【シャッフルビストロ雑感】わたしの好きな「パーフェクトアイドル」・慎吾くん

「SMAPファンなんだ!へぇー。誰が好きなの?やっぱりキムタク?」

「嵐じゃないんだねー。若いのに」


SMAPファンであることをSMAPファン以外の人にカミングアウトすると、だいたいこんな質問をされる。あまりにもこれらの質問がテンプレ化されているので、それに対するわたしの答えもテンプレ化されている。


「んー、木村くんも好き、というか5人全員好きなんだけど、強いて挙げるなら慎吾くんかな」

「まあ、嵐も好きだよ!でもねどうしても、やっぱりSMAPが一番好きなんだ」


まず、「わたしはキムタクとは呼ばないよ」という気持ちを込めて、一度言い換える。面倒なファンだよなぁ、と思いつつ、言い換えずにはいられないので「木村くん」と一度言い直す(だいたいの相手にはわたしの言い換えの意図は伝わらないが、別にこちらも「キムタクと呼ぶな」と言いたい訳ではないのでさらっと流す)。その上で、「5人全員好き」「強いて挙げるなら」という言葉を必ず添える。この辺り、SMAPファンなら共感してくれる人も多いのではないだろうか。

後者の質問とその答えについては、今回は書きません。色々考えていることはあるので、そのうちゆっくり書きたいとは思ってます。


少し突っ込んだ言い方をするなら、わたしは「慎吾くん寄りのサタスマ寄りの5スマ好き」と自称している。長いね。ひらたく言うと、「5人全員が大好きだけど特に好きなのが中居・香取の組み合わせ、その2人の中でもどちらかというと慎吾くんが好き」。「担当」という言い方はなんだかしっくり来なくて、SMAPに対しては1度も使ったことがない(キスマイの2の人に対しては「担当」という言葉を使ってるけど、それはまた別の話)。


もともと、SMAPを好きになったのは母親の影響だ。母がいつからSMAPを好きなのかは知らないけれど、わたしが物心ついた頃には母は既にSMAPファンだったし、木村ファンだった。

余談だが、母は多くのスマオタ同様、木村拓哉のことを「キムタク」とは決して呼ばない。必ず「木村くん」「木村さん」と呼ぶ(気恥ずかしさからか、わたしの前では「たっくん」という呼び方も滅多にしない)。SMAPを知ってからもしばらく、世間でいう「キムタク」が母の好きな「木村くん」と同一人物だと知らなかったくらい、我が家では「キムタク」という呼称は使われなかった。何なら「え、かの有名なキムタクって木村拓哉だったんだ?!この人、大スターなんだ?!」と、とんでもなく失礼な衝撃を受けたことをよく覚えている。そしてこれが、冒頭の質問を受けた時にわたしが「木村くん」と逐一言い換える理由だ。ここまでくると、ある種の英才教育である。


幼いわたしが初めてSMAPの、というかメンバーの存在を知ったのは、物心ついた頃から見ていた「サタ☆スマ」という番組(物心つくの遅くね?という指摘はご勘弁を。わたし、小学校入学より前の記憶ってほとんどないんです)。ざっくり説明すると、中居くんと慎吾くんが2人でワイワイガヤガヤする番組だ。中居くんが赤ちゃんの世話に四苦八苦したり、不条理な愚痴を聞かされたり、慎吾くんは部屋のリフォームを行ったり応募者と一緒に怒られたり。文句を言いつつ一つ一つのコーナーに取り組んでいく2人は、子供の目から見てもとても面白かった。何より、当時のわたしは、彼らに勝手な親近感を持っていたように思う。「テレビの中の人」だから会ったことは勿論ないし、向こうはわたしのことなんて当然これっぽっちも知らないんだけれど、それでいて「近所のお兄ちゃん」のような。芸能人であることを感じさせない人懐こいキャラクターに惹かれ、すぐに彼らのことが大好きになった。最初に出会ったSMAPメンバーが中居くんと慎吾くんだから、というかサタ☆スマという番組の大ファンだったから、わたしは「サタスマ寄り」を自覚している、という単純な話である。

数あるサタ☆スマのコーナーの中でも、わたしが一番好きだったのが「慎吾ママのこっそり朝御飯」のコーナー。もうね、今にしてみると、何で好きだったのかよく分からない(笑)。今見ると慎吾ママは可愛くて仕方ないんだけおど、当時からそう思ってたのかなぁ。それとも、単に面白かったからかなぁ。分からないんだけど、とにかく大好きだった。自分もマヨネーズを好きになるくらいには好きだったし、何ならマヨチュチュもしたことがある。無くなりかけのやつだけど。そんなこんなで慎吾くんが印象的だったから、15年経った今でも「誰が一番好き?」と訊かれたら「慎吾くん」と答えてしまうのだ。

サタ☆スマを見るようになって少し経ってから、「SMAP×SMAP」という番組を見るようになった記憶がある。もちろん母はそれまでも見ていたんだけど、「サタ☆スマに出てるお兄ちゃんたちが出てる」というのがわたしがスマスマに興味を持つようになった最大の理由。本当に、中居くんと慎吾くんが入り口になってくれたのだ。番組を見るようになってからメンバー5人全員を覚えるようになるまで、時間は掛からなかった。バラエティでわちゃわちゃワイワイやってるSMAPにはやっぱり親近感を持ってしまって、それでも歌って踊る彼らは決して手の届かない大スターで。そんなギャップも、わたしが彼らを好きになるのを加速させた。


わたしは、6スマ時代を知らない。

物心がつくのがもう少し早かったら、あるいは6人のSMAPを見ていたのかもしれない。だけど、わたしが彼らと出会い、自分は彼らのファンだと自覚した頃、SMAPは既に5人だった。だから、わたしが好きなのは「5人のSMAP」。


昔話はこのくらいにしておこう。

いまさら、改めて「SMAPが好き」「慎吾くんが好き」ということを文章にし始めたきっかけは、このところ随時オンエアされている「シャッフルビストロ」。最初のゲストは草彅くんで、先日放送された2回目のゲストが慎吾くんだった。SMAPの年少コンビであるしんつよ(草彅・香取)の、テンポが良いんだか悪いんだかよく分からないトークに始まり、兄貴分4人を相手取っての「クイズ・香取慎吾」、そして「香取慎吾に食べさせたい料理」を判定するという一連の流れ。終始自由に、無邪気に楽しんでいる(ように見える)慎吾くんは、アラフォーになった今でもSMAPの最年少であり、上の4人…というか中居くんにとっては可愛くて仕方ない存在なのだろうと思わされるシーンが満載であった。あまりに可愛らしくて、何度か泣きそうになった。誰かが可愛いというだけで泣きそうになるんだから、人間の感情はつくづく不思議な作りをしているなぁと思う。


ある意味では、慎吾くんは「大人」になることを許されないままここまで来たんじゃないかな、と思っている。もちろん、香取慎吾はとっくに“良い大人”だ。お酒も飲むし、恋だってしてきている(知らんけどな、実際のところは)だろうし、見た目はガタイのいい大人の男性。だけど、ファンならずとも多くの人が今でも彼のことを「慎吾ちゃん」と呼ぶ(再び余談だけど、わたしが「慎吾ちゃん」と呼ばずに「慎吾くん」あるいは「香取さん」と呼ぶのは、はるかに歳上な彼のことを「慎吾ちゃん」と呼ぶのが気恥ずかしいからというだけの理由です。そんなところは母親譲り)。「吾郎ちゃん」もちゃん付けではあるけど、それとはまた少し違うような気がする。だって、「吾郎ちゃん」は「吾郎さん」と呼ばれることもあるけれど、「慎吾ちゃん」が「慎吾さん」になることは無い(わたしが知らないだけで呼ばれてるならごめんなさいね)。「吾郎ちゃん」は「吾郎」という名前に単に親しみを込めて「ちゃん」「さん」と付けているように思えるんだけど、「慎吾ちゃん」はそれだけで記号化している、ような気がしている。

慎吾くんは「慎吾ちゃん」と呼ばれることで、SMAPの末っ子であり続けることを強いられてるんじゃないかと思うのだ。気まぐれに発言し、無邪気に笑い、ちょっぴり舌足らずなしゃべり方をする「香取慎吾」。彼はずっと、それを巧みに演じ続けているのではないかと思う。本来の香取慎吾は、とっくに大人になっているのに。


さらに慎吾くんは、絶対にテレビで本来の自分を出さない人だと思う。タレントさんなんて多かれ少なかれ自分自身が作り上げた鍵括弧付きの「自分」を演じているものだと思うけど、慎吾くんは多分、特にそれが顕著な人。ファンに見せる姿は完璧に作り上げられた「香取慎吾」であり、一瞬たりとも素を見せることはない。そんな気がしている(唯一、彼の鍵括弧が外れたかもしれないと思ったのは「いいとも!」最終回でのスピーチなんだけど、とりあえずここではその話は割愛する)。慎吾くんは「パーフェクトビジネスアイドル」を自称しているけれど、まさにその通りだと思う。

一方で「香取慎吾」は、自分が腹の底に抱えているものをしばしばチラつかせる。前述のように「パーフェクトビジネスアイドル」を自称してみたり、時には「黒いうさぎが家に居る」なんてことを言ってみたり。周りの女の子が言ったら「はいはい構ってちゃんね」で片付けてしまいそうなそんな言葉も、慎吾くんが言うとどこかリアリティを伴う。「小さい頃から芸能界にいたから精神状態ヤバそうだよね」「そうえいば、慎吾ちゃんっていつも目が死んでるよね」なんて噂も、現実味を伴って蔓延っている。実際のところどうなのかは勿論分からないけれど、嘘なのか本当なのか分からないギリギリのラインで、慎吾くんは自分のことを話す。おそらく、ネットで噂されているようなことは全部、自分のキャラとして昇華してるんだろうなという気もするよね。だから余計に、彼の話すことのどこまでが「キャラ」なのか曖昧になる。


正直言って、彼が話す自身のプライベートがどこまで本当なのか、わたしには全く分からない。他のタレントさんが話す「この間こんなことがあって~~」「家ではこんなことしてて~~」というようなエピソードは、ある程度の現実味を伴っているけれど、慎吾くんの場合、それが全く見えない。この前のビストロで言えば、エビを飼ってるというエピソード。へぇ~そうなんだと思う一方、「まあ、嘘なんだけどね」と言われてもすんなり納得してしまう。あまりにも飄々と自分のことを話すから、どれが真実でどれが虚像なのか全くわからなくなる。


話が飛ぶけど、先日のシャッフルビストロでとても印象的だった一コマがある。中居くんが慎吾くんの魅力を「笑顔」だと答えた場面だ。何でもかんでも「面白さ」を追求するSMAPのリーダー・中居正広が、慎吾くんの魅力を聞かれるとボケられず、「笑顔」とマジメに答えてしまう。サタスマ厨にとっては命の危険を感じてしまうくらいに愛しさに溢れた場面だったんだけど、同時に、中居くんが言った「笑顔」って何なんだろう?と思った。アイドルにとって「笑顔」は決して欠かすことのできない武器であり、確かに慎吾くんの笑顔は太陽みたいに素敵だ。だけど、往々にしてそれは自然に生まれるものではなく、カメラに向けて作り出すものなのではないかと思うのだ。慎吾くんの魅力として中居くんが挙げた「笑顔」は、わたしたちが見たことのある「笑顔」と同じものなんだろうか。それとも慎吾くんは、カメラの回っていないところではファンが見たことのないような顔で笑うんだろうか。

ただ、桃のデザートを見て「俺、桃好き!」と喜んでいる慎吾くんはとても嬉しそうで、キラキラしていた。中居くんが好きなのが、あの笑顔であればいいなと思った。慎吾くんのことが大好きでしょうがない4人のお兄ちゃんたちに囲まれて見せたあの顔が、彼の心からの笑顔であってほしいと、心底そう思ってしまった。


どれだけ考えても結局のところ、「何一つ分からない」のだ。慎吾くんは、決して自分の実像を掴ませようとはしない。ファンの望む「香取慎吾」で居続ける。そういえば、中居くんもそうだよね。方向性は違えど、彼も決して自分の実像をファンに見せようとはしない。中居くんの背中を見て育った慎吾くんだから、そういうところは中居くんと似ているのかもしれない。

わたしは、そんな慎吾くんが巧妙に作り上げた「香取慎吾」が好き。そして慎吾くんが見せる笑顔がとても好きだ。闇を抱えているんだかいないんだか、裏表があるんだか無いんだか全くつかめないところまで含めて、慎吾くんという人にとても惹かれている。だから、これからも踊らされ続けよう。慎吾くんが、それを望む限り。



…………などと長々書いてきたけど、これってなんかもう全部「知らんけど」で片付いてしまうんだよな結局。要は4人のお兄ちゃんたちに可愛がられてる慎吾くんが可愛すぎて、しかし一回り以上も歳上の人に可愛いって言葉を使うのもいかがなものかと思ったのでぐだぐだ色々考えてみたよ、というだけの話です。久しぶりに「そうだった、わたし5スマの中でも慎吾くんがいちばん好きなんだったわ」と痛感したもので。ついでに、そういえば自分は今22歳なので、ちょうど慎吾くんが「慎吾ママ」だった時と同じくらいの歳なのかななどと思い、改めて慎吾くんを好きな理由と向き合ってみた次第。近頃は、後輩グループに浮気だなんだと母親に呆れられたりもしたけど、そういうアレじゃないしやっぱり慎吾くんもSMAPも大好き。好きなものなんて、多ければ多い方が楽しいに決まってる(持論)。

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