2023/10/03(火)のゾンビ論文 感染症が生む第二のパンデミックこと、人種差別
ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。
アラートの条件は次の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」
「zombie -firm -xylazine -biolegend」(取りこぼし確認)
検索条件は次の意図をもって設定してある。
「zombie」:ゾンビ論文を探す
「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する
「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する
「-DDoS」/「-botnet」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する
「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する
「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する
「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する
また、検索条件3では、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。
今回、それぞれのヒット数は以下の通り。
「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」一件
「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」一件
「zombie -firm -xylazine -biolegend」一件(差分二件)
検索条件1-3は教育学が一件だった。
検索条件1「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」
自然界に見られるプロジェクト管理の性質: 高等教育機関における比較研究
一件目。
原題:The Nature of Project Management Found in Nature: Comparative Study at High Education Institutions
掲載:International Journal of Engineering Pedagogy
著者:Karolina Macháčková
ジャンル:教育学
zombieの単語は"zombie mushroom"という文字列で出てくる。ほかには出てこないうえに蜂やアリ、オオカミなどと並べて紹介されているため、事例のひとつとして挙げられているに過ぎない。
"zombie mushroom"はその名の通り、ゾンビキノコのことだろう。アリに寄生し、行動を操る真菌類の一種だ。ただ、ゾンビキノコは通常"zombie fungus"と表されるため、そのままゾンビキノコと解釈するのは早計かもしれない。もしかしたら、ゾンビを彷彿とさせる不気味な見た目をしたキノコのことかもしれない。
ジャンルは教育学。掲載誌からもタイトルからも、それ以外に考えられない。
検索条件1-2の差分(差分なし)
「DDoS/botnet」で検索結果に差異が生じるか調べる。
今回は差分がなかった。
検索条件4「zombie -firm -xylazine -biolegend」
上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬は排除されるように設定してある。
感染力としての黒人:英米系SF作品における人種化された疫病と疫病対策
原題:Blackness as Infectious: Racialized Plagues and Anti-Plagues in Anglo-American Works of Science Fiction
掲載:Anglo-American Works of Science Fiction
著者:Giulia Magro
ジャンル:黒人映画学
「-gender」で排除。感染症が人種差別に結びつくことを、小説や映画の分析を通して訴える論文。つまり、本物のゾンビを扱った論文ではない。
取り上げられる作品は、『マンボ・ジャンボ』、『アウトブレイク』、『コンテイジョン』、『最後の人間』、『Earth Abides』、『アイアムレジェンド』、『Station Eleven』、『The Eternal Fight』、『影が行く』、『遊星からの物体X』、『ホット・ゾーン』、『ゾンビ伝説』、『Black Moon』、『私はゾンビと歩いた!』、『Up from Slavery』、『28日後…』。
人間ならざるモノが迫害される人種の投影であると分析しているようだ。ようだというか、そのような思想で映画のホラー映画のモンスターを分析する論文は多い。また、「穢れ」のある人間がゾンビとして定義される傾向も、そのような分析を促進していると、私は考えている。
興味はある。
まとめ
検索条件1-2は教育学が一件だった。
ゾンビ映画の分析論文は多くの映画が出てきて面白い。観たことのある映画であれば分析内容の検討ができるし、観たことがなければ次に観るものとして楽しみが増えるからだ。
ただ、小説の『影が行く』は人種差別よりもラブクラフトに連なるものという文脈で読み解くべき作品だと思う。映画版である『遊星からの物体X』はその読み方ができないこともないが、小説では人種がわからないからだ。私が明るくないだけで名前だけで人種がわかるのだろうか。
今回はねらいの論文がなかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?