鬼滅の刃以外も面白いんですよ、週刊少年ジャンプ

鬼滅の刃最終回

とうとう「鬼滅の刃」が最終回を迎えてしまいました。3週前くらいに決着はついたので、エピローグという感じでしたね。ドイツにいてもアプリのおかげでジャンプが毎週月曜日に読めるなんて、有難すぎます。

ドイツでももちろん「鬼滅の刃」は人気でして(アニメを見ている人がほとんどですが)、知り合いから「大変だ!最終回だって!」と連絡が来たくらい。ちなみにアニメも漫画も海外では海賊版が横行しておりますので、集英社が英語版を無料で公開するという対策に出ており、細々とドイツで知り合った日本のアニメや漫画好きにはこの英語版をお勧めし、海賊版撲滅運動を陰ながら続けております(日本のアカウントでは見れず残念)。ちなみに昨年行った欧州最大のアニメ・ジャパンエキスポであるDokomiでのコスプレでは、まだまだ「NARUTO」人気が高かったですが、今年はきっと鬼殺隊員が溢れるだろうと踏んでおります(中止になるかもですが)。

途中数年読まない時期はあったものの、30年来の週刊少年ジャンプ読みとしては、確かに面白いものの、なぜ「鬼滅の刃」だけがここまで老若男女問わず人気が出たのか不思議に思っておりました。

圧倒的な敵の強さに仲間がどんどん倒れ絶望する展開は、「NARUTO」や「BLEACH」の最終決戦でもありましたし。「BLEACH」なんて、(ジャンプじゃないけど)「絶望先生」かとツッコみたくなるほどに毎週すごい絶望しまくってましたよね。主要キャラだと思われていた人が亡くなってしまう展開は「鬼滅の刃」に限らずよくありますし。

ゴールを明確にすることで得られるもの

その中で「鬼滅の刃」の凄さは、最初から最後までゴールが決まっており、それがブレなかったことなのかなと思います。この場合のゴールとは、鬼=鬼を生み出す鬼舞辻無惨を倒すこと。

主人公の竈門炭治郎は家族を鬼に殺され、生き残った唯一の妹を鬼にされたことから、家族の仇討と妹の救助・他の人を犠牲にさせないという目的を初回から持ちます。そのため徹頭徹尾この漫画の目的は鬼退治です。設定を初志貫徹させるって当たり前のように思うかもしれませんが、案外難しいなというのは「幽☆遊☆白書」を思い出して頂ければご納得頂けるかと。

またせっかく苦労して生み出し、人気の出たキャラクターや設定を生かし続けたい思いもあるのでしょうか。最初から大きなゴールを決めず、いわゆるスモールステップ(ハンター試験合格に合格したら、次はキルアを連れ戻して、裏ハンター試験に合格して~「HUNTER×HUNTER」)で少しずつ話を進めていく漫画もジャンプの王道です。一話完結型でない長編ストーリー漫画はこのパターンが多いですよね。鬼滅の刃も内容はスモールステップを踏んでおりますが、最終ゴールはずっと明確でした。

このゴールを明確にしたことで鬼滅の刃は、

①仲間や敵をガンガン殺すことができた

②単行本で20巻くらいの長さにまとまった

ことができたのかなと。

①に関しては、バトル漫画にありがちな、敵がめちゃくちゃ強くて冷酷無比なのにとどめを刺さない謎の恩情を与えてくれたり、瀕死の状態から生き残った上に何度も戦えてしまうアイテムや魔法を扱える人などのご都合主義が発生せず、また主要キャラクターが亡くなる場面は主人公の成長や物語のクライマックスを作るのに非常に効果的ですが、そのカタルシスがたびたび味わえるという点でも、ストーリーに没頭できる効果が生まれたかと思います。一人ひとりの最期は敵も含め強烈ですが、個人的には戦闘不能となった宇随さんや傷痍軍人のようになってしまわないか心配な不死川さんのように、「生き残る=無事」でないと漫画で描いたことが衝撃でした。

②に関しては、今から読もう・集めようと思った漫画がすでに30巻…となると断念することもありますが、途中から読み始めた人たちにも優しい巻数であり、ワンピースのように新たなエピソードが追加されるごとに仲間が増えていき、主要メンバーの見せ場が少なくなるということもありません。義勇さんと時任さんが時々混同してしまったヒヨコ頭の私にとっては、キャラクターが把握できるくらいの人数だというのも重要でした。

他にもキャラクターが個性的で魅力的、呼吸という日常で真似しやすい技であったこと、アニメの放送時期などなど人気の出る要素がたくさんあった上でのこの人気かと思いますが、私としてはゴールの明確化が大きな理由だったのではないかと。

ハイキュー‼の凄さ

それで要するに何が言いたいかというと、バレーボール漫画「ハイキュー‼」がめちゃくちゃ面白いよ!ということなのです。え?そっち?

「ハイキュー‼」は、上に挙げた要素に何一つ引っかからないのに面白いのが改めて凄いなあと思うわけでして。漫画の面白さって公式に当てはまらないですよね、ほんと。

高校生のスポーツ漫画の目的がほぼインターハイでの優勝にあるのに対し、春高が終わった今はゴールを設定するのが難しいプロ編に突入。この試合終わったらどうするんだろう、とドキドキわくわく。既刊43巻も出ているのに、V.LEAGUEに進んだメンバーに厳選することで登場人物を調整、するかと思いきや見学に来た・また来ていない同窓生たちの回想もきちんと入れてくることで脱落するキャラクターがいない。

春高編では毎号がクライマックスや~!と毎週毎週バレーボールのスピード感やゲームとしての面白さを絵や画面構成で伝えた上に、人物を掘り下げるエピソードも感動するという怒涛の展開だったわけですが、プロ編でもたった19ページの中でさらに成長した登場人物の、きっかけとなったエピソード・威力を増して繰り出される技など、スポーツ漫画の面白さのすべてが味わえます!おまけに題材がバレーボールの漫画なのに、消える魔球やデータや予知で予測するボール軌道、殺人サーブも何もないんですよ!?信じられます?

「鬼滅の刃」が終わってもまだそんな面白い「ハイキュー‼」が週刊少年ジャンプで連載中です。「僕のヒーローアカデミア」もなかなかのクライマックスですし、「約束のネバーランド」も終わりそう。「Dr.Stone」は科学の進んだアメリカ編、「アクタージュ」もついに映画撮影?と新展開。最近掲載順が後ろの方なので心配な「呪術廻戦」は早く五条先生が復活してほしいし、だんだんわけがわからなくなってきた「チェンソーマン」などなど。欲を言えば、ギャグマンガに期待したいところ。そんな週刊少年ジャンプを何歳になってもどこにいても愛読していく所存です。

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