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能面Valentine

正月が明けるとすぐにショーウィンドーは様変わりし沢山のチョコレートが並ぶようになる。バレンタインデーは2月14日なのに一月も前からチョコレートを用意するものなのかなぁと不思議に思いながら今年のバレンタインはどうしようかと考えていた。

昨年は妊娠していたため思ったように動けず缶詰の中にイワシ型のチョコレートが入ったものをネットで取り寄せた。本当はイワシでは無く鯖が欲しかったのだが… そしてその前はサヴァレンタインということでワイン屋さんに置いてあったおしゃれな鯖缶を購入してワインと共に開けたような記憶がある。
折角なので今年は手作りにしても良いかもなと思い始めてきた。
鯖にしようか、いやしかしインパクトが強いのはやはり能面ではなかろうか。
ということで能面チョコレートを作ることにした。

幸い、型になりそうなプラスチック製の能面が手元に2枚ある。それとホワイトチョコレートを用意すればなんとかなるだろう。

…しかしどうやって作ろうか。
PlanA…犬山たみ 方式

これは、大きめの型に溶かしたチョコレートを流し込み能面をダイブさせる方法である。
※犬山たみとは吉田戦車先生の名作“伝染るんです”の1巻に登場するキャラクターである。彼女はハート型のチョコレートに顔面からダイブして型どったものを山本先輩に渡そうとする。

PlanB…プラスチック面を型にする 方式

読んで字の如く、既存のプラスチック面の内側にチョコレートを流し込んで固める方法。

Plan Aだと貰った側からすると意味不明だろうし、PlanBだと能面にチョコレートを流し込むのは良いが固まった後に綺麗に外すのが困難だろうと考えた。

やはり能面チョコレートを素人が作るのは難しいのだろうかと諦めつつ、自分でチョコレートの型を作った人がいないかとネットで検索すると食品用シリコンやもっと身近なものだとお湯で柔らかくなるプラスチック粘土で型を作っている人をちらほら見かけた。
(とはいえ、プラスチック粘土は食品の型取り素材として指定されているものではありませんので、あくまでも自己責任にはなります!!

食品用シリコンは高価で且つ店頭で気軽に購入できるようなものではないので今回はプラスチック粘土、おゆまるを使用してチョコレート型を作ることにした。

はて、おゆまるは一体どれくらい必要になるだろうか。人の顔面に覆いかぶさるくらいのものを型取りするのでそこそこ量は必要だろうなと考え、一先ず市販のもので一番大きな24本入りを入手した。

これだけあれば何とかなるだろうか。ひとまず試してみるしかない。

まずはおゆまるを80度の熱湯に2〜3分つけ、柔らかくする。

なんだかとても綺麗な色味なので一瞬でごちゃ混ぜにしてしまうなんて勿体ないなと思えてきたが、心を鬼にして釜茹での刑に処す。

ぐつぐつ

とても熱い上にグニャグニャするので火傷せぬよう注意しながら冷めぬうちに能面に被せてゆく。

怪しげなマーブル色の中から能面が透けていて、単刀直入に言うと気味が悪い。
さっきの綺麗な色味のおゆまる達はどこに行ったんだろうか。
その上なんだか少し型としては足りないような気がする。
色はなんでも良いけれど、とりあえずもう少し量が欲しいのでおゆまるを追加で用意して作ったのがこちらの型

最初より大分暗黒じみた色合いになっている模様。色味はさておき、ちゃんと端まで型取ることができたし型の厚みも薄すぎず安定感があるように見える

目や口元の細かいところもちゃんと型取れているようだ!これなら大丈夫だろう。
ちなみに今回おゆまるは40個使用した。

そして水がどれくらい入るかを測ると大体500mlである。
調べてみるとチョコレート1gが大体1.1〜1.3g/cm3 …らしいので大体384〜454gのチョコレートを用意して型に流し込むと丁度良さそうである。

チョコレートを送る相手はホワイトチョコレートよりミルクチョコレートの方が好きなようである。
なので表面をホワイトチョコレートで覆い内側はミルクチョコレートにしよう。

ホワイトチョコレート210gを適当に砕き、レンチンして溶かしていく。
600wで1分温めたのちシリコンヘラでかき混ぜて溶かす。溶けたら一度27度までチョコレートを冷やし再度レンジで5〜10秒ずつ温めて29度まで温度を上げる(テンパリングです)

型にゆっくりと流していく。鼻や口元にチョコレートが流れ込んでゆくのでゆっくりと型を傾けてチョコレートが全体に行き渡るようにする。冬場なのでラップを被せて涼しい部屋で一晩寝かせて冷やし固めてゆく。

次にミルクチョコレート400gをホワイトチョコレートと同じ要領で溶かして型に流し入れる。
量が少なかったかもしれない。

涼しい部屋に置き冷やし固め、遂に型から外す瞬間がきた。

素人が作ったものだしやっぱり表面が粗くなってしまったなと思う。
削って整えることが出来れば良いのだが…

少しだけスプーンで凹凸を削り、チョコペンで彩色する。

チョコペンを使うのは幼少期に母親と手作りチョコキットで遊ぶ以来であるので本当に扱いにくかった。そして能面は塗る部分が細かくチョコレートのコントロールが効きにくいのである。

はみ出た部分を削ることにした。

もうね、己の不器用さを呪いますよ。目元がボロボロになってしまいました(泣)
小型扇風機回しながら作っていたので削ったカスは随時飛ばすようにしていたけど残って汚い…
彩色しない方がまだよかったかしら。でもそれでは能面感が無くなってしまう。

角度変えたらそれらしく見えるかな?
少し時間を置いてからまた要らぬ部分を整えよう。
それまで余ったチョコペンで遊ぶことにした。

私は遊びのチョコレートすら上手に作れないのか。
そう思いながら明日のバレンタインデー当日を静かに待つことにした。