、将来的に不正確な可能性のある情報の伝播を停止することで反応できます。…したがって、i は受信に欠陥があると結論付け、残りの正直な当事者にさらなる損害を与えないようにプロトコル内で自身をシャットダウンします。既存の報告に従い、このようなパーティをゾンビと呼びます。

Zombies and Ghosts: Optimal Byzantine Agreement in the Presence of Omission Faults
本文より

将軍でたとえると、自分が裏切り者であると気づいて自死を選ぶ思考回路といったところだろうか。ジャンルは情報科学。


米国における新型コロナウイルス、気候、人種の複雑な時代: コルソン・ホワイトヘッドの『Zone One』における「異時間性」を読む

二件目。

原題:The Entangled Times of COVID, Climate, and Race in the US: Reading the “Heterotemporality” of Colson Whitehead's Zone One
掲載:Temporalities in/of Crises in Anglophone Literatures
著者:Rick Crownshaw
ジャンル:感想文

zombieの単語はColson Whiteheadによるゾンビ小説『Zone One』を紹介するためだけに使われる。

アブストラクトを読む限り、コロナウイルスや人種差別などの現実世界の社会問題を『Zone One』に投影しながら解説をするらしい。ならば、ジャンルは感想文。


検索キーワード「zombie」

このキーワードでは「zombie」ゾンビ論文がアラートに入ってくる。誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。

エピローグ: 自由意思のゾンビたち

原題:Epilogue: Free Will Zombies
掲載:A Companion to Free Willの第31章
著者:V. Alan White
ジャンル:哲学

自由意思というからにはジャンルは哲学。つまり、「-philosophical」で排除されたものと想像する。ただ、哲学的ゾンビではなく"free will zombie"(自由意思ゾンビ)が出てくる。その意味するところは読み取れない。


アメリカの叫び声: 田舎のお化け屋敷アトラクションにおけるジェンダー、資本主義、権力

原題:The American Scream: Gender, Capitalism, and Power in Rural Haunted House Attractions
掲載:Eastern Michigan Universityに提出された修士論文
著者:Betty Aquino
ジャンル:ジェンダー学

「-gender」に引っ掛かり排除された。

アメリカでは田舎の農場がお化け屋敷アトラクションを運営することもあるらしい。本当だろうか…。とても信じられないが。そのお化け屋敷にゾンビが出てくると。


まとめ

「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」は情報科学と感想文が一件ずつ件だった。

「-philosophical」と「-gender」で排除できた二件。これらを排除できて大変助かった。普段とは異なる哲学のゾンビに、読解に苦労することでおなじみのジェンダー学。これらを正確に説明しようとすると少なくとも一時間はかかるだろう。そういうものを排除できて本当によかった。

できれば情報科学の論文も排除したかった。情報科学に潜むゾンビは数が多すぎる。

今日はねらいのゾンビ論文なし。


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