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映画感想文「ライフ・イズ・クライミング」乗り越えた先の軽やかな生き方に勇気付けられる

運命に導かれるように。

そんな言葉が浮かんだ。

全盲のクライマー小林幸一郎(コバ)と、彼を声で導くサイトガイド鈴木直也(ナオヤ)の旅を描くドキュメンタリー映画。

28歳の時、遺伝性の病気により視力を失ったコバは「目が見えない自分が挑戦することで多くの人に希望を伝えたい」と、クライマーとしての競技人生を目指す。

クライミングガイドの資格を持ち、自らもクライマーとして数々の山を制してきたナオヤと出会い、「右、斜め3時方向、まっすぐまっすぐ…」などのナオヤの声を頼りに、パラクライミング世界選手権で4大会制覇の快挙を成し遂げる。

メダルをとる様も取り上げられてはいるが、クライマックスはそこではない。

そんな彼らが「ここに登ってみたら楽しそう」と、競技大会でもない米国ユタ州にそびえ立つ絶壁フィッシャー・タワーズへ挑戦する旅がメイン。

かの地で2人は出会い、またコバはパラクライマーとして歩むことを決めた恩人と巡りあった。その邂逅をとりあげながら、同時にメダルがもらえるわけでもない、でも難易度の高い山に笑いあいながら挑む様が明るく綴られる。

コバはもちろん、自らのクライマーとしての挑戦をどこかで誰かに寄り添うことに決めたナオヤも。ふたりとも悲壮感が一切なく。明るく軽やかで楽しげだ。

人の出会いも、いまここで向き合ってる人生も全ては運命で、何者かに導かれてる。

だからできることは、限りあるそんな人生を慈しみ楽しむことだと気付かされる。

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