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聞くと痩せる音楽について思う事

皆さん、こんにちは。
タロウです。
よろしくお願いいたします。

日本音楽療法学会認定の音楽療法士です。
毎度の事で申し訳ございませんが、
ご興味ある方はこちらもお読みいただければと思います。

はじめに

【音楽療法】という言葉をはじめて聞いた方も、
これまでの人生において、音楽を聞くことで
下記のような体験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

気分が落ち着く
やる気が出る
昔を思い返す事が出来た
音に合わせて自然と体が動く

あくまでほんの一例です。

ただ、音楽を聞く事でいい事ばかりが起こる訳ではないです。
”ある音楽” と ”自身の思い出” がリンクした際は、その ”ある音楽” をふと聞いた事で、あまり思い出したくない記憶を呼び起こす事もあります。

また、複数人が ”Aという曲” を聴いた場合においても
一人一人がその曲を聴いて感じる事は違うと思います。
喜びや嬉しさ、楽しさを感じる人もいれば、
哀しみや切なさ、怒りを感じる人もいるかもしれません。

聴く人によって、良い影響を与える事もあれば、変化がなかったり・悪い影響を与えてしまう事もあるのですが、
世の中的には、音楽を聴くと、リラックスする・気分がよくなる等、
といった良い情報のみが、独り歩きしている気がします。


学生時代の話

音楽療法の専門学校に通っていた頃の話ではありますが、
私はモーツァルトのCDの周波数分析をおこなっていた時期がありました。
15年以上前の話ではありますが、すでにその頃から
” モーツァルトの音楽 ”を聞くと、心身に良い効果が期待されるとして、
本になったり、研究発表された先生がテレビ等でモーツァルトの音楽について紹介していました。

自分の研究においてはクラシック曲ではなく、日本の音楽、特に沖縄音楽に注目して周波数分析をおこなっていました。
沖縄音楽にも、クラシック音楽と同じような、体に良い影響を与える周波数があるのではと思って調べていました。
(※今は沖縄の男性の平均寿命は1位ではありませんでしたが、15年以上前は男女ともに平均寿命が連続で1位だった事もあり、食文化や日々の生活もありますが、日常の中に(町中の雑踏音以外)楽器の音や海の音といった、心地よい音が心身にプラスの影響を与えているのではないかと思い、調べていました)

今は、全くそういう事はしてはいません・・・。
ただ、かじった程度ではありますが、
周波数や周波数分析においては少しだけ知識があるので、
”聞くと痩せる音楽”について
個人的に思う事を述べさせていただきたいと思います。


モーツァルトを聞くだけで痩せるらしい

インターネットで ”周波数分析” や ”モーツァルト 周波数” で調べてみると、
モーツァルトの音楽を聞くと痩せるという見出しの本が紹介されてました。

もう一度、お伝えします。
「モーツァルトの音楽を聞くと痩せれる」
つまり、モーツァルトの音楽にはダイエット効果があるとの事・・・・。

ノーベル賞受賞ものですね。
多くの被験者が臨床に協力して、膨大なデータをとった上で
根拠が示されたのであれば。

ただ、今現在までノーベル賞を受賞してないという事は、
単純に個人差があるため、学術的根拠が乏しいという事なのでないでしょうか。

レビューを見ると

「モーツァルトの音楽を聞くと痩せる」というのを実践した方のレビューやモーツァルト音楽を研究されている方の文章を拝読したところ、
【モーツァルトの曲を聞くと、気持ちが穏やかになり、食べ過ぎを抑制できる】とありました。
モーツァルトの全ての曲に該当するわけではありませんが、高周波の音が多く含まれる曲を聞くと、個人差はありますが、コルチゾール値が下がる事もあります。(ちなみにコルチゾール値というのは大まかにいうと、ストレス値であり、値が減るとストレス値が下がり、値が増えるとストレス値があがる)

ちなみに私は1学年下の生徒をつかってデータをとりましたが、全員が全員ではないもののコルチゾール値は下がった者が多くいました。(モーツァルトの曲、全てではなく、あくまで高周波帯が多く含まれた曲がいいのですが・・・。)

こんなサイクルになっていませんか?

①ストレスを感じると食べてしまう
②食べる事で気分転換が落ち着く
③落ち着く事で脳がストレスを感じると食べて満たされる事で気分が落ち着くという事を認識してしまう
④日常生活においてストレスを感じる⇒①に行く

こういうサイクルに陥るそうです。
思考を変化させるのは大変ですが、少しずつ生活環境を変えていく事も必要だと思いますし、
その生活環境を変える上でのモーツァルトの音楽が、ダイエットを考えている人にとって役立つのであれば、いいと思います。
ただ、過度に信用しすぎるのもよろしくはないかと思います。


音楽を聴くという事

”音楽を聴くと痩せる”の
【音楽を聴く】についても
思うところがあります。

受動的音楽療法の場合、
BGMのように音楽を流し、聞いてもらえばいいという訳ではありません。
高周波帯の音、中周波帯の音、低周波帯の音を狙って聴いてもらう場合は、ある程度しっかりした音響機器であったり、しっかり聴いていただける環境も必要だと思います。

私の場合、音楽だけを集中して聴いていただくために、音をしっかり拾えるそれなりに高価なイヤホン・ヘッドフォンを使用し、一人一人距離をとって互いを意識する事がないように、音楽を聴いてもらいました。

そういう事をした上で、周波数が与える影響について調べてみましたが、参加してもらった一人一人の様子(その日の体調・睡眠時間、年齢、性別など)が異なっていると、”この曲を聴くと気持ちが落ち着く”と、いわれていても狙ったような結果が出ない事が多くありました。

しっかりとしたデータをとるには、もっと人数が必要だとわかりましたが、
気をつけた上でおこなっても、こちらの思う通りの効果が確認されない時もあるのに、
”音楽を聴いただけで痩せられる”っていうのはどうなのかな?と
個人的に思いました。


思う事

ダイエットという、老若男女問わず引っかかる言葉で興味をひき、
大衆受けする言葉で扇動するやり方については、
ビジネスとしては素晴らしいと思います。

ただ、必ずしも万人受けするものではないと思うので、
こういったことが、
音楽を聴くという事=音楽療法
というイメージにつながるのではないか。
そして、世の中に独り歩きしてしまうのでないか。

効果を感じる事が出来なかったら、人によっては
「音楽聴いても何もないじゃん、何なの、音楽療法って」
と思われるかもしれませし、
さらには、「音楽療法なんて全くのデタラメだ!」
と思われるかもしれません。
そう思われると、いまコロナ以後で苦しい状況の中、
日々活動されている音楽療法士にとってはいい迷惑な話です。
(私が一番思っているのですが・・・。)

おそらく、何か問題が生じた時の場合にそなえて、
そういう本等には逃げ道として
”効果には個人差があります”という一文で記されているでしょう。
それだと、
本当にモーツァルトを聴くとダイエット効果があると信じて購入された人には何にもフォローしていないのと同じです。
後は ”購入した人の自己責任です” と言っているようなもんです。

モーツァルト自身も、自分がつくった音楽が、
ダイエット効果を狙って作っているわけではないので、
いい迷惑なんじゃないかと思います。
(※モーツァルトの音楽・モーツァルト効果についても、研究者によっては、効果が ”ある・ない” という意見がわかれております)

最後に

” 音楽を聴く ” 事での心身の効果はあるかと思いますが、
これを聞いたら、痩せる・気分がよくなる(病気がなおる)というものではないと思います。
音楽をきいて、気分転換になり、落ちていた免疫力が活性化することで、調子がよくなっていくものだと思っていただければと思います。

ちょっと話がそれますが、気分転換したい時には
私は涙を流す事をしております。
「この音楽を聴くと涙が出る」という音と思い出がリンクしているものでもいいですし、このアニメやドラマのこのシーンをみると感動するというものでもいいです。
(ドラえもん・ちびまる子ちゃんの感動回は何度見ても涙がでます)

音楽を聴く事で痩せる効果が万人に必ずあるならば、
この内容を書く必要はありませんでした。
ただ、そうではないので、私がかつておこなっていた周波数分析の事を交えながら記させていただきました。
これをご覧いただいて、賛否思うところはあると思いますが、
何かコメントいただけると幸いです。

今回は以上となります。
それでは
                               タロウ



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