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映画感想文「ダーク・ウォーターズ」大企業相手に不都合な真実に立ち向かった人々の物語

公害は教科書で学ぶ歴史だと思ってた。

そんな自分に気付かされた。この映画を観て震えが止まらなかった。あちこちで現在進行形で起こってるであろう「不都合な真実」に怒りを禁じ得ない。

環境汚染問題をめぐり、1人の弁護士が十数年にわたり巨大企業デュポンと闘い続けた実話。環境保護活動家である、マーク・ラファロが主演とプロデュースで映画化。

1998年、米国ウェストバージニア州の農場主が、大手化学メーカーデュポンの企業弁護士であるロブ・ビロットに調査依頼したことからこの不正は発覚した。

執拗なロブの調査で、デュポンが発ガン性のある有害物質の危険性を40年間隠蔽し、垂れ流し続けた疑いが判明する。2005年、ロブは7万人の住民を原告団の集団訴訟に踏み切る(2017年和解)。

幼い頃、家で使っていたフライパンはテフロン加工だった。焦げ付かないから使いやすいと母は称賛してた。そしてAmazonでググったら、今も普通に売ってる。有害物質を使った商品は世界中で販売され、毒性が証明されても未だ日本で規制されていない。これが私達を取り巻く真実だ。

科学の知識も持たぬ「高卒の農場主」のひとりの行動が真実を明らかにするきっかけとなった。そして企業側に立つ企業弁護士であるロブは、真実が明らかになる度に孤立無援の中、苦悩しながらも己の信じる道を選びとってゆく。

企業利益のため過ちを犯す人間に絶望し、でもクレイジーと呼ばれながらも信念を貫いた人間の良心に希望を見いだす。

素晴らしい映画なのに上映館少なくて残念だった。ぜひ多くの人に観て欲しい。

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