![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128051313/rectangle_large_type_2_00e1242f8cf627f9c0483ad8aa064635.jpg?width=1200)
映画感想文「葬送のカーネーション」祖父と孫娘の静かなロードムービー
トルコの冬景色を舞台にした、寓話。
妻を亡くした年老いた男。2人が生まれ育ち、結婚式をあげた思い出の故郷(シリア)に埋葬を決意している。
故郷は紛争の最中だ。だから逃げてきた。
その土地に再び向かう。
まるで逃げ出してきた過去を忘れてしまったかのように。既に正確な判断ができる状態にないのかもしれない。
それが唯一の生きる目的のように、トルコの大地を進む。車も人手もない。棺をヒッチハイクで運ぼうという無謀な旅だ。
そんな男に付き添うのは、孫娘の少女ハリメ。両親はなく祖父母に育てられた。祖母を亡くして彼女もまた失意の中にある。
それでも随所で溢れる生命力、生きる気概の瑞々しさ。それに反した祖父の枯れ果てた頑なさが対照的に浮き彫りになる。
その対比が胸に沁みる。
祖父と孫娘の静かなロードムービー。生きるということ、いつか誰しも老いて朽ち果てるということを突きつけられる。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?