2023/04/20(木)のゾンビ論文 世界に羽ばたけゾンビ・パンデミックシミュレーション

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -company -philosophical」(経済学・哲学のゾンビ論文避け)

  2. 「zombie -firm -company」(経済学のゾンビ論文避け)

  3. 「zombie」(zombieの単語が入っていればなんでも)

このうち、「zombie -firm -company -philosophical」の内容を主に紹介する。ただし、この検索キーワードできちんと経済学と哲学のゾンビ論文がよけられているか確認するために、差分を簡潔に紹介する。

それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -company -philosophical」二件

  2. 「zombie -firm -company」二件(差分ゼロ件)

  3. 「zombie」三件(差分一件)

「zombie -firm -company -philosophical」の二件は教育学、感想文が一件ずつだった。


検索キーワード「zombie -firm -company -philosophical」


2009年、Munzらの「ゾンビアタック! ゾンビの感染拡大を数学的モデル作成」

一件目。

原題:2009-Munz-EtAl-When Zombies Attack-Mathematical modelling of an Outbreak of Zombie Infection
掲載:SIMODE
著者:Philip Munzを筆頭著者として、四名
ジャンル:教育学

P. Munzの「When Zombies Attack! …」はゾンビ・パンデミックシミュレーションを世界で初めて報告した論文である。私がnoteで一番初めに書いたゾンビ・パンデミックの記事はその一部を取り上げたものである。

概要だけ述べると、まず風邪やインフルエンザのような感染で広がる病気が生じたときに、その計時変化をシミュレーションするSIRモデルというものがある。Wikipediaもある有名な手法であるし、SIRモデルから得られる「再生産者数」という感染の危険度の指標はコロナ禍において聞いたことがある人間も多いのではないだろうか。

それをゾンビの感染に適用したのがこの論文である。SIRモデル改め、SZRモデル。そして、SZRモデルから発展させた3つのモデルも紹介している。ただ、紹介に終わっているため、それぞれのモデルの確からしさについてはあまり論じられていない。

アラートのメールを見たとき、ついにこの論文の続編が出たものと大変うれしく思ったのだが、単にこの論文を改めて紹介しただけだった。どうやらSIMODEというオープンコミュニティがあり、そこがエキスポを実施して、紹介したらしい。

そのエキスポ自体は教育を目的としているようなので、ジャンルは教育学とする。


面白い死:アメリカンホラーのユーモア

二件目。

原題:Dead Funny: The Humor of American Horror
掲載:このタイトルの本がある
著者:David Gillota
ジャンル:感想文

この本の紹介を引用する。

Dead Funny locates humor as a key element in the American horror film, one that is not merely used for extraneous “comic relief” moments but often serves to underscore major themes, intensify suspense, and disorient viewers. Each chapter focuses on a different comic style or device, from the use of funny monsters and scary clowns in movies like A Nightmare on Elm Street to the physical humor and slapstick in movies ranging from The Evil Dead to Final Destination.
Dead Funny は、ユーモアをアメリカのホラー映画の重要な要素として位置付けています。ユーモアは、無関係な「コミックリリーフ」の瞬間に使用されるだけでなく、主要なテーマを強調し、サスペンスを強め、視聴者の方向感覚を失わせるのに役立つことがよくあります。各章では、エルム街の悪夢のような映画での面白いモンスターや恐ろしいピエロの使用から、死霊のはらわたからファイナル デスティネーションまでの映画での物理的なユーモアとドタバタ劇まで、さまざまなコミック スタイルまたはデバイスに焦点を当てています。

https://www.rutgersuniversitypress.org/dead-funny/9781978834163
About This Bookより

で、ゾンビもその面白い、あるいは恐ろしいモンスターとしてどのように扱われているか解説する…と。

zombieの単語はいたるところにまんべんなく出現しており、とてもではないが追いきれない。そして、この本の意義もよくわからない。ホラー映画に出てくるモンスターの解説をしているから一体何なのだ。いや、すること自体に文句は一切ないのだが、人種差別としてのモンスター描写に切り込むとか社会情勢がホラー描写に影響したとか、最近そういう論文をたくさん目にしてきたので…。

ジャンルは感想文。映画の解説関連はこれ一本で行く。


検索キーワード「zombie -firm -company」(差分ゼロ件)

この検索キーワードは「zombie -firm -company -philosophical」との差分を表示する。-philosophicalは「philosophicalという単語を含まない」という条件を意味するため、主に哲学のゾンビ論文が差分として表示される。

この節では差分を見ることを目的とするため、各論文の内容にはできるだけ立ち入らない。

しかし、今回は差分がゼロ件だった。

検索キーワード「zombie」

このキーワードでは経済学・哲学のゾンビ論文がアラートに入ってくる。

「彼らは言う。私達は皆ゾンビと」:メディア化された国際的紛争の中でオーディエンスの役割を考え直す

原題:'They say we are all zombies': Rethinking the role of audiences in a mediatized international conflict
掲載:Global Media and Communication
著者:Triin VihalemmとJanis Juzefovics
ジャンル:コミュニケーション学

「-company」に引っかかっていた。掲載誌からして、ジャンルはコミュニケーション学で良いだろう。

まとめ

「zombie -firm -company -philosophical」の二件は教育学、感想文が一件ずつだった。

二日連続で大したヒットなしだ。しかもぬか喜びした分だけ失望も大きい。とはいえ、Munzらの論文が世界に広まっていることがわかっただけでも喜ばしくはあるが。

今日はねらいのゾンビ論文はなし。


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