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日本に「SaaS銘柄」はどのくらいあるのかざっくり調べてみた件

こんにちは、SaaSマニアの三好(@saas_penguin)です

(5/17 追記)SaaS銘柄をまとめたスプレッドシートを公開しました。本記事の最下部をご覧ください。

SaaS銘柄といえば、UZABASE(3966)やSansan(4443)などが有名ですが、「いったいSaaS銘柄はどのくらいあるんだろう」という疑問からこの企画をやってみました。ただの自己満足かもしれませんが、お付き合いいただけますと幸いです。

SaaSとは

このnoteを見ていただいているほとんどの方はご存じかもしれませんが、復習もかねて説明いたします。

SaaS(Software as a Service)・・・必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェア(主にアプリケーションソフトウェア)もしくはその提供形態のこと。(Wikipedia)

簡単に表現すると、クラウド上で動くソフトウェアのことです。代表的なものだと、ビジネスチャット「Slack」や会計ソフト「マネーフォワード」、この「note」なんかもそうです。

これまで、ソフトウェアはPCにインストールして利用するものがほとんどでした。例えば、Microsoftが提供するOffice(ExcelとかPowerpointが使えるやつ)は家電量販店などで購入して、端末にインストールしたことがある人も多いかと思います。これは「オンプレミス形式」と呼ばれます。

一方、「SaaS形式」はソフトウェアをクラウド経由で提供するものです。インターネットさえ繋がっていれば、常に最新バージョンのソフトウェアを利用することができます。実際にMicrosoftも「Microsoft 365」というサービスをSaaS形式で提供し、オンプレからSaaSへのシフトを加速させています。「所有」から「利用」する時代になっていく現代において、このSaaSというビジネスはますます注目されていくことと思います。

SaaS銘柄の定義

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。ここでは、「SaaS銘柄」を以下のように定義しました。

1. 自社製品(ソフトウェア)を販売
2. 売上比率がオンプレミス<クラウド
3. ユーザーが法人または行政

今回は、「自社製品」を提供している企業を対象にしています。そのため、他社製品を担いでいる販売代理店やSIなどは除外しました。また、クラウドよりオンプレ形式が多い企業も対象外に。消費者向けサービスも厳密にはSaaSとして分類できるかと思いますが、今回はフォーカス外としています。

調査方法

今回は以下の方法にて調査を実施しました。

1. 関連銘柄を全てピックアップ
2. コーポレートサイトなどを確認し、事業内容を調べる
3. IR資料などを確認し、ソフトウェアの提供形式を調べる

まずは、kabutanやnoteなどで「SaaS/クラウド関連銘柄」を全てピックアップ(100社近くありました) → コーポレートサイトやマネックス銘柄スカウターを利用し、全企業の事業内容について把握。そもそも自社製品(ソフトウェア)を提供していない企業を除外 → 決算短信補足資料などのIR資料を確認し、クラウドよりオンプレが多い企業は対象外に。結構、時間かかりました・・・。

一応、最初に申し上げておくと、今回は「ざっくり」調べた結果です。全上場企業を調査対象としている訳ではありません。そのため、抜け漏れがあるかと思いますので、ご了承くださいませ。随時アップデートしていきたいと思います。また、「SaaS銘柄」の定義には主観も含まれています。

SaaS事業の売上割合:70%以上

結論から発表したいと思います。調査した結果、「SaaS銘柄」は全44社ありました。どうでしょう、思ったよりも少ないでしょうか。

事業全体の売上におけるSaaS事業が占める割合ごとに紹介をしていきます。まずは、SaaS事業の割合が全体の70%以上の企業です。これはれっきとした「SaaS銘柄」と言えるでしょう。馴染みのある企業も多いのではないかと思います。

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ウォンテッドリー(3991)は、企業の採用マーケティングを支援する「Wantedly Visit」を提供している会社です。求職者と気軽にチャットできたり、スカウトを送ることができます。スタートアップやIT企業などが利用しています。求職者側からみてもUI/UXともに優れており、私も転職活動をしていた時はフル活用していました。同社は採用マーケティングのみならず、採用後の定着(エンゲージメント)を支援するサービスも直近リリースをしています。

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スマレジ(4431)は飲食・小売店向けにクラウドでPOSシステムを提供します。基本的なレジ機能はもちろんですが、売上分析や在庫管理、顧客管理などの便利な機能も利用することができます。すでに81,000店舗以上で導入されており、今後も成長が期待できます。足元では、コロナの影響で飲食店などが大ダメージを受けているため、同社への影響も少なからずあるでしょう。ただし、SaaSは基本的にサブスクリプション形式(定額課金)で販売されることが多く、ストック収入がメインとなります。そのため、SaaSというビジネスは不況に強いと言われています。

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手間いらず(2477)は、ホテル・旅館向けに予約サイトを一元管理できるSaaSを提供しています。楽天トラベル、じゃらんなどのさまざまな宿泊予約サイトが存在しますが、部屋の在庫状況などをリアルタイムに更新するのは非常に大変です。同社はそのような課題を解決するために、予約サイトを一元管理できるサービスを開発しました。そんな手間いらずですが、営業利益率はなんと65%!!、そして、自己資本比率は91.9%を誇る企業です。

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バリューHR(6078)もニッチで面白いサービスを提供しています。一言で表現すると従業員の「健康管理SaaS」です。健康診断の予約状況や診断結果を一元管理できたり、ストレスチェックの支援などをしています。企業のみならず、健康保険組合なども利用することが可能です。「健康」に対する注目度がますます高まっていくこの世の中、このようなサービスは今後も導入が進むものと思われます。

SaaS事業の売上割合:40-69%

売上へのインパクトはさほど大きくないですが、こちらも「SaaS銘柄」としたいと思います。

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ブイキューブ(3681)は今まさに追い風が吹いている企業の1つですね。コロナの影響でテレワークに移行する企業が増える中、クライアントとの商談や社内MTGをオンラインで実施するシーンが増えているかと思います。そのような状況で活躍するのがブイキューブのサービスです。同社はクラウド型のWeb会議システムを提供しており、様々な企業が導入しています。コロナで影響を受ける企業もあれば、恩恵を受ける企業もありますね。

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ユーザベース(3966)は、Newspicksを除いたSaaS事業は全体の43.1%となります。経済情報プラットフォームであるSPEEDAが伸びているのはもちろんのこと、ABM(アカウントベースドマーケティング:リード単位ではなくアカウント単位で実施するマーケティング手法)を支援するツール「FORCAS」も着実に伸びています。

SaaS事業の売上割合:20%未満

20%を下回る企業に関しては「SaaS銘柄」とは正直言いがたいです。しかし、それを「ポテンシャル」と捉えると、今後もチェックしておきたい銘柄ではあります。

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テラスカイ(3915)は、クラウドインテグレーターでAWSやsalesforceの導入支援がメインとなっていますが、salesforce上で利用できるグループウェア「mitoco」などを自社製品として提供しています。割合としては、導入支援事業の方がまだまだ多いですが、自社製品も順調に成長しているようです。

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弁護士ドットコム(6027)は、電子契約サービス「クラウドサイン」をSaaSとして提供しています。テレワークへの移行が追い風となり、ユーザー数が爆増しています。GMOグループやサイバーエージェントがハンコの完全廃止を宣言するなど、今後も電子サインへの注目は続いていくでしょう。

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Fringe81(6550)が提供する「Unipos」は、従業員同士がポイントを送りあえるサービスです。例えば、他メンバーに仕事を手伝ってもらった場合、そのお礼としてポイントを贈るイメージですね。そのポイントはAmazonギフトなどに変えられるため(企業毎に設定)、福利厚生の一部として導入されています。このように、何か目に見える形で感謝の気持ちを伝えられると、個人のモチベーションが高まったり、チームの連携がより強固になっていきますね。

「SaaS銘柄」と定義できたのは以上になります。ジャンルごとにまとめると、マーケティングとHR、コミュニケーションの領域だけで半分近く占めていますね。

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