2023/04/04(火)のゾンビ論文 火山にチーズを放り込む

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件を「zombie -firm -company」として、三件がヒットした。三件中、測量学、社会学、文学が一件ずつだった。

また、差分を見るために「zombie」の条件でもアラートを設定しており、こちらでは追加で七件がヒットしていた。

検索キーワード「zombie -firm -company」

Don't feed cheese to lactose intolerant volcano gods

一件目。タイトルを直訳すると「乳糖不耐症の火山の神々にチーズを与えるな」。26th Association of Public Authority Surveyors Conference (APAS2023) のProceedingsに掲載。著者はChris McAlisterとCatherine Hills。

26th Association of Public Authority Surveyors Conference (APAS2023)は以前のゾンビ論文チェック記事でも出てきた。以下の日付の二件目のゾンビ論文だ。

その論文はゾンビを使って科学研究に対する興味を持ってもらうための方策を論じたものだった。今回の論文も同じようにゾンビを使って教育を施すらしい。同じ会議で報告されているし、ジャンルは測量学としておこう。

この論文は六節で構成されており、そのうち二節はイントロと結論である。あとの四節がこの論文の主要な内容である。この四節は以下にその四節のタイトルを載せる。

・MAKING IT MODERN: SLACK & PADLET
・MAKING IT FUN: ZOMBIES, SCAVENGER HUNTS & ESCAPE ROOMS
MAKING IT REAL: EXAMS SUCK, WE’D RATHER BE DOING STUFF

Don't feed cheese to lactose intolerant volcano gods
本文より

そして各節は必ず次の項目で構成されている。

1. The issue(課題)
2. The Cheese(チーズ)
3. The Lactose Intolerant Volcano God(乳糖不耐症の火山神)
4. Throwing the Cheese into the Volcano(火山にチーズを投げ込む)

Don't feed cheese to lactose intolerant volcano gods
本文より

これだけでは意味がわからないのだが、第二節の中では各項目にかっこ書きで注釈がついている。

2. The Cheese (aka the Solution as We Saw It)
 (私たちがみた解決法)
3. The Lactose Intolerant Volcano God (aka the Problem with Our Solution as Told to Us by Others)
(他の人が私たちに語った私たちの解決策の問題)
4. Throwing the Cheese into the Volcano (aka the Results of Implementation)
(実施結果)

Don't feed cheese to lactose intolerant volcano gods
本文より

つまり、なぜかは知らないが、チーズとはある課題に対して試したかった解決方法であり、乳糖不耐症の火山神とはその課題に対して部外者がつけた文句であり、火山にチーズを投げ込むというのは実施結果である、と。(そもそも乳糖不耐症の火山神って何?)

ゾンビの節に関するチーズや火山に投げ込むことは、どうやらゾンビ・サバイバルというオリエンテーションについて課題の設定と解決を行うことらしい。ゾンビを引き合いに出して教育を行うものであるため、ゾンビそのものを研究するものとは言えない。よって、これはねらいの論文ではない。


Causation

二件目。タイトルの直訳は「因果関係」。The Routledge Handbook of Homelessnessという雑誌に掲載。執筆者はJoanne BrethertonとNicholas Pleace。

アブストラクトを読む感じ、ホームレスに関する論文である。zombieの単語は次の一文に現れる。

The first part of this chapter looks at the history of how homelessness has been interpreted. The second part looks at the important role of evidence and how it has informed debate, generating important new ideas about the nature of homelessness and also examines the persistence of ‘zombie ideas’ about causation that take little account of the evidence base.
(この章の最初の部分では、ホームレスがどのように解釈されてきたかの歴史を見ていきます。 2番目の部分では、証拠の重要な役割と、証拠がどのように議論に情報を提供し、ホームレスの性質について重要な新しいアイデアを生み出したかに注目し、証拠ベースをほとんど考慮していない因果関係についての「ゾンビのアイデア」の持続性についても調べます。)

Causation
アブストラクトより

ここから本文でゾンビがどう扱われているのか推測するのは不可能である。ホームレスの解釈を、ゾンビを通して変更するらしいのだが、欧米の人間はすぐに何かとゾンビを引き合いに出すため、どうとでも解釈可能なはずだ。

わからない。とりあえず、ジャンルは社会学で良いだろう。


Robert Glick: Public Reading and Conversation

三件目。タイトルの直訳は「ロバート・グリック: 公開読書と会話」。College of Saint Benedictの公開講義(プレゼン)。著者というか、プレゼンを話しているのはRobert Glick。

アブストラクトの一部を引用する。

Robert Glick is the author of the short story collection Two Californias (C&R Press, 2019) and an Associate Professor of English at the Rochester Institute of Technology, where he teaches creative writing, electronic literature, and the occasional course on zombies.
(Robert Glick は短編小説集『Two Californias』(C&R Press、2019 年) の著者であり、ロチェスター工科大学で英語の准教授を務めており、クリエイティブ ライティング、電子文学、ゾンビに関する不定期の講義をしています。)

Robert Glick: Public Reading and Conversation
アブストラクトより

これは論文ではなく、ロバート・グリックが講義する様子が収められている動画があるのみ。1時間分あるため視聴はしたくない。また、アブストラクトを読む限り、講義内でゾンビに言及することはないようだ。つまり、ゾンビが出てくるのは発表者の紹介文にのみ。まあ、事実であれば仕方がないか。

上記の紹介文の通り、ロバート・グリックはクリエイティブライティングや電子文学の講義もしているようだ。であれば、その手の話をしているはず。ジャンルは文学とする。


検索キーワード「zombie」との差分

「zombie -firm -company」との差分のみ、覚書として基本情報を記録しておく。ジャンルはほぼ勘である。

Accounting for Some Recent Deaths in South Africa: Zombie Economics Blues

タイトル:南アフリカでの最近の死亡者の説明: ゾンビ エコノミクス ブルース
掲載:Working paper
著者:Jogn Sender
ジャンル:経済学

Filming the zombies: Haitian Vodou religion through the prism of “White Zombie”

タイトル:ゾンビの撮影: 「ホワイト ゾンビ」のプリズムを通して見たハイチのブードゥー教
掲載:Universiteit Gent(修士論文)
著者:Liubov Tugolukova
ジャンル:映画感想

Prologue: A Bad Kind of Magic?

タイトル:プロローグ:悪い魔法?
掲載:How to Build a Stock Exchange The Past, Present and Future of Finance著者:Philip Roscoe
ジャンル:経済学

Role of the media in promoting the dehumanization of people who use drugs

タイトル:薬物使用者の非人間化を促進するメディアの役割
掲載:The American Journal of Drug and Alcohol Abuse
著者:Daniel Roy Sadek HabibとSalvatore Giorgi、Brenda Curtisの三名
ジャンル:社会学(薬物に特化)

X-Phi and the Challenge from Ad Hoc Concepts

タイトル:X-Phi と Ad Hoc Concepts からの挑戦
掲載:Synthese
著者:Michelle Liu
ジャンル:哲学

Persons and AI

タイトル:人間とAI
掲載:AI Ethics(雑誌)
著者:Paula Boddington
ジャンル:哲学

ReEnvisioning the Material Past: How to Educate and Engage Modern Students Using Visual Culture

タイトル:物質的な過去の再考: 視覚文化を使用して現代の学生を教育し、関与させる方法
掲載:ReEnvisioning the Material Past(本)
著者:Glenda Swan
ジャンル:哲学?
(zombieの単語は見つからないが…)

哲学が多い。まだphilosophicalは検索キーワードから排除していないが…?やはりcompanyを含む条件で検索して制御するべきだろうか?


まとめ

「zombie -firm -company」では、三件中、測量学、社会学、文学が一件ずつだった。

差分として「zombie」では、七件だった。

チーズの意図するところを調べるのに大分時間がかかった。元ネタがあるのだろうか?検索してもよくわからないものしか出てこなかったため、わからない。もし知っている方がこの記事を読んでいれば、コメントやSNSシェアで教えてほしい。

また、ホームレスについて述べた論文における「ゾンビのアイデア」もできれば中身を知りたかった。ネガティブな者であろうことは想像がつくが、日本とアメリカとでホームレスの扱いに差がある可能性があるため、具体的な想像までは難しいからだ。

今回も興味の尽きない内容だったが、大当たりはなし。


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