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パソコンで発音矯正:声調・イントネーション可視化編

ヘッダー画像左の波形は、キング牧師の有名な演説中の「I have a dream」の音声を可視化したものです。
右は、私が「I have a dream」と発音した音声の波形です。

青色の波形は音の大きさ強さを示します。波1つが1音節(シラブル)です。

黄色の波線は音程(ピッチ)を表します。カラオケの採点画面の音程バーを細かく表示したようなものです。


2つの波形を表したウィンドウをパソコンモニターに並べてできること

左ウィンドウのキング牧師の音声をリピートで再生します。
それを聞きながら、マネして発音練習します。その音声はリアルタイムに右ウィンドウで見える化されます。
左のキング牧師の波形と波線に、自分の波形と波線を近づけるように修正しながら、発音を続けます。
自分の発音は矯正されていきます。


波形を表す2つのウィンドウの作り方

1.Windows用の2つのソフトウェアを使います。

2.左ウィンドウの音声ファイル(上の例ではキング牧師のスピーチ)再生に使うソフトは、WaveTone。
右ウィンドウの自分の発音を表示されるソフトは、Pitch Monitorです。

共に、作者:あっきー氏が、自身のサイトでフリーソフトとして公開してくれています。

3.あっきー氏のサイト「Ackie Sound」から、WaveToneとPitch Monitorのzipファイルをそれぞれダウンロード。
解凍するだけで使用できます。(インストール不要です。)

4.WaveToneの設定
「再生(P)」タブをクリック、「リピート再生(R)」と「オートスクロール(A)」にチェックを入れます。
「表示(V)」タブをクリック、「基本周波数(F)」と「グリッド(G)」にチェックを入れます。
「ファイル(F)」タブをクリック、「開く(O)」をクリックし、自分で用意したネイティブのスピーチなどの音声ファイルを開きます。
デコード、解析され、波形が表示されます。
再生ボタンをクリック。

青色の波形表示欄の上にある経過時間表示欄でドラッグすることにより、再生範囲を選択できます。

5.Pitch Monitorの設定
「開始」ボタンをクリックすれば、マイクが拾った音声を表示します。
ノイズを拾うようであれば、黄色のバーのしきい値を調整します。

6.モニターにWaveToneとPitch Monitorのウィンドウ並べて、発音練習を始めます。
適宜、見やすいようにグリッド(網目)の幅を調整します。


マネるときのコツ

カラオケのように音程を同じにするのではなく、音の連結とイントネーションをマネるようにします。

ネイティブの黄色い波線が連続しているところでは、途切れないように発音するようにします。

ピッチの高低幅ではなく、どこで上昇しどこで下降するか、タイミングを同じにすることを目指します。

ネイティブの発音より音節(シラブル)の数が多くなると、通じない発音になる可能性が高くなります。
音節を示す青い波の数を、ネイティブの発音と同じにします。
ネイティブの発音で「dream」は1音節で青い波も1つです。「ドリーム」とカタカナ発音すると2~4音節になってしまいます。


ヘッダー画像の波線の分析


参考までに、ヘッダー画像の波線を分析します。
キング牧師の音声は、「I have a」が連続した黄色の波線で繋がっています。
一番左の山が「I 」、連続した次の山が「 have a」です。
離れた右の山が「dream」です。

私の黄色の波線では「I」、「have」、「 a」、「dream」が連結せず、途切れ途切れです。

キング牧師の「I」の出だしは急激にピッチが上がっています。カラオケの評価ポイントの「しゃくり」のような音声です。

カラオケのテクニックとしても「しゃくり」は難しいと思われますが、
英会話で「しゃくり」を入れることは、かなりの訓練が必要です。


WaveToneとPitch Monitorを使って分かったこと

Ann Cook氏著の「American Accent Training」にアメリカ英語の典型的はイントネーションとして、
「Staircase Intonation」(下り階段のイントネーション)が紹介されています。
これは、英語のフレーズでは冒頭でピッチ(音程)が一番高くなり、以降、下がり階段のよう段々にピッチが下がっていくイントネーションです。

しかし、WaveToneで解析すると、ヘッダー画像左のキング牧師の音声のように、冒頭で「しゃくり」のようにピッチが急上昇した後に、下がっていきます。
このイントネーションは、アメリカのテレビドラマ中の会話を解析しても、男女を問わず、現れる通常のイントネーションです。

I can do it.とI can't do it.の解析

can'tの末子音が所謂stop T で発音された場合、2つの文の違いはイントネーションだけです。

下記に「˄」で示したように、I can do it.では、音節[ai]の冒頭にピッチの最も高いポイントがあり、
I can't do it.では、音節[kæn]にピッチの最も高いポイントがきます。
この違いだけです。

       ˄
I can do it.  [aikænduit]     

         ˄
I can't do it.  [aikænduit]


Linux環境でも動くWaveToneとPitch Monitor

WaveToneとPitch Monitorは下記のLinux環境でも作動確認済みです。

Linux Mint 20.1 Ulyssa Xfce 64 bit
Wine 6.8

WaveToneとPitch Monitorを使う最大のメリット

以上、学習者数が最も多い英語を例に説明しました。

しかし、語学学習において、WaveToneとPitch Monitorを使っての最大効果は、中国語、タイ語、ベトナム語などの声調言語の発音練習で発揮されます。




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