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東桜と孵化(2019.9.22)

短歌のイベントで名古屋へ。辻聡之さんの歌集『あしたの孵化』の批評会。批評会というのは、3人くらいパネリストがいて、それぞれにこの歌集をどう解釈するかとか、よいところや問題点などを発表し合って、どんな歌集なんかを読み解いていく、みたいなトークイベント。勉強とか研修みたいなイメージやからうちはあんまり好きじゃなかってんけど、『ベランダでオセロ』を読む会が楽しかったので、そういう短歌の楽しみ方もアリやな!と思い始めてたところ。

第一部がパネルディスカッションで、後半がアフタートーク。パネリストは、門脇篤史さん、立花開さん、山階基さんで、司会が谷川電話さん。みんな歌人。歌集って、栞という解説冊子みたいなのが付いてることが多いねんけど、うちはあれを読むと(そうじゃなくない?!)という気持ちになることが多くてなるべく読まんようにしててんけど、話を聞けば、なるほどなーとか、そういう考えもあるのかーとか、おもしろく聞けるもんやな。

この話がおもしろかった!ってのを日記に書こうと思ってたのに、全然思い出されへんわ。もらったプリントにいろいろメモしてあるけど、話を聞いて自分がこう思ったとか気づいたことしか書いてへん。人の考えを聞いて、自分の考えが更新できるのがええんやろな、ってことにしとこ。

ちなみにどんなメモを取ってたかというと、
「主人公一人…弟家族。ときどき動くからときめく」→歌集の中に主人公は一人のみ。弟家族の話が出たり入ったりして、主人公に大きな動きはないが、ときどき小さな変化を見せるから読者として短歌にときめくのやと思う。ということ。
「調整・模倣←自分で、調整やなぁ、模倣やなぁ、と思ってる。さめてる所。」→これは山階さんの話から。少しさめたところがあるけど、自分自身でも調整やなぁと思いながら調整の短歌を作ったり、模倣やなぁと思いながら模倣の短歌を作ってるのでは?と思った。ということ。
「デート?」→水族館に行く連作があるねんけど、うちは一人で水族館に行ってると思ってたら、デートだという意見が出てたのでびっくりして書いた。
「ふつうに使われる野球用語、変化球」→これはもはや歌集関係ないけど、野球じゃない文脈で使われている野球用語を集めたらどんなんがあるんやろう、と思ってメモした。

第二部のアフタートークのときに、辻さんが「思ってたよりおもしろかった、ってじゃこさんに言われたのが嬉しかった。」という話をしてて、なんと失礼な奴やなと思われてしまうのでは?!と心配になった。おもしろかった、だけでええやん、思ってたよりってなんやねん!って感じやでな。もう名古屋に行けなくなってしまう……ふるふる……と怯えてたけど、二次会でみなさんたくさん喋ってもらえたので楽しかった!名古屋最高です!

ただアフタートークはちょっとぐだぐだすぎやと思うな。批評会開催についての話はおもしろかったけど、もうちょっと歌集制作の話とか、連作の話とか、辻さんについての話が聞きたかったわ。脱線していいのは脱線した先に別の世界がある場合のみやで。

感触が濡れたナスだと聞きしよりイルカはずっとうつくしい茄子
夕凪の浜崎あゆみ爆音で流るるなかを夏死にゆけり

『あしたの孵化』
辻聡之/著 短歌研究社

#日記 #短歌

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