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人生ハ短キモ事業ハ長キコト

「人生ハ短キモ事業ハ長キコト、実二ふあんどーるん君二於テ之遠見ル」

この一文は、19世紀、明治初期の日本に来て、有名な福島の安積疏水(あさかそすい)を作ったオランダ人技師に捧げられた言葉だ。

人生は短きも事業は長きこと

かつて、現在のように土木技術や科学技術が整っていない時代は、疏水地を作ったりダムを作ること、また水路を作ることも数年から数十年がかりだったようだ。

前掲の安積疏水も、3年の年月を費やし、延べ85万人の労働力を注ぎ込み、総経費40万7千円(現在の貨幣価値に換算すると約400億円)を投じ、明治15年8月、幹線水路の延長52キロメートル、分水路78キロメートル、トンネル37か所、受益面積が約3千ヘクタールが出来上がっている。
(※郡山市HPを参考に)

85万もの人々を動かしてやっと3年。まるで古代エジプトのピラミッド作りようだ。

しかし、それだけの人を動員でき、経費を負担したのも、すべては未来の国土づくりを見据えてのことである。安積地域の人々や国家が、自分たちが苦労してでも、100年後の我々が暮らしやすいように、飢えたりしないようにと願い作ったのだ。

そのおかげで、現在では日本三代疏水地の一つとなった。江戸時代は「安積3万石」と言われた土地は「安積30万万石」となった。
私の故郷、島根県の県庁所在地、かつての松江藩はおよそ19万石だから、この疏水工事がいかに凄まじい効果を上げたか理解できる。

翻っていま、僕らはどれだけ長期的な目線で暮らしているだろうか。

目先の利益や娯楽につられて「未来」を見据えていないのではないだろうか。
衰退が進む地域、環境問題、少子化、高齢化、国債の発行、災害復興、オリンピック、そしてコロナ。

全てがすぐには解決しなさそうな問題だ。

きっと僕が死ぬまでに全てが解決することはないだろう。けど、解決するきっかけを作り出すことはできる。

問題を問題のまま後世に残さない。自分たちの時代だけじゃ間に合わないこともある。けれど、道筋を示し、途方もない道のりを僕らから始めなくてはならない。

「人生ハ短キモ事業ハ長キコト」なのだ。自戒を込めてnoteに記したい。

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