映画感想文「家出レスラー」なぜか心打つ女子プロレスラーのキャリアストーリー
なぜか心を打つ作品がある。
演技が上手いわけではない(失礼)。脚本が良いわけではない(失礼)。それなのに、引き込まれた。
引きこもりからの高校中退。ふとしたことからレスラー目指して家出し上京。体力も技術もない落ちこぼれ。だが、不屈の精神と自分らしさの発揮で人気レスラーとなる。そんな本当にあった実話が元になっている。
山口県の田舎町に育ったマユ(平井杏奈)は、ちょっとしたキッカケで引きこもりになり学校に行けなくなった。鬱々とした毎日。だが、ある日誘われて向かったプロレスに心を奪われる。そしていつしかプロレスラーを目指すようになる。
そんな彼女が意を決して家出。なんの当てもないまま、東京にやってきてレッスン生の試験を受ける。
幾多の試練があり、なかなかうまくいかない。実力不足の彼女は周囲から嫌がらせを受けたり疎まれたりする。それでも彼女はめげない。そして努力し続ける。
そんなスポ根ドラマだ。しかしこれがプロレスと言うところにミソがある。
野球やサッカーなどと異なり、プロレスはショーとしての要素も強い。だからこそ、力量不足の自分をどう活かしたらいいのかを模索してのし上がってきた彼女の成功があると思う(否定してるのではなく、そこを突いて上がってきたのが素晴らしいなと思う)。
自ら機会を切り開く(家出)、自らの強みを活かす(ポンコツと言われてた時に彼女が取った戦法)、偶然を必然に変える(団体の危機に彼女がとった行動)、など。まるでキャリアの教科書のような要素がいっぱい詰まってる。
最後に本人が登場する。なんていうか若いのに貫禄あって、これまで苦労なほどが偲ばれた。素晴らしい。思わず拍手したくなった。
とても気持ち良い作品。
注釈、これがデビュー作という主演の平井杏奈。うまくはないが好演しており好感度は高い。
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