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わたしは、ストレスが耳に出る体質らしい

※多くの方に読んでいただいているようなので追記(2020/8/8)。ここに書いたのは、あくまでわたし個人の症状や経過、薬についての情報です。ご自身の症状や薬については、主治医の先生ときちんと相談してくださいね。

家族や何人かの友人には話しているが、実は今年の1月から「低音障害型感音難聴」および「蝸牛型メニエール病」として治療を受けている。

「低音障害型感音難聴」の症状を繰り返していると、「蝸牛型メニエール病」という診断名になるらしい。わたしは2度3度とぶり返しているので、今はこの病名。メニエールといっても、めまいの症状はない。「低音障害型感音難聴」の字が示すとおり、低い音がきこえづらいのだ。

発端・受診

わたしがこの症状を自覚したのは、1月に受けた健康診断の聴力検査がきっかけだった。
狭いブースの中で左耳、右耳と交互に音を聴いていく。「きこえたらボタンを押してくださいね」という指示に従っているつもりが、いつまで待っても右耳から低音がきこえてこないのだ。

中耳炎か何か起こしているのかな、と思って耳鼻咽喉科を受診。鼓膜の検査および聴力検査を経て、すぐに「低音障害型感音難聴」の診断が下った。
ちなみに、耳鼻咽喉科で受ける聴力検査には、健診でも行われる「気導聴力検査」と、首の横に器具を当てて測る「骨導聴力検査」の2種類がある。自分が受けるまで知らなかったが、全部で20分近くかかる壮大な検査だ。はじめは面食らったけれど、経過確認のために毎回検査を受けるので、今となってはすっかり慣れてしまった。

低音障害型感音難聴の一番の原因は、ストレスだという。医師曰く「緊張でお腹が痛くなる、とかはよく聞くでしょう?それが耳に来たのがこの症状。こんなことを言っても難しいと思うけど、身体からのSOSだと思って、ゆっくり過ごしてください」とのこと。

念を押されたのは、「薬で治る病気」だということと、「難しいのは名前だけ」だということ。この病気で聞こえなくなるのは基本的に低音だけであり、普段の会話で聞こえる音には何の支障も出ない。気にしすぎてはかえってストレスになるし、難しい病気ではない、ということらしい。

一方、先生からは「再発が多いので、僕とは長い付き合いになるかもしれません」とも言われた。ただし、そのときは「そうか、薬で治るのね」「長い付き合いにはならないぞ」と思っていた。今思えば盛大なフラグである。

再発・悪化

はじめは1ヶ月半ほど通院し、ステロイド薬やビタミン剤を服用して回復に至った。でも、服薬をやめてわずか1ヶ月程度で、わたしは再び耳鼻科を受診することになる。

今度の受診は、聴力検査の異常ではなく自覚症状によるもの。会社では常に、私の右後方にある卓上ラジオからJ-WAVEの番組が流れているのだが、どうもその番組がよくきこえない。「もしや」と思って片耳ずつ塞いで聴き比べてみたところ、左耳ではきこえるのに、ラジオに近いはずの右耳では(音が鳴っていることは認識できるが)言葉が聞き取れないのだ。
これはまずい、と思って診察を受けたところ、案の定「再発」。「最近、なにかストレスを受けましたか?」と医師から聞かれたが、仕事上で心当たりがありすぎて苦笑いするしかない。

今度はステロイドではなく、イソソルビドという水薬(美味しくない)で治療を開始。1ヶ月ほど飲み続け、ゆるやかにではあるが回復してきた…と思った矢先、今度は左耳に異変が。耳鳴りが続き、「またか」という気持ちで医師に相談したところ、やはり「あー…戻っちゃいましたね」と言われてしまった。

4月の再発時も、6月の悪化時も、医師から「最近ストレスになるようなことがあった?」と聞かれた。思えば4月も6月も、仕事上で大きな事件が生じた月だ。「会社に行きたくない」と何度も思ったし、そのストレスが耳に出たのだとすれば、わたしはそういう体質なのだろうと納得するしかない。

幸い、薬が効いている(あと、仕事でのストレスが一旦落ち着いている)ため、今はかなり回復している。けれどこの半年を振り返ると、いつ再発してもおかしくないと思ってしまう。

「低音がきこえづらい」ということ

わたしの場合、こんな症状が生じてい る。あくまで「わたしの場合」であり、ほかの人も同じ症状とは限らない。

○日常会話は問題なくきこえるので、困ることはない

「症状が生じている」と言った矢先だが、この病気できこえなくなる"低音"は、人の声よりさらに低い範囲だという。(より難聴が進んだ場合どうかは分からないが)わたしの場合、日常会話にはまったく支障をきたしておらず、低めの男性の声であっても難なく聞き取ることができる。
ラジオの小さい音などはきこえないことがあるが、人との会話で困ることは今の所生じていない。

○こもってきこえたり、耳が詰まったように感じたりすることがある

低音障害型感音難聴では「きこえなくて困る」というより、「きこえ方が気持ち悪くて困る」の方が近いかもしれない。

まず、「音がこもってきこえる」という症状。自分の声がやけに反響してきこえるのは、かなり気持ちが悪い。風邪で鼻が詰まったときの感覚に似ているだろうか。

そして、耳が詰まったような感覚があるのも症状の一つだ。飛行機に乗ると耳がキーンとすることがあるが、あれがずっと続くようなイメージ。いくら耳抜きをしても、あくびをしても治らない。

○耳鳴りがひどく、集中力が削がれることがある

発症してすぐの症状がひどいときや、ストレスが溜まっているときなど、耳鳴りを感じることがある。「キーン」というよりは「ポー」という、やや低めの音だ。常にではないとはいえ、これがかなりつらい。

耳鳴りは特に、静かな場所にいるときに気になりやすい。わたしにとって、静かな場所にいるのはたいてい集中したいとき。耳鳴りが気になって仕事に手がつかず、どんどんストレスが増していく悪循環に陥るはめになる。

○服薬が非常に面倒である

これが一番つらいかもしれない。
低音障害型感音難聴・蝸牛型メニエール病は、基本的にはイソソルビドという水薬で治療を行い、難聴の度合がひどい場合にはステロイド薬を服用することになる(加えて、ビタミン剤や循環改善薬、漢方薬を服用していく)。

ステロイドは、日によって服用する錠数が異なる。この管理がまず面倒だし、おまけに錠剤がかなり苦い。味を感じる前に飲めばいいだけの話だが、錠剤の服用が苦手なわたしの場合、どうしても口の中で溶けることが多かった。人によっては副作用も気になるそうなので、わたしの場合、目立った副作用が出なかったのは救いといえるかもしれない。

イソソルビドはというと、これまた決して美味しいとはいえない。わたしの服用している後発品(CEO)は比較的飲みやすいし、もう慣れたので苦にはならないが、それでも苦味は目立つ。さらに、水薬なので持ち運びがかなり面倒。

ちなみに、つい先日までイソソルビド・ビタミン剤・循環改善薬に加え、「柴苓湯」という漢方を服用していた(これも美味しくない!)。こちらは食事の30分前に飲まなければいけないのだが、これがなかなか難しい。仕事をしていると食事の時間が不規則になりがちなので、「30分前」を狙うのが至難の業だったりした。

こうした薬で効果が出たのだから、良薬は口に苦しと割り切るほかない。とはいえ美味しくないものは美味しくないし、タイミングやら持ち運びやらが面倒なので、なんとかならないかな…とも思ってしまう。

ストレスとうまくつきあう

蝸牛型メニエール病は、命にかかわる病気ではない。だからそういう意味での不安はないし、気長に治療を続けていくしかないのだろうとは思っている。けれど、音楽好きな自分にとって、「低音がきこえづらい」というのは些か悲しい事実だ。

薬が効いたので、今はほぼ正常にきこえている状態ではある。ただ、自分が強いストレスを感じるタイミングときこえが悪くなるタイミングがきれいに合致しているので、これはもう、ストレスが耳に出る体質なのだと思うほかない。

わたしの場合、症状がいつぶり返してもおかしくないので、これからゆっくりと薬の量や頻度を減らしていくことになる。職場の冷蔵庫にイソソルビドの瓶(でかい)を置く生活は、当面の間続きそうだ。


※トップ画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りしました。雨粒の柄、とても好きです。

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