2023/07/18(火)のゾンビ論文 ドップラーレーダーでスマホゾンビを判定する

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -biolegend -gender」

  4. 「zombie」(取りこぼし確認)

検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する

  • 「-DDoS」/「-bot」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する

  • 「-xylazine」:ゾンビドラッグことキシラジンに関する論文を排除する

  • 「-viability」/「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

また、「zombie」の内容も確認するのは、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる目的である。

それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」四件

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」四件

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -biolegend -gender」四件

  4. 「zombie」七件(差分三件)

「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」は菌類学、情報工学、ゲームデザイン学、経済学が一件ずつだった。



検索キーワード「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」


28分後: オフィオコルディセプスによるゾンビアリの寄生操作におけるアフラットレム様化合物の役割の調査

一件目。

原題:28 Minutes Later: Investigating the role of aflatrem-like compounds in Ophiocordyceps parasite manipulation of zombie ants
掲載:Animal Behaviour
著者:William C. Beckersonを筆頭著者として四名
ジャンル:菌類学

ゾンビアリに関する論文。ゾンビアリとは、真菌類に寄生されて身体をコントロールされてしまったアリのこと。冬虫夏草あたりが有名か。

Ophiocordyceps(オフィオコルディセプス)は真菌の一種で、典型的なゾンビキノコらしい。

で、その真菌がaflatrem-like compoundsという化合物を分泌するので、ゾンビアリの操作における役割を調べた、と。そういう論文だ。うーむ…ただタイトルを説明しただけだ。

ジャンルは菌類学。ゾンビアリはすべて菌類学とする。

余談だが、タイトルの28分後はもちろん『28日後…』のパロディ。28分という数字自体は論文に関係がない。


マイクロドップラーレーダーに基づく一般歩行者とスマートフォンゾンビの歩行分類

二件目。

原題:Micro‐Doppler Radar‐Based Gait Classification of Common Pedestrians and Smartphone Zombies
掲載:IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering
著者:Kazuki Yasudaを筆頭著者として五名
ジャンル:情報工学

"smartphone zombie"(スマートフォンゾンビ)こと、"smombie"(スモンビー)。日本語で言うところの歩きスマホに関する論文。

マイクロドップラーレーダーと機械学習?(ニューラルネットワークは機械学習の一種であっているのだろうか?)を組み合わせて、歩行者が歩きスマホをしているかどうかを判定する論文らしい。分類制度は90%を超え、Grad-CAMなる画像認識の解析手法を用いると歩きスマホには足の動作に特徴があるのだとか。

人間ならば一目でわかると思うのだが、それを機械に判定させる動機があるのだろうか。

ジャンルは情報工学。コンピュータ関連は情報科学、コンピュータで得られるものを応用したら情報工学と呼ぶことにしよう。

ちなみに著者は日本人。責任著者は立命館大学の馬杉正男教授。上記と同様、ドップラーレーダーを用いて人間の行動を解析する研究を得意としているようだ。


総合的なフィットネス アプリケーションを作成するためのコンテキスト デザイン アプローチ

三件目。

原題:A Contextual Design Approach for Creating a Holistic Fitness Application
掲載:International Conference on Human-Computer Interactionのポスターセッション
著者:Chandni Murmu
ジャンル:ゲームデザイン学

フィットネスアプリケーションというのは、現実世界の地図情報を使ってプレイヤーを様々な場所に走らせるスマホアプリのこと。走らせるポケモンGoのようなものと捉えればよい。そのフィットネスアプリケーションのデザインに関する論文。

ざっくり「アプリのデザイン」と書いたが、実際はもっと詳細に書いてある。私が理解できないためそのように省略したまでだ。

フィットネスアプリケーションに『Zombie Run』というアプリがあるため、ゾンビ論文としてヒットした。過去にも扱ったような気がしたが、どうもアプリの名前が違う。過去に扱ったのは『Zombies, Run!』というタイトルのアプリだ。

しかし検索すると『Zombies, Run!』しか出てこない。この論文の著者が間違えていると考える方が自然か。

ジャンルはゲームデザイン学。


銀行破綻処理メカニズムの再考:再編の新時代に向けて

四件目。

原題:Bank Resolution Mechanisms Revisited: Towards a New Era of Restructuring
掲載:Journal of Financial Stability
著者:Aneta HryckiewiczとNatalia Kryg、Dimitrios P. Tsomocosの三名
ジャンル:経済学

“zombie lending”の文字列が見つかったため、ゾンビ企業関連の論文。ただ、ゾンビ企業よりも貸し付けの方に焦点を合わせているらしい。したがって、「-firm」で排除されなかったと思われる。

ジャンルは経済学。


検索条件の差分

「DDoS/bot」と「viability/biolegend」で検索結果に差異が生じるか調べる。

今回は差異がなかった。ゾンビPCもゾンビ試薬も出てこなかったため、妥当と言える。



検索キーワード「zombie」

このキーワードでは「zombie」ゾンビ論文がアラートに入ってくる。誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。

Novel-tyについて;あるいは、小説の嘘、または Twitter 上の 3 人の学者が、私たちに 1 世紀にわたる偽りの形式的な批評を与えてきた起源神話を繰り返す文学批評の歪みを診断する必要性をどのようにして同時に認識したか

原題:On Novel-ty; Or, The Lies of the Novel, or How three scholars on Twitter simultaneously recognized the necessity of diagnosing a strain in literary criticism that reiterates the origin myths that have given us a century of bogus formal critique
掲載: Eighteenth-Century Fiction
著者:Hermes Trismegistus
ジャンル:文学

タイトルが長く、またアブストラクト読むと私が苦手なタイプの論文だとわかる。おそらく「-gender」で排除されたのだろう。

ジャンルは文学か評論かどちらかだが、タイトルで文学批評に絞っているため文学でよいだろう。


文学におけるクィア表現: タムシン・ミュアとともに自己探求とアイデンティティへの扉を開く

原題:Queer Representation in Literature: Opening the Door to Self-Exploration and Identification With Tamsyn Muir
掲載:Southern New Hampshire Universityに提出された修士論文(ProQuestのみ)
著者:Kendra Hurst
ジャンル:文学

"Queer"ときたら「-gender」で排除されたと考えるほかない。Tamsyn Muirは小説家。ならばジャンルは文学でよいだろう。


コモディティ価格と双子のバランスシート危機

原題:Commodity Prices and the Twin Balance Sheet Crisis
掲載:CSEP Working Paper
著者:Abhishek KumarとDivya Srinivasan
ジャンル:経済学

ゾンビ企業が出てくる論文。内容は経済界全体の概論だろうか。



まとめ

「zombie -firm -philosophical -bot -xylazine -biolegend -gender」は菌類学、情報工学、ゲームデザイン学、経済学が一件ずつだった。

ゾンビ企業を「-firm」で排除したが、ゾンビ企業を生み出す源であるゾンビ貸し付けまでは排除できなかった。企業がゾンビなら銀行の貸付は倉庫に保管されたトライオキシン245だ。元を絶たねばゾンビに対抗できない。

という与太はともかくDDoSとbotやviabilityとbiolegendと同じように、firmとlendingを比較すべきだろうか。あるいは、lendingも入れてみるとか。何もかも入れるのは性に合わないのだが。

今日はねらいのゾンビ論文なし。


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