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小売業界のDX化でなぜAIが必要か

「コトラーのリテール4.0」において、人工知能の重要性はすでにたくさん語られている。その一部を紹介する。

あなたにとって、リテール4.0とは?
デジタルトランスフォーメーションと同義語である。ただし、ここではデジタルトランスフォーメーションを、人工知能とインターネットの世界の統合と解釈する。
イータリー創業者オスカー・ファリネッティ
当業界にとって興味深いもう一つの契機が、人工知能と機械学習の導入である。人工知能にフォーカスする重要性は、人々のニーズの理解だけにあるのではない。人々が好む声のトーンや手段を把握することにもある。
HSBC CEOチャーリー・ナン
今後数年は、人工知能がますます進化し、カスタマイゼーションとパーソナライゼーションのプロセスがよりプロアクティブでスムーズかつ不可視になるだろう。
キコ・ミラノCEOクリスティーナ・スコッキア
当社グループは、人工知能をベースとした技術開発を進めている。人工知能を真にビューティー・アシスタントにすることが課題であり、完全にパーソナライズしたフェイスクリームを作る機器と交信できるようになれば、小売のスペースが重要な役割を取り戻し、目的地となることができるだろう。
資生堂グループ EMEA地域チーフビジネスオフィサーアルベルト・ノエ
近い将来、どの活動を人工知能(AI)に、どの活動を人間に託すべきかの解釈が、重大なポイントとなる。この際、人間がますます決定的な資源になることを理解していなくてはならない。〜〜人工知能や機械学習専門の開発者〜こうした人たちと渡り合える部署なくしては、進化もデジタルトランスフォーメーションもあり得ないのである。
フィリップ・コトラー

人工知能がリテールにおいて求められる本質とは何か。

それは、運用の自動化による生産性の向上だ。人の作業にはミスが伴う。そしてバイアスがかかる。真にデータドリブンになるには、人工知能がその役目を果たす必要がある。単純なオペレーション作業を中心に、クリエイティブなこと以外のルーティン業務はAIが最も得意とするロボティクス業務であり、まずはここをAIに任せておくべきだ。

その代わりに、人が関わるところは徹底して人が関わったほうがよい。例えば顧客と関わる接客業務においても、すべてをAIやロボットに任せていてはブランド価値はあがらない。心と心でつながる瞬間に、ブランド体験の真実の瞬間が訪れる。そうした部分に、人のリソースを思いっきり注ぎ込むことで、AIとの調和をとりつつ、ブランドの価値を最大化することが可能だ。

また、人が接客する際は、その人の有限な労力を使うことになる。もちろん深夜に顧客がネットショップで買い物をしたいときに、ベッドから起きて対応するわけにはいかない。こうした有限なリソースは、有限な時間に使うべきであり、その他の人間がワークしない時間帯はAIに任せるべきである。

チャットボット などがいい例だろう。顧客はECで好きな時間にいつでも買い物できるようになった。その時、購入のための道しるべをある程度人工知能に任せておくことが求められる。もちろん購入者のなかには、フィッティングがしたい、アドバイスが欲しいといったニーズがある。人間の価値はそこにある。うまくバランスを取りながら、AIと人の業務分担をすべきであり、コトラーの言っている通り、何をAIに任せるべきなのか、しっかり検討する必要がある。裏を返せば、AIの導入は必須だということだ。そうしないと、多様化したニーズの消費者のマインドについていくことはできない。




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