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【FireHD8 レビュー】安くて弱い、それが魅力

結論から言うと、Fireタブレットは性能が低く遅い。しかしそれ故に「究極のコンテンツ消費マシン」と言える。もしブラウジングとかゲーム、その他クリエイティブなことが少しでもやりたいなら、素直にiPadを買おうと言う話だ。

なぜそう言えるのかについての解説を、FireHD8のレビューを踏まえて行なっていく。

ちなみに、なぜここでiPadなのかは以下の記事で解説している。

Fireタブレットとは

今や知らない人はいないと思うけど、大手ショッピングサイトAmazonが販売しているタブレットシリーズのことだ。

今や目にしない日は無いロゴ

7、8、10インチの3種類があり、そのうち8インチと10インチにはRAMを増量した「Plusモデル」が存在する。
特徴はなんといってもその価格。安いものだと6000円台から、最強構成でも20,000円を切る激安の殿堂だ。

こういう激安タブレットって、ロクに使えないものも少なくないんだけど、こいつはわけが違う。フツーに使えてしまうのだ。

カラクリを説明すると、実はAmazon、端末の販売で儲けようなんて気はさらさら無い。これでKindleやプライムビデオなんかに課金してもらって、そこで儲けようって算段。つまりは「撒き餌タブレット」なんだ。
だから端末は激安なんだけど、普通に使えてしまうというわけ。

ただ、それによる弊害もある。
使えるアプリが限られてしまうんだ。Amazonとしては自社サービスを使ってもらわないと採算が取れないから、当然といえば当然だ。例を挙げると、Youtubu、Chrome、楽天系全般、JUMP+などなど。一応裏技的に使う方法もあるんだけど、全く保証がないし、動作も不安定。その上爆裂に重たくなるからおすすめしない。ここは安さとトレードオフだと思って割り切る必要がある。

次からは、スペックと実機の使用感を紹介しつつ、どこまで実用的に使えるのかを解説していきたい。

スペックと使用感

今回紹介していくのは2020年発売の8インチモデル「FireHD8」だ。
一応2022年に新型が出てるけど、これはマイナーアップグレードにとどまっている。なので今購入を検討している人の参考にもなるはずだ。

性能について

ここではまず「Antutuベンチマーク」という指標を用いて、fireタブレットの性能を見ていきたい。誤解を恐れずに言うと、これはスマホやタブレットの「サクサク具合」を測るテストだ。数値が大きいほど快適に動作する。

ではFireHD8の快適具合はどうなのかというと、大体10万点前後になっている。なんとこれは、iPhone6の数値とほぼ一致する。

A8 搭載

iPhone6の発売は2014年。脅威の9年落ちだ。
ちなみにfireタブレット界最強の「FireHD10 Plus」でもiPhone6sやSEと同程度のスコアしか出ない。

「おいふざけるな、そんな化石が満足に動くわけないだろ」と言いたい気持ちはわかるが、まあ待ってほしい。大事なのは実際の使用感だ。それは後でちゃんと解説するから、安心してくれ。ともかくここでは、処理性能に関しては期待が持てないことを覚えていてほしい。

その他の性能をサラッと説明していくと、ステレオスピーカーとフルHDの高精細なディスプレイを搭載していて、

超絶反射するから、反射防止フィルムは必須。
写真のは貼り付け済み。

重量は355g。スマホ二台よりは軽い。
充電はType-C。ヘッドフォン端子も搭載していて、お値段11,980円だ。

申し訳程度に200万画素のカメラを搭載している。
実用性はない。

外装はプラスチッキーでいかにも安っぽいが、実際に安いんだから勘弁してもらいたい。

使用感について

それではお待ちかねの、実際使ってみた様子を紹介していく。
多くの人はスマホと比べてどうかが気になると思うので、私のメイン機であるPixel7Proとの比較だ。処理性能だけで言うと、2年以内に発売されたミドルレンジ以上のスマホをお使いであれば、大体同じと考えてもらっていい。

まず概要から言っておくと

  • 読書、動画鑑賞は超快適

  • その他全般はスマホのが便利。

こんな感じになっている。
一応理由を以下に書くが、飛ばしてもらっても構わない。

まずは読書。
Kindleしか使えないことを除けば、これはなんの問題もない。本を開くときや閉じる時、目次からの移動などが多少もっさりしているが、微々たる差だ。
画面がデカい上に高精細なので、雑誌や技術書などが非常に読みやすい。またサイズの割に軽量なので、長時間持っても疲れない。
総じて、スマホより快適だ。

次に動画鑑賞。
使用したのはYouTubeとU-NEXTだ。音質がいいし、やっぱりステレオなのは嬉しい。あとディスプレイがフルHDだから十分綺麗だ。映像を楽しむために必要なとこはしっかり押さえられている。
しかし、処理能力が足りない。特に短い動画を次々みていく視聴方法だと、ストレスを感じる場面がある。
まとめると、映画やドラマ、長い動画なら非常に快適。10分程度やそれよりも短い動画だと、スマホのが良い。

続いてブラウジング。
これはスマホの圧勝だ。まずデフォルトがSilkブラウザとかいうAmazonオリジナルだから操作感が慣れない。でもChromeはインストールできないからそれで頑張るしかない。動作は意外に頑張ってるけど、タブが増えてくるともたつく。さらに、これは8から10インチくらいの端末全般に言えることだけど、最適化されたサイトが少ない。基本スマホ用(7インチ以下)かPC用(11インチ以上)しか存在しないのだ。スマホ版だと表示が大きすぎるし、PC版だと小さすぎる。なんとも理不尽な話だが、シェアってのは残酷だ。
総合すると、使えなくはない。でもスマホのが圧倒的に便利。

最後にゲーム。
これは絶望的だ。まず対応してるゲームが少なすぎる。ウマ娘や原神はラインナップに存在しないし、GPSが搭載されてないからポケモンGOやドラクエウォークは無理。一応ドラクエや#コンパス、パズドラなんかは遊べるんだけど、スマホ版を引き延ばしただけなのか、なんか画質が荒い。意外にサクサク動きはするものの、大画面の恩恵は受けれない。
まとめると、ゲーム目的で買ってはいけない。

オセロや将棋、チェスなんかには最高だ。
こういうのは大きければ大きいほど良いし、動作も快適。
移動中や待ち時間に、友達と盛り上がれるだろう。


番外編で、クリエイティブ。
アプリがない、動作重い、ストレージ足りない。
iPadを買え。以上。

スマホ依存のあなたへ

以上から、FireタブレットがiPadのような万能デバイスでないことはお分かりいただけたと思う。アプリは少ないし、性能は低い。さらに言えば周辺機器も少ない。とても万人受けするようなものではないのだ。

ではどんな人におすすめなのか?
それはズバリ「スマホ依存のあなた」だ。

スマホの奴隷

「今度の休日、みたかったドラマシリーズを進めるぞ!」とか、「気になってた本、帰ってから読んでみようかな」とか意気込んだは良いものの、結局スマホを触って時間が過ぎてしまう…そんな経験、ないだろうか。

なんとなく開いたYoutubeやinstagram、 Twitterで、気づいたら1日が終わってしまう。ふと我にかえっても、一体何をしていたのかすら思い出せない始末。そんな経験、私も一度や二度じゃない。

そう、スマホはあまりにも万能なんだ。あらゆるアプリが一瞬で開けるし、動画もゲームもなーんでもできる。

だからこそ、本題を見失ってしまう。
取れる選択肢が多いとはそういうことだ。

例えば映画を見てる時に、ふとinstagramであげた写真のいいねがどれくらい付いたか気になる。読書中にゲームアプリのスタミナ回復通知が来る。スマホは常にあらゆる選択肢を提供するし、瞬時に実行できてしまう。

大してやりたいことじゃないとしても、大挙で押し寄せてくるから、本題が埋もれてしまう。

「万能じゃない」という価値

そんなあなたにこそ、Fireタブレットをおすすめしたい。
これは「読書」と「映画・動画鑑賞」以外はロクにできない。

だからこそ、本題に集中できるんだ。

しかもスマホと違って通知を全部切っても問題にならないし、緊急の連絡とか来るわけないからバッテリー持ちも気にしなくていい。
強制的にコンテンツに集中せざるをえない環境を作り出してくれる。

「じゃあ昔のスマホ引っ張り出してくれば良いんじゃない?」
なるほど確かにその通りだ。同様に集中できる環境を作り出せるだろう。

でもそれは8インチ以上の高精細なディスプレイと、優秀なステレオスピーカーを積んでいるだろうか?
処理能力は低い、でもコンテンツを楽しむために必要な部分には妥協しない。その絶妙なバランスが、Fireタブレットの価値なんだ。
だからこそ、「究極のコンテンツ消費マシン」なり得るんだ。

まとめ

Fireタブレットは、究極の読書・動画専用機。

ちなみに私のおすすめは8インチモデル。
将来iPad ProやAirを買っても8インチなら役割分担できるし、もしそのサイズが至高だと思うんなら、初っ端からiPad miniを買うという選択の助けにもなる。

あと画面の反射がえげつないので、アンチグレアの画面保護フィルムの購入をおすすめしたい。8インチならこれだ。

純正ケースもあるが、これは重すぎるのでおすすめしない。割り切ってケースなしで使うのもありかと思う。私は使っていない。

いつか見ようと思ってた映画シリーズ、セールになっててまとめ買いしたままの漫画、今年こそ消化しようじゃあないか。

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