2024/6月第四週のゾンビ論文 いつものゾンビ論文たち

本物のゾンビについて書かれた論文を探すべく、Googleスカラーのアラート機能を使い、ゾンビについて書かれた論文を収集している。

アラートの検索条件は次の通り。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」

  2. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」(取りこぼし確認用)

  3. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers "narrative"

「zombie」をキーワードにゾンビ論文を探しているのだが、比喩としてゾンビを使う論文も多いため、「-◯◯」で比喩としてのゾンビを扱うが論文を排除している。排除したいゾンビや論文は、以下の通り。

検索条件1には一般性の高い排除キーワードが含まれているため、それらが不必要にゾンビ論文を排除していないかを条件2で確かめる。ただし、「-narrative」で排除される論文の中にはねらいの論文が含まれている可能性もあるため、条件3も設定してある。

今回、6/24~6/30の期間で収集したが、なぜか6/24~6/26の期間がアラートの通知が来なかった(この記事の範囲ではないが、6/23も)。ゆえに、実質6/27~6/30だけだが、以下の通りの論文を得た。

  1. 「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」三件

  2. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」三件(条件1との重複を含めれば六件)

  3. 「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers "narrative"」37件

検索条件1は菌類学、書評、小説が一件ずつだった。


検索条件1「zombie -firms -philosophical -drug -biolegend -gender -narrative -network -AI」

マットの下には死者がいる: ゾンビアリの表現型が新たな視点で拡張される

一件目。

アラート日付:6月27日
原題:With the dead under the mat: the zombie ant extended phenotype under a new perspective
掲載:The Science of Nature
著者:Fernando Sarti Andriolliを筆頭著者として、四名
ジャンル:菌類学

Ophiocordyceps属と呼ばれるゾンビキノコに寄生されて操られる、ゾンビアリの表現型に関する論文。ゾンビキノコはアリを操って枝に噛みつかせることで、アリをしっかりと固定された丈夫な苗床とするが、その固定位置が地面から高いほど苗床の持続期間が長いらしい。また、枝に噛みつくだけではなく、木の幹のコケの下で苗床となる表現型も見られたそうだ。

ジャンルは菌類学。


キャリー・マック著『ゾンビ・アポカリプス・ランニング・クラブ』(書評)

二件目。

アラート日付:6月27日
原題:Zombie Apocalypse Running Club by Carrie Mac (review)
掲載:Bulletin of the Center for Children's Books
著者:April Spisak
ジャンル:書評

タイトルの通り、Carrie Macが書いた小説『Zombie Apocalypse Running Club』の書評。クィアの双子が超保守的な両親から逃れようとしたとき、ゾンビ・アポカリプスが起こって色々ある話らしい。

ということで、ジャンルは書評。


「オペレーション・インセクト」: 架空の短編小説

三件目。

アラート日付:6月27日
原題:"Operation Insect": A Fictional Short Story
掲載:Arizona State UniversityのCreative Project Collection
著者:Ascherl, Adelyn
ジャンル:小説

大学の講義か卒業制作で作られた小説。現在のアメリカの監禁問題に対する警告の意味を込めた、SF×ホラー小説。

ジャンルは、そのまま小説。


ゾンビ、宇宙ステーション、そして謎のウイルス!医学生にアウトブレイク管理を教えるオンラインゲーム

四件目。

アラート日付:6月30日
原題:Zombies, space stations and a mysterious virus! An online game for teaching outbreak management to medical students
掲載:Innovative Teaching and Learning Project
著者:Nikolas Scovellを筆頭著者として、四名
ジャンル:教育学

「医学部 1 年生にアウトブレイク管理の原則を教えるためのオンライン教育ゲーム」を作成し、使わせ、その様子を定量的にレビューする論文。おおむねねらい通りに、うまくいったと結論付けている。

ゲームの中身には言及がなく、学生のプレイした感想をまとめて短く報告している。中身次第では私が探している「本物のゾンビについて書かれた論文」としてもよかったのだが…残念。

ジャンルは教育学。



検索条件2「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers -narrative」

上記の条件でねらいのゾンビ論文を誤って排除していないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬、ゾンビPC、哲学的ゾンビおよび評論系の論文は排除されるように設定してある。

大衆文化におけるアンデッド・チャイルド: 過去、現在、そして保存されている子供時代の表現

アラート日付:6月27日
原題:The Undead Child in Popular Culture: Representations of Childhoods Past, Present, and Preserved
掲載:このタイトルの本がある
編集者:Craig Martin と Debbie Olson
ジャンル:評論

各国の不死者が描かれるフィクションの分析を行ったオムニバス本。この本から、次の二章が検索に引っ掛かった。

訳題:ゾンビを超えて:レ・レヴナント、ザ・リターンド(米国)、復活における復活した若者と違和感
原題:Beyond Zombies: Resurrected Young People and Incongruity in Les Revenants, The Returned (US), and Resurrection
著者:Karen Beeler
排除キーワードは、「-philosophical」。

訳題:White Futures Only: The Last of Us における人種化されたアンデッド
原題:White Futures Only: Racialized Undeadness in The Last of Us
著者: Lucas Cober
排除キーワードは、「-gender」および「-philosophical」。


C言語 の TCP/IP ソケット

アラート日付:6月29日
原題:TCP/IP Sockets in C
掲載:このタイトルの本がある
編集者:Michael J. Donahoo と Kenneth L. Calvert
ジャンル:情報科学

排除キーワード不明。おそらく「-network」だろう。内容も不明。タイトルから想像するに、C言語の教科書だろう。ゾンビPCについて言及があるのだろうか。



検索条件3「zombie -firms -xylazine -biolegend -DDoS -Chalmers "narrative"」

検索条件2の「-narrative」がねらいの論文まで排除していないか調べる。

以下、37件のゾンビ論文が見つかった。そのうち、「-narrative」で排除したかった評論・比較文化学・社会学など(太字で表示する)は計32件だった。つまり、残りの4件は意図せず排除してしまったゾンビ論文である。ただし、この中にねらいの論文はなかった。

まず、6/27の分。

  1. White Futures Only: Racialized Undeadness in The Last of Us(White Futures Only: The Last of Us における人種化されたアンデッド 評論)

  2. Beyond Zombies: Resurrected Young People and Incongruity in Les Revenants, The Returned (US), and Resurrection(ゾンビを超えて:レ・レヴナント、ザ・リターンド(米国)、復活における復活した若者と違和感 評論)

  3. Reclaiming the Border Narrative: Refugee Children as Victim, Witness, and Agent in Valeria Luiselli’s Lost Children Archive(国境の物語を取り戻す:ヴァレリア・ルイゼリの『ロスト・チルドレン・アーカイブ』における難民の子どもたちの被害者、目撃者、そして行為者 評論)

  4. Genre in transnational television: A case of Netflix Originals Korean dramas(多国籍テレビのジャンル: Netflix オリジナル韓国ドラマの例 メディア学)

  5. Chinese (Pseudo) Archaeology on Television: A Daomu Biji Case Study(テレビで放映される中国 (疑似) 考古学: 盗墓笔记の事例研究 評論)

  6. Interpretation in reverse: Remixing the Three Kingdoms(逆解釈:三国志リミックス 評論)

  7. An Expression of Complex Psychology in the Character of Aunt Patience: As a Gothic Component of Jamaica Inn(ペイエンスおばさんのキャラクターにおける複雑な心理の表現: ジャマイカ インのゴシック要素として 評論)

  8. Literary Representations of Pandemics, Epidemics and Pestilence ed. by Nishi Pulugurtha (review)(ニシ・プルグルタ編『パンデミック、疫病、疫病の文学的表現』(書評) 書評)

  9. ‘Just doing stupid things’ Affective affinities for imagining children’s digital creativity(「ただバカやってるだけ」子供のデジタル創造性を想像するための感情的な親和性 心理学)


次に、6/28の分。

  1. Polyvocality, Agency, and Memorialization in What Storm, What Thunder(『What Storm, What Thunder』における多声性、主体性、そして記念化 評論)

  2. Amplifying Voices in the Pandemic: A Critical Analysis of Citizen Journalism’s Emotional Narrative During COVID-19(パンデミックの中で声を増幅する:COVID-19中の市民ジャーナリズムの感情的な物語の批判的分析 メディア学)

  3. The impersonation artist: A novel with critical afterword: Displacement and dissent in fiction and art.(ものまねアーティスト: 批判的なあとがきのある小説: フィクションとアートにおける置き換えと反対。 文学)

  4. Cemetery meditations and Morbid Visions: death metal as a spiritual exercise(墓地での瞑想と病的なビジョン: 精神的な訓練としてのデスメタル 宗教学)

  5. Speculative wagers on the end of a world: Worldquakes, speculative fiction, and climate activism(世界の終わりに関する投機的な賭け: 地震、スペキュレイティブフィクション、そして気候活動 社会学)

  6. A REVIEW OF A FILM GENRE: A COMPARATIVE ANALYSIS OF SOCIAL FILM DRAMAS IN FILIPINO FILMS AND HOLLYWOOD FILMS IN THE YEARS 2011 - 2020(映画ジャンルのレビュー: 2011 年から 2020 年のフィリピン映画とハリウッド映画の社会映画ドラマの比較分析 評論)

  7. Gender, Media and Culture Wars(ジェンダー、メディア、文化戦争 メディア学)

  8. It’s the End of the World and We Know It(世界が終わる。みんな知っている メディア学)

  9. Do They Know I’m Black? Jordan Peele’s Get Out as a Reflection of  American Sociocultural Issues(彼らは私が黒人であることを知っていますか?アメリカの社会文化的問題を反映したジョーダン ピールの『ゲット アウト』 評論)

  10. Brasaj as Haitian Black Feminist Intersectional Thought(ハイチ黒人フェミニストの交差思想を演じるブラサージ ジェンダー学)


次に、6/29の分。

  1. The Regenarrative: How to Change the Story in Order to Change the Future(再生:未来を変えるために物語を変える方法 人文学)

  2. Imagined Realities: A Comparison of Fictional Representations of Graffiti in Pandemic Cinema and Graffiti Archaeology during the COVID-19 Pandemic(想像上の現実:COVID-19パンデミック中のパンデミック映画とグラフィティ考古学における架空のグラフィティ表現の比較 比較文化学)

  3. Twenty-first century film(21世紀の映画 比較文化学)

  4. Comics – A Children's Genre?: Censorship, Fantasy and Critique(漫画は子供向けのジャンル?:検閲、ファンタジー、批評 評論)

  5. Experiential literary geography in the mind and in Minecraft(心とMinecraftにおける体験的文学地理学 人文学)

  6. Spectral geography(スペクトル地理学 地理学)

  7. Loss of plasma fibrinogen contributes to platelet hyporeactivity in rats with septic shock(敗血症性ショックのラットでは、血漿フィブリノーゲンの減少が血小板低反応性に寄与する。 医学)

  8. Playful enquiry: between academic research and practitioner wisdom(遊び心のある探求:学術研究と実践者の知恵の間 教育学)


最後に、6/30の分。

  1. Post-apocalyptic fiction and its use in video-game worlds: A Comparative Analysis of Metro, Left 4 Dead and Dead Space(黙示録的なフィクションとビデオゲームの世界におけるその使用: メトロ、レフト 4 デッド、デッド スペースの比較分析 メディア学)

  2. TRANSFORMATION OF LITERATURE GENRES ON THE INTERNET (on the example of Kazakh authors)(インターネット上の文学ジャンルの変容(カザフスタンの作家の例について) 文学)

  3. Introduction – Living in dystopia: Fractured identities and COVID-19(はじめに – ディストピアで生きる: 崩壊したアイデンティティと新型コロナウイルス感染症 文学)

  4. Mindfulness and the Self: Mindfulness-Informed Integrative Psychotherapy(マインドフルネスと自己: マインドフルネスに基づいた統合心理療法 精神医学)

  5. Breaking the Fifth Wall: The Transformative Power of Blockchain in Virtual Music Performances(第 5 の壁の突破: 仮想音楽パフォーマンスにおけるブロックチェーンの変革力 芸術学)

  6. Japanese science fiction(日本のSF 比較文化学)

  7. Obsessive and Harmonious Passion by Vallerand in The Fabelman (2022)(『ザ・ファベルマン』ヴァレランドによる執拗で調和のとれた情熱(2022) 評論)

  8. From the Ashes we Rise: Television Fan Culture and The 100.(灰から蘇る:テレビ ファン カルチャーと The 100. メディア学)

  9. Comics from the 1930s to the 1960s(1930 年代から 1960 年代の漫画 比較文化学)

  10. Roleplaying simulations for international relations education: Cases of Russian Federation and Uzbekistan(国際関係教育のためのロールプレイング シミュレーション: ロシア連邦とウズベキスタンの事例 教育学)


最後に

検索条件1は菌類学、書評、小説が一件ずつだった。

特にコメントすることがない。得られるものはなく、よく見る学術的ゾンビが勢ぞろいしたという印象だ。検索条件3の結果もほとんどが排除したいジャンルに偏っていた。

これがGoogleアラートの空白期間によるものなのかどうかはわからない。もしも空白だった6/24~6/26に私の求めるゾンビ論文があったらどうしよう、とも思う。だがまあ、縁がなかったものとして諦めるか。真面目に探していれば、きっとそのうち会えるだろう。

今回はねらいの論文がなかった。


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