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映画感想文「マッドマックス フュリオサ」アニヤ・テイラー=ジョイの持つ少女性を遺憾なく発揮の作品

ある日、いたいけな美少女が敵に捕まる。

たった10歳で。

こんなに胸を締め付けられ、不安になることはあるだろうか。しかも相手はむくつけき男たち、悪党なバイク集団。リーダーは血も涙もない暴君のディメンタス(クリス・ヘムズワース)だ。

一体、少女はどうなってしまうのか。ざわざわと不安定な気持ちになる。

舞台は何年も先の地球。進化の果てに資源は枯渇。農作物の生きる土地、水や石油をめぐり、争い殺し合う人間たち。

そこでは才覚と腕っぷしだけを頼りに、命をかけた戦いが日々繰り広げられていた。

どこか、切れてしまって完全にいっちゃってる。でも時々感情が見え隠れする魅力的な悪党を好演のクリス・ヘムズワース。そして主人公は華奢な身体と意志の強い大きな瞳を持つアニヤ・テイラー=ジョイ。

このキャスティングだけで、もうヒット間違いなしのワクワク感が満載。

男と戦う女の定番には二つある。10年前の物語がそうであったように、男並みの筋肉を持つ、腕自慢の肉体派。もしくは、女という特性を活かして男を動かす魔性の女。そう、そのどちらかに決まっていた。

この物語は10年前にヒットした映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のいわばエピソード1、女選手フュリオサ(シャーリーズ・セロン好演)ができるまで、の物語である。

男と同じやり方で、はなく。女を使って、でもなく。顔に泥を塗り、一切笑うこともなく誰かに語ることもなく。強い眼差しと細い腕で、孤独の中でひとりの人間としての尊厳をかけて戦う。

ハードボイルドに生きる彼女は危うげでとても魅力的だ。女という型にはめられることを拒否し、ひとりで生きようと決意する。が、誰かの温かい一言にほだされ時々失敗も重ねる。そんな試行錯誤が、切なくいとおしい。

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