2023/11/07(火)のゾンビ論文 過去に見覚えのあるゾンビばかり

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender

  2. 「zombie -firm -xylazine -biolegend -DDoS」(取りこぼし確認)

検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する

  • 「-DDoS」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する

  • 「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する

  • 「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

また、検索条件2では「-philosophical」と「-gender」という一般性の高い検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。

今回、それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」一件

  2. 「zombie -firm -xylazine -biolegend -DDoS」四件(差分は三件)

検索条件1は情報科学が一件だった。


検索条件1「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」

トラフィック分析のためのクロスネットワークエンベディング転送

一件目。

原題:Cross-network Embeddings Transfer for Traffic Analysis
掲載:IEEE Transactions on Network and Service Managementに掲載予定
著者:Luca Gioacchiniを筆頭著者として、七名
ジャンル:情報科学

たまに出てくる、zombieにスコアをつけて比較する情報科学系の論文。たとえば、ZombieとともにShadowserverやCyber.casa、 InternetcensusなどがProvider、 Customer、 Intersectionという項目で比較されている。その比較結果は表にまとめられており、表には以下の説明が添えられている。

Overview of the datasets for the Darknet knowledge transfer use case. The table reports the number of active hosts observed on the January 1st, 2023 datasets.
(ダークネット知識移転のユースケースのデータセットの概要。この表は、2023 年 1 月 1 日のデータセットで観察されたアクティブなホストの数を報告します。)

同論文より

「アクティブなホストの数」という言葉と、IntersectionShadowserverの検索結果を読む限り、ここでいうZombieとはゾンビPC(=botnet)のことと考えて間違いなさそうだ。その証拠に、論文を「botnet」で検索すると何個か使われている個所がある。つまり、「-botnet」を検索キーワードに設定していれば、この論文は排除できていたのだ。なんか悔しい。



検索条件4「zombie -firm -xylazine -biolegend」

上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業とゾンビドラッグ、ゾンビ試薬は排除されるように設定してある。

フランスにおけるカトリック教徒と極右勢力の侵害

原題:Catholics and the Far Right in France A Breach
掲載:The Christian Right in Europe: Movements, Networks, and Denominations
著者:Anne Guillard と Tobias Cremer
ジャンル:社会学

「-gender」で排除。zombieの単語は"zombie Catholicism"(ゾンビカトリック主義)という文字列で出てくる。ゾンビカトリックは過去にも記事で扱ったことがある。その時も極右勢力=保守主義者のカトリック教徒が注目されていた。

"zombie nationalism"(ゾンビナショナリズム)や"zombie Catholicism"(ゾンビカトリック)といった文字列が出てくる。タイトルの通り、(アメリカの)白人キリスト教徒のナショナリズムと人種差別について論じている。

次に、"zombie Catholicism"はフランスで生まれた概念。下記記事によれば、フランスはヨーロッパにおけるカトリック教大国であり、50%の国民が自信をカトリック教徒であると自認しているが、ミサなどに出ているのは5%程度であるとのこと。

『2023/08/23(水)のゾンビ論文 ゾンビナショナリズムにゾンビカトリック』より


クローズアップ: 現代の黒人ホラー

原題:Close-Up: Contemporary Black Horror
掲載:Project Muse
著者:Lauren McLeod Cramer と Catherine Zimmer
ジャンル:比較文化学

この著者二名の名前を見るのは二回目。Catherine Zimmerに限れば三回目だ。黒人が文脈の中心にあるホラー映画を主な分析対象として研究をしているらしい。

THE WORK OF HORROR AFTER GET OUT

六件目。タイトルの直訳は「GET OUT後のホラー作品」。Labors of Fear: The Modern Horror Film Goes to Workという雑誌の一章。何章目かはわからないが。著者はCatherine Zimmer

『2023/02/23(木)のゾンビ論文』より

Dossier: Spectacles of Anti-Black Violence and Contemporary Black Horror

六件目。タイトルの直訳は「ドシエ: 反黒人暴力と現代のブラック ホラーの光景」。掲載誌はBlack Camera。著者はLauren McLeod CramerとCatherine Zimmer

『2023/03/07(火)のゾンビ論文』より

Googleスカラーのアラートメールにはタイトルが『Close-Up: Contemporary Black Horror』で紹介されているが、リンク先を見る限りタイトルは『Dossier: Spectacles of Anti-Black Violence and Contemporary Black Horror』で、2023/03/07のときと同じだ。

何が起こっている?


スラッシャーリメイク版の違い

原題:Distinction and Difference in the Slasher Remake
掲載:Reanimated: The Contemporary American Horror Remakeの第四章
著者:Laura Mee
ジャンル:比較文化学

これも過去に扱ったことがある。なぜ今更、再び引っ掛かったのか。

これも、何が起こっている?



まとめ

検索条件1は情報科学が一件だった。

11月から心機一転してゾンビPCの排除キーワードを「-DDoS」に一本化したにもかかわらず、それがまんまと裏目に出た。悔しい。最近ゾンビ論文のチェックで生活が圧迫されつつあるため、四の五の言っていないでメインの検索条件のキーワードを盛ってもいいかもしれない。

また、取りこぼし確認用の検索条件でも過去に扱ったゾンビをまた扱っている。取りこぼしが心配だから設定した検索条件ではあるのだが、"zombie Catholic"は明らかに本物のゾンビから外れるため、「-Catholic*」を排除キーワードとして盛り込んでも良い気がする。アスタリスクはワイルドカードと呼ばれるプログラミングにおけるキーワードで、「Catholic*」は「Catholicで始まるすべての単語」を意味する。これならば、CatholicもCatholicsもCatholicismもすべて排除できるというわけだ。

11月はとにかく排除キーワードを考える月にすべきか。

今回はねらいの論文がなかった。


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