映画感想文「バカ塗りの娘」家族の温かさと鬱陶しさの両面描く良作
家族の温かさと鬱陶しさの両面を描く良作。
津軽塗を生業とする職人の父(小林薫)、幼い頃から要領が良く期待されていた兄(坂東龍太)と青森県弘前市で暮らす美也子(堀田真由)。
職人では食べていけない貧しい暮らし。自由に生きる身勝手な兄や母。いうことを聞かぬ頑固者の父親。
そんな家族のなかで、高校卒業後にやりたいことも見つけられず家事手伝いをしながら近所でパートをこなす美也子。
何をやっても下手くそ。不器用で仕事では怒られてばかり。
そんな風で自分に自信を持てない彼女が、ちょっとした巡り合わせから行動を起こし、やがて父と同じ津軽塗職人を志すまでに至る物語。
共に囲む食卓。他愛のない会話。そんなちょっとした日常でのやり取りから垣間見える、家族の温かさ。
その反面、がんじがらめに縛られる鬱陶しさも丁寧に描かれており、両方が表裏一体であることにしみじみ頷ける。
また自分が何者かわからぬ若い女性が少しずつ自分を見出していく様が丁寧に描かれており好感が持てる。
主演の堀田真由が好演。脇役の作品が多いがどこにいても飄々と演じており記憶に残る。よい女優さんだ。
家族を思い起こしたい時に観る映画。
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